表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

172/293

百六十六話目 勇者の装備


8月20日の更新です。

本日も宜しくお願い致します




「なるほど、それで皆、藤の様に青白い顔をしておるのか?………ブフッ」


「なに笑ってんだよ!少なくとも、俺の二日酔いに関してはお前のせいじゃねぇか!ったく、シエロ殿が薬を持っててくれて助かったっつの」



 ゲラゲラ笑いながら指差すナデシコさんを、ブツブツ言いながらリコレさんが睨み付けている。


 まぁ、昨日の騒ぎを見ると、どっちもどっち何だけどね?


 後、藤さんは顔が青白いんじゃなくて、青鬼さんだから、元々顔が青いのだ。決して病気な訳でも、二日酔いだからでもないからね?悪しからず。



「まぁ、粥も用意した様じゃし、食われる分だけ食らうてくれ。何にせよ、今日は立ってしまうのじゃろう?」


「えぇ。元々、お泊まりさせて頂く予定でもありませんでしたし、アサギ君の故郷の無事も、こうして確認出来ましたので、戻って学園長にも報告せねばなりませんから」


「むぅ。無理に引き留めた手前、無理強いは出来ぬが、来たばかりで帰ってしまうのは寂しいのう?」


 そう言ってナデシコさんは、彼女の手のひらに収まりきらないくらい大きな徳利を傾けて、自身の盃を満たした。


 あっ、朝からお酒ッスか?


 でも、フジさんは普通の対応何だよね?あれ?もしかして、此処では迎え酒普通??


 何て頭の中を?マークでいっぱいにしていると、ナデシコさんが徐に、


「そうじゃ!マモル、これは今日からそちの物じゃ。大事にしてくれよ?」


 そう言って、手に持っていた徳利を自分のお膳の脇に置くと、代わりにまた何処からか精霊の盾を取り出した。


 ……本当に何処から出してるんだろう?気になるけど、ちょっと勇気が足りなくて聞きづらい。



「えっ。あの、本当に俺っち何かで良いんスか?裕翔とか、宇美彦も居ますし、シエロさんだって居るんスよ?」



 えっ?僕?いやいや、僕はリコレさんから杖貰ったし…。


 と、口を挟むより早く、


「いや。他の者は知らぬが、シエロ殿はナツヒコの杖から選ばれたのであろう?これがナツヒコなら兎も角、杖も盾もとなると、装備品同士が喧嘩するじゃろうの。のう?白いの」


 何て、ナデシコさんが先に無理だろう。と教えてくれた。


 僕も意思を持った装備品の扱い…と言うか接し方がいまいちまだ分からなかったので、無理だ。とはっきり言って頂けたのは有り難かった。



「そうだな。たぶん、シエロ殿じゃ駄目だろうぜ?あっ、試しに少し触ってみるか?」


「リコレ様?」


「うわっ!大丈夫だって、そんな顔しなくても、流石に分かってるから!!少し、指先で触れてもらえばはっきりするんだから、大丈夫だよ!!」


 ……朝から心臓に悪いランスロット先生の氷の微笑に、部屋の温度がググッと一気に下がる。


 それを受けて、慌てて弁明するリコレさんだったけど、どうやら僕に精霊の盾を触らせるのは決定事項の様だ。


 ナデシコさんも、わざわざ僕の隣へやってきて盾を差し出すくらいだし、まぁ、昨日のアサギ君のあの感じを見ているから、そんなに杖の時よりは変な緊張感は無いかもね?



「えっと、指先で触れば良いんですか?」


「そうじゃな。触るのが怖ければ、手のひらか甲の方で触るのも有りじゃぞ?」


「いやいや、そこまで怖くは無いですよ」



 ニヤニヤ笑いながらナデシコさんがからかって来るのをかわしながら、僕はナデシコさんが持っていてくれている盾に人差し指で、ちょん。と軽く触れてみた。


 すると、


《ピシッ》


 と、言う、軽い静電気みたいな痺れ。とも言えないくらいのピリピリが指先に走った。



「っっ!?」


 痛い。って程では無いけど、ビックリして指を引っ込める。


 殆ど反射的に引っ込めただけで、本当に痛いとかは無かったんだよ?


 でもーーー。



《ボゥッ!》



「むっ!?」


《パシュッ!》



 肌身離さず持っている様に。と言われて、腰に差していた杖が怒った。


 杖の先端から、盾に向かって小さな火の玉が飛んでいって爆ぜたんだ。


 今まで大人しかったから、余計に驚いた。


 真っ直ぐ盾に向かって行っていたから、盾を狙ったのは明らかだけど、万が一にでもナデシコさんに当たったら大変だし、そもそも鬼神族の当主様に攻撃した!何て言われて攻撃されたっておかしくは無い状況を作り出しては行けない。と、僕は思う。



「こらっ!杖さん!大人しくしてて!!」


《ポポゥッ!》


 何か言い訳する様に光ったけれど、今のは本当に駄目な行為なので、僕も厳しく叱る。


 つもりだったんだけど…。


「良い良い。それでこそナツヒコの杖よ。杖は主を外敵から守っただけじゃ。そう叱うてやるでないぞ?フフ、しかし杖よ、そなたも優しくなったのう?昔のそちなら、盾を一飲みしてしまう様な火の玉を出していたじゃろうに。んフ、相当シエロ殿に嫌われたく無いと見えるわい」


 そう言いながら、豪快に笑いだしたナデシコさんに呆気に取られて、叱ろうと口を開けたままの状態で動きが止まってしまう。


 何だか、守ろうとしてくれていただけなのに、叱りつけるのも申し訳無い気にもなって、僕はそっと杖を元の位置に戻した。


 うん。装備同士が反発…と言うか喧嘩する。って言うことの意味が、今、本当に分かった気がした。




朝から魔王殺し。ナデシコが魔王討伐すれば良い様な気がしてきましたww


本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。

明日も同じ時間に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ