百七十八話目 やっぱりズルい!!
9月1日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月18日 誤字修正致しました
「やっぱりズルい!」
《ガツンッ!》
亜栖実さんが、食堂のカウンターテーブルに頭を突っ伏しながら叫ぶ。
いや、凄い音がしたけど、亜栖実さんのおでこは大丈夫だったのかな?
「亜栖実、こればっかりは俺らが自分でどうこう出来るものじゃないだろ?」
「う~。だって~~」
裕翔さんにたしなめられて、ブスくれながら顔をあげる亜栖実さん。あっ、やっぱりおでこ赤くなってるじゃないですか。あ~あ。
さて、さっきから亜栖実さんがズルいズルい言っているのは、僕、葵君、そして宇美彦が持っている、ナツヒコさんの装備品の事だ。
【意思を持つ装備品に選ばれる】それがもの凄く羨ましかったんだそうで、宇美彦が靴さんに選ばれてからこっち、亜栖実さんはずっとこんな感じだ。
あれから1週間経ったんだけど、その間、ずっと僕ら3人は亜栖実さんに、ズルいズルい言われ続けているって訳です。
僕からしたら、向こうの世界から持ってきたアイテムや着ていた服が全て、伝説級の品になっている方が羨ましいんだけどね?
亜栖実さん何か、向こうで着ていたライダースに、エンジニアブーツ何かまで最高ランクの防具になってるんだからさ?
僕は生まれ変わり組だから、向こうに繋がる品物を1つも持って来れなかったし。ちょっと羨ましい。
昔は、せめて僕がかけてた眼鏡だけでもあればな~?何て兄さんの時に思ったりもしたもんだよ。うんうん。
あれ?でも、待てよ?
「亜栖実さん達が向こうの世界から持ってきた装備品は意思を持ったりはしてないんですか?ナツヒコさんの例があるなら、有り得ない話では無いと思うんですけど?」
僕の杖や、葵君の盾は別としても、宇美彦のはバスケットシューズ。所謂バッシュってやつな訳だし、不可能ではなさそうだよね?
そう思って聞いてみると、
「あ~。その話なんだけど、ナツヒコ様のは、それぞれの武器や防具に、妖精が宿っているそうだよ?だから、意思があるんだって。だから、俺らの服にはまだ意思的なものは無いんだよ」
と、裕翔さんから返された。
「あっ、なるほど」
そう言えば、ナツヒコさんは女神達に全ての属性の精霊をお供につけてもらったんだっけね?
勿論、全員から好かれたのはナツヒコさんの力だし、懐の深さだろうけど、パーティーにそれだけ精霊がいれば、さぞかし妖精達も集まって来た事だろう。
何せ、僕の所にだって、毎朝誰かしら遊びにくるくらいだからね?ナツヒコさんの所にはもっと来ていたと思うよ?
でも、それだったら…。
「裕翔さんや亜栖実さんなら、妖精達も頼めば入ってくれるんじゃないですか?」
これだけ周りに妖精が飛び回っている2人だ。頼めば武器や防具にだって宿ってくれそうだけどなぁ?
今も、裕翔さんに3つ、亜栖実さんに2つの妖精が、頭や肩にとまっているし、下手したら顔が見えなくなる程とまってる。と言うか、周りをホバリングしてる時もある。
あれ、夜とかだと本気でビックリするから、本当に止めてほし…。
「え?それこそシエロ君しか無理でしょ?」
「え?」
い。まで行く前に、裕翔さんが無理無理。と、手を横に振って、否定してきた。
何が無理なんだ?と、首を傾げていると、今度は亜栖実さんが口を開いた。
「うんうん。だって僕達、精霊ならまだしも、妖精の姿なんか見えないし?」
「え?」
「そもそも、俺達の誰かが妖精さんと話しているの、聞いたことがあるかい?」
衝撃の展開過ぎて、一瞬思考が停止してしまったけど、そこまで言われて気がついた。
そう言えば、風華や実里が妖精だった時って、裕翔さんも亜栖実さんも、宇美彦も彼女達に話しかけてなかったかもしれない。
勿論、逆も。だ。
えっ?うわっ!?盲点!!?裕翔さん達には
見えてるもんだとばっかり思ってたよ!?
うわ~。
僕は、思わず頭を抱えた。
衝撃の事実発覚!
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も通常通り更新させて頂きので、また宜しくお願い致します。




