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百五十九話目 撫子とリコレ


8月8日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「アサギ君のお兄さんは雷属性持ちだったのですね?いや、雷属性とは珍しい」


「おっ、お恥ずかしいところをお見せ致しました」



 顔を真っ赤にして、いやいやと首を左右に振るフジさんと、楽しそうに笑うランスロット先生を横目に、僕と葵君、ジェイド君とアサギ君は、リコレさんの後ろに隠れちゃったナデシコさんを見つめていた。


 フジさんの剣幕に、すっかり怯えちゃったナデシコさんが、リコレさんの後ろから出てきてくれなくなっちゃったんだ。


 これで此処にいる誰よりも年上だって言うんだから驚きだよね?


 あっ、リコレさんは別だよ?この人いくつだか知らないし、念の為。


「なっ、ナデシコさん?」


《ブルブルブルブルブルブル》


 ……困ったなぁ。返事すら返してくれないや。


 見た目は子供だから、リコレさんの後ろに隠れている姿自体に違和感は無いんだけど、いつまでもこれじゃあ、ちっとも話が進まない。


 リコレさんのお蔭でサクサク進むようになった。何て喜んでたのになぁ…。



「なぁ」


《ブルブルブル》


「なぁ、ナデシコ。いつまでそうしてんだ?ってか、分かっててやってんの?」


 自分の背後に隠れて震えているナデシコさんに向かって、リコレさんが後ろを覗きながら呆れた様な声を出して、そして…。


「お前が抱きついてんの、俺だぜ?」


 と言いながら、僕が手渡した魔道具を外して元の姿に戻った。


 茶色の髪の毛と瞳が、真冬の雪山みたいに真っ白に変化していく。


 それと同時に、リコレさんが抑えていた魔力を解放した。


 魔力を解放すると、村に自分がいないのが即バレするから、絶対魔力を隠しとくぜ!何て言っていたのに…。此処にはナデシコさんが張った結界があるから良いのかな?



「なっ!?」


 あれ?


《ズザッ!》


 今までブルブル震えていたナデシコさんの瞳に、驚愕の色が灯り、ガバッとリコレさんから体を離したと思ったら、2~3メートルくらい距離をとった。



「なっ!そなた白いのではないか!!私を謀っていたのか!??」


 そして、ワナワナしながらビシィッ!っとリコレさんに向かって指を指した。


 え?お知り合いですか?


「だからさっきっからそう言ってんだろ?ってか、昔からの仲間に気づかれないとか、寂しいんですけどぉ~?」


「喧しい!魔力の扱いに長けた貴様に、本気で魔力を抑えられては気がつける訳がなかろう!!私は魔力を読み取ったり何だりと言った細かい事が苦手なのじゃぞっ!??」



 ギャーギャーと、さっきまでのフジさんとのやり取りとはまた違った感じでギャイギャイ言い合う2人と、おいてけぼりの僕達。


 少し離れた所にいた、フジさんとランスロット先生までもがポカンとした表情で此方を見ていた。


 すっごく仲が良さそうではあるけど、えっと、どう言ったご関係なのでしょうか?


「あ、あの~?」


「ん?おぉ、悪い悪い。ナデシコの奴が気色悪い事しやがるからついな?」


「なんじゃと!?白いの、そちが悪いのであろ?いたいけな私を騙したのじゃからな?」


「はぁ?それを言うなら、自分とこの子供を騙しておちょくる方が悪いだろ?って言うかな?お前の何処が【いたいけ】何だよ?この暴力女!!」


「あっ、あの、ナデシコさん?リコレさん?」


「なんじゃと~?誰が暴力女じゃ!こんなに可憐な乙女を捕まえて!!」


「はっ!可憐な乙女だ~?枯れてる婆さんの間違いだろ?」


「ムキーー!言わせておけばーーー!!」


「あの、落ち着いて下さいよ2人とも…」


「おっ?何だ?口で勝てないからまた暴力か?あの頃から何一つ進歩してないな?」


「キーー!そなただけは許さないのじゃあーー!!」



「「止めなさい!」」


《ゴンッ》


《ゴンッ》



「あ……」


 ナデシコさんの小さな拳が握りしめられ、リコレさんへと向かって行く……前に、フジさんとランスロット先生の拳が、それぞれの長の頭上に落とされた。


 さっきまでの威勢は何処へやら。揃って頭を抑えて蹲るナデシコさんとリコレさん。


 え~と。けっ、喧嘩両成敗?




何だか藤が撫子のお母さんみたいになってきました△´・ω・`;)<おかしいなぁ?


本日も、此処までお読み頂きありがとうございました。

明日も18時頃に更新させて頂きますので、またお読み頂ければ嬉しいです

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