百六十九話目 ただいまとおかえりと
8月23日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「おっ?皆さんお揃いで。今日はどちらへ行かれてたんですか?」
「今日は、元教え子のお宅へ遊びに行かせて頂いていたんですよ?フフフ、貴方もお元気そうで、何よりです」
出かけた時と同じ東門へ着くと、詰め所の中から、見慣れた顔が姿を現した。
ボチボチ何とかやってますよ!何て、ランスロット先生へニコニコ笑いながら、朗らかに話をしているのは、兄さんの親友で元パーティーメンバーのエルドレッド・エルリックさん。
僕の親友の、ルドルフ・エルリックのお兄さんだ。
兎人族とヒューマン族のハーフで、ロップイヤーなタレ耳が凄くキュートなのに、茶色の髪の毛をツンツンハリネズミみたいに立たせていて、相変わらず似合わない髪型をしている。
さて、何でそんな人がこんなところにいるかと言えば、この国の兵士として就職したから。
今はこの国の門番として、四方に点在している門の番人を日替わりでしているけど、将来は近衛兵士として、王様の身を御守りするのが夢なんだそうだ。
卒業してから始めてここでお会いした時、そうやって僕に教えてくれた。今じゃ、兵士の鎧姿が凄く良く似合う、格好いい兵士さんだ。あっ、髪型は合ってないけどね?
「先輩、ご無沙汰してます」
「おっ!シエロじゃん。何だ、元教え子の家ってお前んち?」
僕がご挨拶すると、先輩は僕らの身分証のチェックをしながら、僕の頭を昔みたいにワシワシと撫でた。
嬉しいんだけど、これ、結構痛いんだ。先輩は力の加減を知らないから、下手すると首がもげそうになる。
「違いますよ。僕は付き添いです。行ってきたのは、僕の友達のお家です」
「ハハハ。そっかそっか。はい、確認終了です。改めて、お帰りなさい」
何とか踏ん張って耐えた僕の頭から手をどけると、1人1人に身分証を手渡しながら、先輩はニカッと笑う。
兄さんとは対照的な性格の先輩だけど、何だか兄さんに会えた様な気がして、嬉しくなった。
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まぁ、お茶でも飲んでいって下さいよ!
と、此処で別れると東門の前で言ったランスロット先生とアサギ君を誘って、僕達は一路、アジトへと足を進めていた。
折角会えたのに、あのままアッサリとお別れするのが寂しくて、ついつい誘ってしまったんだけど、2人とも嫌がってはいないみたいだから良かったよ。
ついでに、この前作りすぎたお菓子を放出してしまおう!何て考えてなんかないんだからねっ!?
「おっ!見えて来たッスよ?」
おっと!
そんな事を考えている内に、アジトの近くへと着いていたみたいだ。
見れば確かに、葵君の指の先にアジトの周りを囲っている生け垣が見えてきていた。
「っっ!!せっ、拙者、本当に勇者様のお住まいになる場にお邪魔しても、よっ、良いのでござろうか?」
「いや、良いに決まってんでしょ?」
いつの間にか青鬼さんになっていたアサギ君に、リコレさんが突っ込みを入れる。
そう言えば、さっき会ったエルドレッドさんの弟のルドルフや、ブロンデ、クレアさんは僕の関係でちょくちょく裕翔さんや宇美彦なんかに会う機会が多かったけど、他のクラスメイト達はあんまり面識とか無かったかもね?
一時期学園で教鞭を取っていた亜栖実さんだけならまだしも、アジトには裕翔さん達の他に月島さんとかもいるし、うん。緊張しちゃうのはしょうがないかも。
だって、今をトキメク勇者様と、そのご一行様な訳だしさ?
あっ、実は葵君も勇者ご一行様の一員なんだけど、そう言えばアサギ君に言ってなかったかも…。
まぁ、でも、うん。いいや。葵君だし。うんうん。今更教えたところでどうしようもないよね?うん。
《ガチャッ》
「ただいま戻りました~」
何て考えを放棄しながら、何の気なしに開けた扉の先に、
「ん?おぉ、シエロ。お帰り♪」
「え?」
炎の大精霊こと、ママが、1人、ソファーに座って寛いでいた。
久しぶりに炎の大精霊、火の王様こと、ママの登場でございます。
アジトに偉い人がポンポン来すぎな気もしますが、まぁ勇者のアジトだと言う事で1つ!!
さて、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
若干中途半端なところではありますが、これにてこの章はお仕舞いでございます。
先日お休みを頂いて少し書き溜めが出来ましたので、新章は明日からスタートさせて頂きます。
また宜しくお願い致します!




