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百五十四話目 鬼神村


8月2日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「誠にお見苦しいところをお見せ致しました。ほらっ、浅黄も謝りなさい!」


「うぅ、申し訳のうござる…」


 文字通り青い顔を赤くしたお兄さんと、頭にこぶを作って軽く涙目なアサギ君が僕達に頭を下げる。


 どうやら、本当に彼はアサギ君のお兄さんの様だ。リコレさんもランスロット先生も、彼に対しては警戒を解いている事からもそれが分かるね?



「本当に申し訳ありません」


 あっ、頭を下げてもらったから分かったけど、お兄さんは角が1本なんだね?


 銀色の髪の毛のてっぺん。丁度つむじの辺りに細くて長い角が生えているのが見えるや。



「あぁ、お兄さん。頭をあげて下さい。アサギ君もご家族からの連絡が途切れて不安だったのです。ですから、どうかあまりアサギ君を叱らないであげて下さい」


「そう言って頂けると助か…。ん?浅黄、連絡がつかなかったのはお前の方だろう?何を言っているんだい?」


「え?」


「ん?」


 ランスロット先生のアルカイックスマイルを受けて、また別な意味で少し顔を赤くしたお兄さんがアサギ君に向き直る。……けど、何か噛み合って無い。よね?



「どう言う事だ?」


 リコレさんが、訝しげにポツリと呟いた。



ーーーー

ーーー



「え?じゃあ、浅黄も此方へずっと連絡を取り続けていた。って言うのかい?」


「御意。よもや兄様(あにさま)からもご連絡を頂いているとは思わなかったでござる。それに、通信機にも着信履歴がつかなかったでござるし……」


 僕とランスロット先生のこれまでの説明を受けて、アサギ君のお兄さんの髪を結っている青い紐が、彼の驚きに反応して揺れる。


 その動きに合わせる様に、アサギ君もうんうんと頭を上下に振りながら答えている様子は、少し癒されるものがあるけど…。


「通信機に着信履歴が残らない。って言うのはおかしいな…」


「そうですね。おかしすぎます」


 リコレさんがまた呟いた。僕もリコレさんの意見には賛成だ。なので、僕も頷いて返した。


 この世界の通信機って言うのは、電波の代わりに魔力を使うんだけど、この世界はどこかの隙間だって魔素で満ちているから、魔力を遮断されない限りそんな事はあり得ないんだ。


 その【魔力を遮断する】って言うのだって、リコレさん曰く、


「村全体を覆って遮断する事は俺だって出来るけど、それだと魔力が外から入って来なくなるから、少しずつ中の魔力は無くなっていくんだ。人が住んでいる以上、日常的に魔素を使うからな?だから、こんな風に魔素をたっぷり残しながら魔力を遮断するってのは無理だぜ?それこそ魔素を生み出す魔道具か何かがあれば別だけどな?」


 なんだそうだ。【言うは容易く、行うは難し】ってやつだね?


 更に言えば、リコレさんが村に張っている結界は、魔素だけを通す仕組みになっているから、魔力の流れに長けた人物には丸分かりなんだって。だから、コローレも簡単に村を見つけられた。って事らしい。


 なるほど。



「兎に角、私では詳しい事は分かり兼ねますので、詳しい話は当主にお聞き下さいますか?お客人をご案内する様に。と仰せつかっておりますので」


「ありがとうございます。では()()()()もそれで宜しいでしょうか?」


「あぁ。それで良いよ?えぇっと?」


「あっ、申し遅れました。私、六条浅黄の兄で六条藤(フジ・ロクジョウ)と申します。以後、お見知り置き下されば嬉しゅうございます」


「うん。宜しくフジ君。僕はリコレだ」


「私はランスロット・フェザー。聖ホルド学園で教師をしております」


「僕はーー」


 村へ入ったら、リコレさんを【族長】と呼ばない様にしよう。


 先に決めておいた事柄を守りながら、僕らはフジさんに自分達を紹介していった。


 さぁ、フジさんが何処に案内してくれるのかは分からないけれど、少なくとも良い方向へ転がれば良いな。そう思いながら、僕は柔らかく笑うフジさんを見つめていたのだった。



今更な気もしますが(笑)リコレを名前呼びにしてみました。


さて、本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日の更新なのですが、ちょっと泊まりで出掛けなくてはならず、執筆時間も取れるか分かりませんのでおやすみさせて頂きます(--;)


おやすみばかりして申し訳ないのですが、宜しくお願い致します。

次の更新は、明後日、8月4日に更新させて頂く予定です。


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