百六十八話目 マモルは精霊の盾を手に入れた!!
8月22日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「なっ、何が分かったんスか?」
2人して驚いたものだから、葵君を始め、ジェイド君、アサギ君、フジさんまでがビックリした様な顔で、僕とランスロット先生の方を見つめていた。
鑑定の結果は僕とランスロット先生しか見えてないんだから、当然と言えば当然だ。
「えっと、ね?この盾の持ち主のところが、葵君になってたの」
「「えぇっ!?」」
「なっ、なんと…」
「……えっ!?俺っちッスか?」
「うん。 えっと…。精霊の盾。元々は、勇者ナツヒコの装備品であったが、今は柊葵の持ち物となっている。盾自体に意志があり、気に入った者にしか忠誠を誓わず、自身を触らせない。比較的、穏やかな性格……。って書いてあるよ? 」
僕は、ポカンとした葵君に、鑑定で読み取れた内容を読んで聞かせた。
比較的、穏やかな性格。って書いてあるのが面白いよね?……後で杖さんにも鑑定魔法かけてみようかな?何て書いてあるんだろう?
「まっ、マジ?」
「マジです」
「でも、何で俺っち?本当に裕翔とかが使った方が良いんじゃないッスかね?」
「何でもヘチマも無いぞ?この盾がそなたを気に入った。と言っているのだから、それで良いではないか。ほれ、此度の魔王討伐に役立てておくれ?」
僕なんかはわーい!何て能天気に杖を貰ってしまったけれど、葵君は裕翔さんや宇美彦の方が役立てられるんじゃないか?と、ずっと気にしていた様だ。
でも、ナデシコさんの言葉と、ほれ!とつきだされた盾をドスン。と胸に受けて、漸く決心がついたらしい。
「そう、ッスね…。こんな俺っちを気に入ってくれたんなら、存分にあいつらとの戦いにも役立ってもらうッスよ」
嬉しそうな顔をしながら、葵君は手にした精霊の盾を、愛おしそうに、優しく撫でた。
ーーーーーー
ーーー
「おや、静かだと思ったら、マモル君とアサギ君は眠っていたのですか…」
ジェイド君の頭付近で、葵君とアサギ君が寝落ちしていた。
葵君は、ジェイド君の首に、アサギ君はジェイド君の頭にベターっと突っ伏す形で、グゥグゥと寝息をたてている。
首に巻き付いてる葵君は兎も角として、アサギ君は良く落ちないなぁ…。
まぁ、鬼神村を出てからこっち、何故か2人で盛り上がっていたから無理もないけど、流石にこのままだといつ空の上から地面に向けて落下するか分からないから、凄い不安。
「咲良、2人にもお願いしていい?」
「御意。お任せを」
《シュルシュル》
咲良に頼んで、2人にもシートベルト…と言うか蔓を体に巻き付いてもらう。
うん。これなら2人とも落っこちる事は無いよね?腰と肩、それにバツ印を描くように、斜めにも蔓を絡めてもらったから、絶対安心だ。と、思う。
「ありがとう咲良。これで安心だよ」
「どう致しまして。もう少しで王都が見えて参りますので、それまでくらいなら保つと思います」
「うん!」
ナデシコさんとフジさんに見送られたのが、今から3時間くらい前。僕が泣かない程度の速さで飛ばしてくれたジェイド君のお蔭で、本当にあっと言う間の旅路だった。
アサギ君はお母さんとお父さんに会っていかないのか?と、フジさんから聞かれていたし、僕らだってそんなに急ぐ旅じゃなし、会ってくれば?って言ったんだけど、アサギ君は
《「里心がつくから、また今度にするでござるよ。兄様、御二人に宜しく言って欲しいでござる」》
何て断ってしまったんだ。僕は、会える内に会っておいた方が良いと思うんだけどね?いつ人は会いたい人に会えなくなるか分からないからさ。
でもまぁ、アサギ君にも考えがあるんだろうから、無理強いはせずに来ちゃったんだけど…。
アジトに帰ったら、薬草を取りがてら一度うちに帰ろうかな?何だか兄さんに会いたくなって来ちゃった。
……本当は、前の世界の兄さんの顔が浮かんでいたのは、僕だけの内緒ね?
ーーーー
ーー
「あっ、見えてきたでござるよ?」
アサギ君が指差す先に、王都の街並みが見えてきた。
僕はジェイド君に頼んで、少し街道から離れた場所に着陸してもらう。
ジェイド君も心得たもので、
「了解致した」
と、返事をすると、僕が泣かない程度の傾きでもって、緩やかに旋回した後、ゆっくりと地面に向けて降下してくれた。
その際、僕の後ろから、
「やれば出来るじゃ無いですか」
と、冷っったい声が聞こえた気がするけど、僕の気のせいだよね?
葵とアサギに蔓を巻き付けたと言うことは、ジェイドもグルグル巻きになっているのですが、シエロはその事に気がついていませんww
ジェイドは咲良に逆らえないので、そのままスルーしていますが、端から見たらドラゴンを虐待してるみたいですよね?ヤバイヤバイww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまた18時頃に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します。




