百七十五話目 気性が荒いスニーカー
8月29日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「あれ?鑑定内容が変わりましたよ?」
「「「「え?」」」」
ポツリと呟いたランスロット先生の言葉を受けて、僕と宇美彦、それに裕翔さんとジェイド君が反応した。
でもさ、裕翔さんはせめて、口の中の物を飲み込んでから叫んでくださいよ。
口の中の物が、こっちに飛んでくるんですけど!?
そして、亜栖実さんは、せめて、反応くらいしてください!!!
「で?何処が変わったんだ?」
「むフ。速く教えい」
「はい。天駆ける靴ーー」
長老2人に促され、ランスロット先生が頭に流れ込んできた鑑定結果を読み上げてくれた。
結果はこうなったらしい。
ーーー
天駆ける靴
元は勇者ナツヒコの持ち物だったが、勇者が亡くなって以来、持ち主が不在だった。しかし最近、森野宇美彦と契約しても良いと思っている、異国の靴。
羽の様に軽く、魔力を通せば空を飛ぶ事も出来る。
ナツヒコの装備品の中で最も気性が荒く、気に入らないと風の刃で体が切り刻まれる事があるので、取り扱いには注意が必要。
出来れば、新しい主に愛でてもらいたい。そんな難しいお年頃。
ーーー
……。
そっか~。ランスロット先生にエ○・○ョーダンモデル。何て言っても通じないから、【異国の靴】って説明になるんだね?
正確には【異世界の靴】って事になるんだろうけど、鑑定魔法にそこまで求めてはいけないかな?うん。
………やっぱり現実逃避してちゃ駄目だよね?
「気になるお年頃って何だよ!!??」
《スパーン!》
「いってぇ!?」
僕は腹立ち紛れに、宇美彦の頭を丁度良く持っていたおしぼりで殴った。
すっごい良い音がした。
「あ~。ちょっとスッとした♪」
「お前がスッキリしたって、俺はスッキリしねーんだけど?」
いてぇ~。と後頭部を撫でる宇美彦を見ながら笑っていると、前方下部から風の魔力の高まりを感じ…。ってヤバイ!!
《ブォンッ!シュシュシュッ》
自分が気になる存在を、僕が殴った事に怒ったのか、天駆ける靴が風の刃をいくつも放ってきた。
薄いながらも鋭い風の刃は、真っ直ぐに僕の顔や体目掛けて飛んでくる。
これが、説明にもあった、【気に入らないと風の刃で切り刻まれる】なのだろう。
って、呑気に構えてる場合じゃないな。
「《風操作:吸収》!」
《フォワッ》
「風の刃が、消えた?」
ランスロット先生が驚きながら呟いた。
端からは、風の刃がかき消えた様に見えただろうけど、消した。と言うのとは少し違う。
さっき僕が唱えたのは、風操作:吸収と言う魔法。
この魔法は、文字通り周囲の風を集める魔法で、例え攻撃魔法でも、それが【風】なら残さず吸収してしまう。見た目は地味ながらも、結構強力な魔法だ。
ふっふっふ、風華に教えてもらっていて、本当に良かった…。
あっ、今のふっふっふ。は、別に笑った訳じゃないよ?どもっちゃっただけ。
見た目上は、僕は冷静
ですよ?って感じで誤魔化してるけど、僕、実は物凄いテンパってます。
原因を作ったのは僕だけど、正直滅茶苦茶怖かったんだもん!!
この靴、気性が荒いよぉ!
あっ、それも説明にあったっけか?
もう!ナツヒコさんはさぞかし苦労しただろうねっ!!?
シエロ、こう見えて、わざと怒らせています。
ただし、予想以上の攻撃がきて、少しビビっていますがww
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も通常通り更新致しますので、また宜しくお願い致します




