百八十五話目 剣にかけられた呪い
9月8日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「まぁシエロちゃん!良く来てくれたわねぇ?元気にしてた?ご飯はちゃんと食べれてる?」
二人一組で立っている門番さんの片方が、僕達が来た事を中へ連絡しに走ってから数十秒後、麗しのお祖母様が、文字通り飛んで来た。……2階の窓からね…。
そして、そんなアグレッシブなお祖母様は、地面に着地するなり僕らの元へ走り寄ると、僕の体をベタベタ上から下にーーあっ!【下に】って言っても、肩とかお腹の辺りまでだからね!?変な事考えたら駄目だよ!??ーーと触りながら、ボディチェックしてくれています。
「ごっ、ご無沙汰しております。お祖母様」
その余りの迫力と必死な様子に、僕が発する事が出来たのは、これだけだった。
って言うか、他の人達は展開についていけてすらいない。
あの亜栖実さんとコローレでさえ目を真ん丸くして、口をぽかーんと開いているもん。
はっ、恥ずかしい…。
ーーーーー
ーーー
「先程は失礼致しました。何せ久しぶりの孫の姿だったものですから。オホホ、私とした事が、はしたない限りですわ」
オホホ。と、上品に笑うお祖母様だけど……残念ながら、もうさっきのは拭えないみたいですよ?
ほら、天然……ゴホン。優しい裕翔さんでさえ、笑顔がひきつってるもの。理事長室の時とは違う意味で笑顔がひきつるとか、ねぇ?
あっ!コローレ、笑わないの!
そうそう。僕達は今、じいちゃん家の応接間に居ます。
相変わらず無駄に広い。
広くて、装飾品や調度品と言った品々も、厭らしくない程度に豪華な物が揃っているこの部屋は、普段は自分達よりも身分や格が上の貴族が来た時にしか使われない部屋なのです。
あっ。亜栖実さん。あんまりそこの壺は触らない方が良いですよ?
確か、日本円で1000万くらいした筈ですから。
「ホホホ。……コホン。改めまして、いつも孫がお世話になっております。今、うちの主人は用事で出払っておりますが、主人に代わり、厚く御礼申し上げます」
「あっ、いえ、此方こそシエロ君にはいつもお世話になってしまって…。此方こそ感謝の気持ちでいっぱいで御座いますです。はい……」
1000万の壺から亜栖実さんを引き剥がしている間に、今度はお祖母様と裕翔さんとでスーパーペコペコタイムが始まっていた。
あぁ、こっちが終わったら次はそっちですかい?
「裕翔さん。お祖母様。そう言うのは後で…。お祖母様、今日はお祖母様に用があってきたんです」
亜栖実さんを引きずりながら、2人の元へと戻る。
亜栖実さんを裕翔さんの隣に座らせると、自分はお婆様の隣に腰を下ろしながら、僕は2人にそう切り出した。
「あら、私に?」
「えぇ。今日は、聖ホルド学園のアナスタシア理事長先生のご指示でここへ来たんです。勇者の剣に呪いをかけたのは、お祖母様なのですか?」
「こちらの剣なのですが…」
キョトンとするお祖母様へ、裕翔さんが剣を差し出す。
差し出されたお祖母様は、【あぁ】と小さく声をもらすと、懐かしそうに剣を手に取った。
「この剣のお話でしたのね?ふふふ。懐かしいわぁ」
そして、ニコニコと笑いながら裕翔さんの顔を見たお祖母様は、
「王様から、宝物庫にある先代勇者の剣の寝言が五月蝿いから、何とかせよ!と、ご命令を頂戴してね?私が魔法をかけたのよ?」
「え?」
「うふふ。あの頃は、まだ私も若かったから、加減。と言う物が下手でしたの。オホホ。その点、シエロちゃんは魔法制御が上手だから、お祖母様その点は心配していないのよ?」
お祖母様はまた、ニッコリ笑った。
流石はお祖母様。皆さん、貴女の笑顔だけで更に顔をひきつらせましたよ?
祖父母の邸宅ですが、天井が高いので、2階。と言っても10メートル以上の高低差があります。
流石お祖母様ww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまた18時頃の更新となりますので、宜しくお願い致します




