百七十九話目 改めまして
9月2日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「へぇ~。妖精ってこんな感じなんだね?可愛いなぁ」
「あはは。裕翔、見てみて!こっちの子は何か食べてるよ?」
衝撃の事実発覚から一時間。今、裕翔さんと亜栖実さんの2人は、僕が昔作った妖精視覚化眼鏡をかけてはしゃいでいた。
まさか妖精達が見えていなかったとは…ね。
これがルドルフ達なら兎も角、女神達の加護があって、しかも向こうの世界から来ている彼等には、当然妖精達が見えていると思いこんでいた僕の落ち度ではあるんだけどさ?
いや~。本気でビックリした。ってか、今ここに月島さんがいなくて良かった。
ショックを受けた僕の頭では、上手くあの人を処理出来るか分からないもんね?絶対おかしな方向へ突き進むのが手に取る様に分かるもん。
「ふむ。やっぱり、裕翔さんの剣の方は既に何かが宿ってるな…」
で、ちょっと立ち直ってきた僕が今、何をやっているかと言うと、裕翔さんと亜栖実さんの武器や防具を調べていたところです。
で、流石に食堂で防具やらなんやらを脱げ!ってのは流石にアレなので、先にお2人の武器から調べているって訳だ。
初めは、元からの持ち物なら兎も角、先先代の勇者の持ち物に意思が宿るなら、先代の勇者の持ち物にだって何かしら既に宿ってんじゃね?
と言う、僕の浅はかな考えからくるものではあったんだけど、手渡されたこれらを見る限り、少なくとも裕翔さんがこの国の王様から賜った剣の方には、何かが憑いている気がする。そんな気がした。
でも輪郭がハッキリせず、何だか存在感が希薄と言うか朧気と言うか…あれ?これはもしかして、寝てる?のか?
「ん~?」
そうやって悩んでいると、いつの間にか僕の背中側から手がニョキッと伸びてきた。次いで、頭上から声が降ってくる。
「何々?シエロ君、何か分かった?」
亜栖実さんだ。
「あぁ、亜栖実さん。亜栖実さんにお借りした杖からは何も感じなかったんですが、どうやら裕翔さんの剣には何かがいるっぽくて…」
「えっ!本当!?」
あっ、裕翔さんも来た。背中から抱きついてくる亜栖実さん越しに、裕翔さんを見る。
「もう妖精は良いんですか?」
「いや、良いって訳じゃないんだけど、気になる事が聞こえたからさ?」
まぁ、そりゃそうか。自分の装備品の話だもんね?
「まぁ、裕翔さんの剣の話でしたしね?えっと、何だかこの剣には何かが宿っているっぽいんですが…」
僕は、先ず2人に、この剣には確かに何かが憑いている事。ただ、存在感が希薄過ぎて、上手く読み取れない事を説明した。
「今、僕の側にいる精霊は咲良だけなので、続きは他の子達が帰ってきてからになりそうですね」
「咲良君だけじゃ駄目なの?」
「いや、そう言う訳じゃないんですが、咲良は他の子達と比べて経験不足なので、出来たら他の子達の意見も聞きたいんです。何だかんだ、咲良はまだ10歳にもなってないので…」
僕の説明を受けて、2人は、あ~。と声を上げる。
咲良はしっかりしてるから忘れがちだけど、彼は僕がまだ6~7歳の時に、人工的に孵した妖精さんだったのだ。
流石に、100年近く生きているであろう風華や美里に、経験で叶う筈が無いのである。それだって、300年以上生きてるコローレ達には叶わないんだけど、ね?
因みに、シャドは咲良よりも年下なので、論外です。
それに、そんな事言ったら、僕だって風華達には叶わないんだから、咲良は落ち込まなくても良いんだよ?
何て、僕よりも背が高くなっちゃった咲良の頭を背伸びしながら、よしよししていると…。
「お呼びですか?シエロ様」
「ぎょわっ!?」
いきなり背後からコローレが現れた。
こっ、この感じ。何だか久しぶりだね?
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまた同じ時間に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します




