百六十七話目 持ち主:柊葵
8月21日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「うむうむ。今ので分かってもらえたとは思うが、シエロ殿は盾に反発され、それに腹を立てた杖が私…いや、盾を攻撃したのじゃ。人間的に言うと、【私の彼の何が気に食わないのよ!?】と言ったところかの?」
「いや…。それは何か違うだろ?」
「む?そうかの?」
「違う…と思うぞ?いくらなんでも、こいつらの関係がそんなドロドロしてるとか考えたくねぇしな?あぁ、話が逸れた!つまり、今みたいに装備品同士が反発しちまうから、2つ以上の装備品の持ち主にはなれない。って事だけ、分かってくれりゃあ良いから」
ナデシコさんのドヤ顔解説に突っ込みをいれながら、リコレさんが分かりやすく?教えてくれた。
まぁ、1人がナツヒコさんの使っていた装備品を独占出来ない。ってのを理解していれば良いって言うのは、分かりやすいし、モヤモヤもしないので、僕はそっちで納得しておこうかな?と思う。
チラリと腰に差した杖を見る。
すると、杖はポワポワと淡く光っていた。
まるで、さっきの行動に対する自分の気持ちを伝えてくれているかの様な光に、僕は杖さんを撫でる事で気持ちを返す。
流石に少しやり過ぎな感はやっぱり否めないけど、僕を守ろうとしてくれた事は嬉しかったから、その感謝の気持ちを込めてみたんだ。
撫でられると、杖さんは気持ち良さそうに、またポワポワと点滅する様に光ってくれたので、今の気持ちが伝わってると良いなぁ。
「まぁ、その話は食べながらでも良かろう?冷めてしまうぞ?」
「あぁ、そうだな。ちっとゴタゴタしたが、早く頂いちまおうぜ?」
「はーい」
そうだよね?折角のお料理が冷めてしまったら勿体無いよ。
僕は、麦飯に鮭に良く似た魚の塩焼き、卵焼きっぽいオムレツに、豆腐といもの味噌汁と言う、ザッツ日本の朝ごはん!って感じの料理に舌鼓を打った。
ーーーー
ーーー
「この盾に誰か、【鑑定】の魔法をかけて見ると良い。誰ぞこの中で使えるものはおるかの?」
食事が終わった後、最初の日に通された部屋へ戻ってきた僕達は、座るなりナデシコさんからそんな事を言われた。
僕達は一度、互いの顔を見回して、僕とランスロット先生が手を挙げた。
「何じゃ白いの。お主確か使えた筈であろう?」
「めんどい」
「お主なぁ…。まぁ良い。ランスロット殿でもシエロ殿でも良い故、盾に鑑定してみるのじゃ」
俺は良いや。何て、面倒臭がりのリコレさんは畳に寝転んでしまったので、じゃあ2人で一緒にかけてみますか。と言うことになった。
僕が右側、ランスロット先生が左側から、ナデシコさんが持ってくれている盾に、鑑定の魔法をかける形になる。
「「《鑑定》」」
ほぼ同時に、僕とランスロット先生の手が光りを放ち、すぐに盾が青白く光る。
と、同時に、僕の頭の中に精霊の盾に関する情報が流れ込んできた。
え~と、なになに?
ーーー
精霊の盾
元々は、勇者ナツヒコの装備品であったが、今は柊葵の持ち物となっている。
盾自体に意志があり、気に入った者にしか忠誠を誓わず、自身を触らせない。比較的、穏やかな性格
ーーー
「「えっ?」」
同じ文言を読んでいたランスロット先生と、同じタイミングで声が出た。
だって、持ち主が葵君になってるんだもん!!
いつの間にやら持ち主決定!ww
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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