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百六十五話目 明くる日


1週間ぶりのご無沙汰です。

また本日より更新させて頂きますので、宜しくお願い致します!




 飲んで食べて怒られて、騒ぎに騒いだ明くる日の朝。


 僕は、二日酔いを治す薬を()人分、寝床で唸っている大人達に与えながら、更に、体内の毒を分解する魔法を重ねがけしていた。



「ほら、しっかりして下さい。大丈夫ですか?」


「めっ、面目次第もありません…」


「気持ちわりぃ…」


「俺っち、何でこんな頭痛いんだ?」



 死屍累々の大人達を見ながら、一番症状が酷いリコレさんに手を翳す。


 少なくとも、マモル君は1杯しか呑んでいなかった筈何だけど、彼の顔は真っ青だ。


 うん。やっぱりあの【魔王殺し】はくせ者だった様だね?


 そして……。ランスロット先生は、単なる呑み過ぎ。リコレさんは、ナデシコさんが悪戯して、水とお酒のコップをすり替えられたのが原因、と。


 リコレさんはお酒が呑めないらしいので、下手したら危ないのになぁ。


 全く、ナデシコさんは良くあれだけ怒られてめげないもんだね?普通なら少しは自重しそうなもんだけど…。


 僕は内心、ナデシコさんへ畏敬の念を抱きながら、真っ青な顔の3人へと魔法をかけていった。





《ガラッ》


「おはようございます。朝餉(あさげ)の支度が整いましたが、お召し上がりになれますか?」


 最後に、比較的二日酔いの度合いが軽かった葵君の治療が終わったのとほぼ同時くらいに、寝室用にお借りしていた部屋の襖が開いて、そこからフジさんが顔を出した。


 後ろにはアサギ君の姿も見える。


「あっ、おはようございます。皆さん、朝ごはんだそうですよ?食べられそうですか?」


 僕は、2人へ朝の挨拶を返しながら、治療を終えた大人達に声をかけた。


「あぁ、シエロ殿のお蔭で、何とか持ち直したからな食える食える」


「私もです」


「俺っちも!」


 まだどこか青白い顔をしながら、口々に返事が返ってくる。


 それを見たフジさんに事情を聞かれたので、簡単に説明すると、


「それは大変ですね!朝餉は粥等に変更致しますか?」


 と、提案してくれたので、ありがたくお願いしておいた。


 しかし、ランスロット先生と同じか、それよりも早いペースで呑んでいた筈のフジさんと、それなりに呑んでいたアサギ君。2人とも変わらずケロッとしていて凄いなぁ。


 まさか鬼族には【酒耐性】何て無いよね?まさかね?


 あっ、アサギ君もちゃっかり呑んでいる様に見えるけど、この国では16歳になったら自己責任で飲酒しても良い事になってるんだ。


 僕は20歳くらいまでは身長が伸びる。と言う可能性を信じて、まだ一回も酒は呑んでません。


 あれ?おかしいな、涙が…。



「では、私はその旨を食事担当に伝えて参りますので、食事の部屋までの案内は浅黄に任せます。浅黄、失礼の無い様にね?」


「はい」


 それでは失礼致します。


 そう言い残して、フジさんは先に部屋から出ていった。


 何かうちの大人達がすいません。



「シエロ殿、シエロ殿は大丈夫なのでござるか?」


「ん?あぁ、僕は呑まなかったからね。大丈夫だよ?」


 心配そうに僕の顔を覗き込むアサギ君に、僕は笑って返した。


 やだ、イケメンにイケメン対応されたらドキドキしちゃう☆


「そうでござったか。もい宜しければ、先に白湯でもお持ちしようかと思いましてな?少しでも腹が温くなれば、二日酔いも軽くなりましょう」



 まぁ、冗談はさておき。


 有り難い申し出を頂いたので、


「あっ、本当?ありがとう。宜しくお願い出来るかな?」


 と、有り難くお願いしておいた。


 【大丈夫】何て言いつつ、まだ皆、青白い顔で布団に転がっているんだよね?


 毒を分解する魔法は正常にかかったけれど、まだ体の中に吸収されてしまった酒を分解しきるまでは、どうしても時間がかかりそうだ。


 まぁ、後もう暫くは胃のムカムカと付き合ってもらうとしよう。



「御意。今すぐにお持ち致しまする故、暫しお待ち下され」


「ごめんね~?」


 僕は、あっという間に走り去るアサギ君に謝りながら、布団に転がっている3人のお世話を再開した。


 折角のお布団。もう少し僕も堪能したかったなぁ…。何て考えながら。




悪のりでお酒を無理強いしてはいけません!駄目、絶対!!


本日も、此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します

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