百八十二話目 学園の七不思議
9月5日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月19日 誤字修正致しました
この学園には、先輩達から受け継がれた、七不思議がある。
昔僕が聞いたのは、
一、踊るレイス
二、動き出す薬瓶の中の魚
三、目が動く肖像画
四、夜になると一段増える特別教室棟の階段
五、屋外実習棟にいる、首が無い少年
六、鏡の中の少女
七、開かずの扉
の七つだった。
七つ目の不思議を知ると、開かずの扉から、異空間へ連れ去られ、二度とは戻ってこれない。
と言う噂もあるが、実際のところ、帰ってこられなかった生徒がいるのかまでは分からなかった。
少なくとも、夜中に七不思議巡りをしたって言う、我がクラスメイト達は1人も欠ける事無く帰ってきている。まぁ、いなくなった生徒の記憶ごと消されてしまった。と言うなら話は別だけどね?
さて、何故僕がいきなりそんな話を始めたかと言うと、僕らが理事長室に入る為に通ったのが、【鏡の中の少女】が居る、【開かずの扉】からだったから。
……っていきなり言われても、何言ってるのか分からないよね?
えっとね?職員室前に飾られた古くて大きな鏡があるんだけど、その中の景色と、実際の景色が違って見えると言う七不思議があって、職員室の扉を開けても、鏡の中に映った職員室の扉は閉まったままだって言うんだ。
とりあえず、これが七番目の【開かずの扉】ね?
んで、その開かずの扉を開けて出てくるのが、6番目の【鏡の中の少女】。
普通なら順番が逆の筈なんだけど、たまたま鏡の中の少女が外にーーって言っても、鏡の中には違わないんだけどーー出ていた時に見つかったから、実際とは順番が逆になったのだそうだ。
で、僕が何を言いたいのかって言うと、【鏡の中の少女】って言うのがアナスタシア先生で、【開かずの扉】って言うのが、理事長室への扉だったんだってさ。
「七不思議何て、解明すればそんなものじゃ」
とは、当のアナスタシア先生のお言葉だ。
まさか、あの時怖い思いをしたと言うクラスメイト達が聞いたら泣くかな?怒るかな?って感じだけどね?
まぁ、そんな訳で、僕らは今、鏡の中の、理事長でお茶をいただいています。
まだ裕翔さんは緊張しているみたいだけど、図太い僕と亜栖実さんは、悠々と出してもらったお茶をゴクゴク飲んでいる。
ランスロット先生がいれてくれた、いつもの緑茶に似たお茶だ。
「んで?今日は勇者様自ら何の用があって来てくれたのかな?別に遊びに来てくれるだけでも嬉しいけど、なんか用があったんでしょ?」
「そうじゃったの?シエロ君の持ってきてくれたお菓子が美味しすぎて、すっかり忘れておったぞ」
ニコニコしながら、お土産のシフォンケーキを頬張るアナスタシア先生の姿に、苦笑いしながらカイン先生が裕翔さんに問いかけた。
急だったので、何かなかったっけ?と道すがら魔導リングの中を探っておいて良かったよ。これだけ喜んでくれるなら、製作者冥利に尽きるってもんだね?……まぁ、気をまぎらわせる為の産物だったとしても、さ。
「あっ、はい。お忙しい理事長先生のお時間を割いて頂いて、ありがとうございます。実は、此方にいるコローレさんがーー」
理事長のお2人は、裕翔さんが一生懸命説明している様を、時折首を傾げながらも聞いてくれた。
しまった。説明下手の裕翔さんに話させたのは間違いだったかな?
首を傾げる理事長先生達の姿を見ながら、僕と亜栖実さんは頭を抱えたのでした。
学園の七不思議につきましては、前作【生まれ変わっても女顔な僕は、転生しても男からのナンパに悩まされ続ける】の最終閑話、【学園の七不思議】をご覧下さい。
下らない七不思議ばかりでございますww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
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