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百六十二話目 確認


8月11日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「全く、郷の子供に無茶させるッスねぇ?」


「何じゃ、これだけ治せる者が揃っておるのじゃからして、何を躊躇う事がある?寧ろ、これは彼是試す、絶好の機会ではないか!」


 砕けたアサギ君の拳を、僕とリコレさんの2人がかりで治療していると、後ろからそんな声が聞こえてきた。


 見れば、ふんぞり返ったナデシコさんと、呆れ度MAX。と言った様子の葵君の姿があった。


 で、その声がリコレさんも聞こえたのだろう。アサギ君に治療魔法を施しながら、呆れた顔で、ナデシコさんを何度かチラ見していた。


「それに、鬼神族のおのこは丈夫じゃぞ?あの程度の怪我なら、何もせずとも明朝には完治しておるだろうさ」


「えっ!マジ?マジ何スか?フジさん」


「……一応事実ではありますが…。撫子様?少しお話ししたい事があるのですが?」


「私には無いぞ!!」


 あっ、逃げた。


 麗しの青鬼さんに凄まれたナデシコさんは、自身の紅い袴を摘まむと、部屋から凄いスピードで飛び出して行ってしまった。


 正に、脱兎の如くってやつだね。



「お待ちなさい!」


 そして、それを追いかけて、フジさんも部屋から飛び出して行った時、丁度アサギ君の治療も終わった。


 治療の最中、ずっとアサギ君は静かで、何故か傷口をガン見していて、友達ながら少し恐い。とか思ったのは秘密だ。


 でも、そんなアサギ君も、リコレさんに話しかけられれば、普通に返事を返してくれたから、何か思う事があったのかもしれないね?何たってアサギ君だし、さっきの反省とかしているのかも?



「ほい、おしまい。アサギ、何処かまだ傷む箇所はあるか?」


「かたじけのうござる。……何処も痛くは無いでござる」


 リコレさんの問いに、軽く傷めた方の手を振ってから答えたアサギ君は、胡座の姿勢のまま立ち上がると、ピシッと背筋を伸ばして、深々と頭を垂れた。


 流石はアサギ君。ほぼ腰が直角に曲がってるよ。



「改めまして、治療を施して頂き、かたじけのうござりました。まさか、貴方様が森の一族の族長殿とは露知らず、数々御無礼を申しました事、重ねてお許し願いたく候うにございます。」


「あぁ、あぁ、俺そう言うの嫌いなんだ。治療の方の感謝だけ、受け取っておくよ。それより、マモル。」


「ん?俺っちに何か用ッスか?」


 露骨に嫌そうな顔をしながら、リコレさんはアサギ君の恭しい態度を嗜めた。次いで、葵君を手招きしながら呼び寄せる。


「用があるから呼んだんだよ。確かお前さん、武道家だったよな?」


「正確には、拳闘士兼神官なんで、闘う神官さんって感じッスけどね?」


 それがどうかしたッスか?


 と、葵君が首を傾げながらリコレさんの側まで近付いてくる。


 葵君がリコレさんの隣まで来たとき、更に彼は葵君を手招きして、自分の隣に座らせた。


 そしてーーー。


 徐に葵君とアサギ君の手を取ると、そのままナデシコさんが置いていった【精霊の盾】に向かって押し付けた。……っておいっ!?



「うわっ?」


「なっ、何でござるか?」


 2人も、特に僕がリコレさんから貰った杖が、触ると火傷をしたりする杖だったのを知っている葵君は何とかリコレさんの手を離そうとするけど、あんなに細くてひょろいリコレさんが振りほどけない。


 しかも、2人がかりで暴れている様なものなのに、リコレさんはビクともしないばかりか、ケロリとした顔で首を傾げている。


 って!見てる場合じゃないよね?


「リコレさん、何してるんですかっ!?」


 僕も、2人に加勢しようと、リコレさんに向かって手を伸ばした。



やりたい放題の年寄りが止まりませんww


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまた同じ時間に更新致しますので、宜しくお願い致します

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