百六十三話目 息切れ
8月11日の更新です。
本日も宜しくお願い致します!
《ぜぇ、はぁ》
《はぁ、うぇ、ぜぇぜぇ》
「う~ん。おかしいなぁ?」
結局リコレさんを引き剥がす事は出来ず、かれこれ5分くらいの間、リコレさんにやられたい放題だった僕達です。
お蔭で3人とも息があがってしまっている訳で、誰もリコレさんにツッコミを入れる余力が無かったんだよ。
因みに、頼みの綱のランスロット先生とジェイド君は、さっき鬼の形相…あっ、元々鬼か。まぁ、細かい事は良いや。
兎に角、怒髪天!って感じで部屋からナデシコさんを追いかけて出ていったフジさんを追いかけて行ってしまったので、ここにはいないのです。
どうやら、2人はフジさんを止める為に追いかけて行ったみたいだけど、出来ればこっちの人も止めていって欲しかったよ。
「なぁ、どっちか変な感じしなかったか?」
「へっ、変な、感じ、とは?」
「俺っち、は、特に感じなかった、ッスよ?」
「何が、したかった、んですか?」
「何だよお前ら、若いのに情けないな。非力な俺に掴まれたくらいで息を荒げてるだなんて、ナデシコの奴に笑われるぜ?」
ぜぇぜぇ言いながらも、何とか返事を返した僕らに、リコレさんはフフと鼻を鳴らして笑った。
いや、あんた絶対何かしただろう?こちとら3人がかりだったんだぞ!?
と言う声無き声が、僕以外の2人からも聞こえた気がしたけど、たぶん気のせいでは無いと思う。うん。
「む?何じゃ、そなた達?この数分で、まるで屍の様になっておるぞ?」
「うわっ?何があったんですか?」
そんな感じで、3人で畳の上に体を投げ出してグッタリしていたら、追いかけっこしていたナデシコさんとフジさんが、部屋へ戻ってきた。
セカンドバックよろしく、ナデシコさんがフジさんの小脇に抱えられているのが凄い気になったけど、まぁまぁ元気そうだ。
寧ろ、フジさんの後から部屋に入ってきたジェイド君の方がフラフラしているのはどうしてだろう?
って、ナデシコさん達の様子も気になるけど、まずはこっちだよね?
「で?リコレさんは、本当に何がしたかったんですか?」
大分整ってきた息で、僕はリコレさんに再度問いかける。
名残惜しいものの、畳から体を起こして手をついた。あっ、ついた手のひらが気持ちいい♪
「ん?見る感じ、アサギ君とマモルは精霊の盾と相性が良さそうだったんで、確かめてただけだぜ?で、どっちか手のひらが冷たかったりとか、痛かったりとかしなかったか?」
「「え?」」
「あ…」
アサギ君と葵君の疑問の声に、僕の呟きが重なる。
志○!後ろ後ろー!!
「リコレ、様?」
呼ばれた声に反応して、ギギギギギ、と油が切れた音がしそうなくらいぎこちなく、リコレさんが後ろを振り向く。
「貴方、また子供達に無理矢理確かめたのですか?」
ジェイド君の後ろから部屋に入ってきていたランスロット先生が、ニッコリと微笑んでいた。
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