百五十二話目 奇妙な双子
7月31日。7月最後の更新です。
本日も、宜しくお願い致します
2019年4月18日 誤字修正致しました
「「お帰りなさいませ、浅黄様」」
鳥居の横に並んだ狐面の着物の少女2人は、アサギ君に向かい、揃ってペコリと頭を下げた。
彼女達の着ている着物とおかっぱ頭が、動作に合わせてフワリと揺れる。
着物って言うか振り袖には、金糸や銀糸、その他色とりどりの糸でもって刺繍された糸の蝶々が、真っ赤な椿の花にとまっている様を鮮やかに描かれていた。
地色は、裾の方から黒→白へのグラデーションになっていて、 10歳いくかいかないかくらいの彼女達が着るには些かシックすぎる気もするけど、この2人の落ち着いた雰囲気にはあっているのかな?真っ赤な椿の花にもあってるしね?
更に、帯はこれまた鮮やかな翠。濃い翡翠色の帯に、金糸をよって作られた帯紐が、帯留めとしてしめられていた。
金の糸の帯紐なんて派手になりすぎるんじゃ?何ても思ったけど、ヒラヒラと振り袖の中で飛んでいる蝶々にも金糸が使われているからか、不思議と着物の雰囲気を壊さずに調和していた。
って言うか、やっぱり振り袖は良いねぇ?女の子が着ると華やかで、目の保養にもなるよ。うんうん。
「そ、某達は?」
「「はい。私達は、撫子様に造って頂いた、双子型魔道具。Nー1031ー315と申します。」」
「私の事は彩」
「私の事は光」
「「と、御呼び下さいませ」」
ととと、話が進んでたや。
困惑した様な表情を浮かべたアサギ君が、恐る恐るといった感じで、目の前の少女に話しかけていた。
で、右側の子がサイちゃんで、左側の子がコウちゃんって言うんだね。フムフム……ん?サイ、コウ…?最高?
いやいやいや。まさかねぇ?そんな安直な由来じゃないよね?
兎に角、2人は人型の魔道具なのだとか。確か双子型魔道具って言ってたっけ?
向こうの世界でもロボットだアンドロイドだ何だとあったし、研究も世界中でされていたけれど、本物を目の前で見るのは初めてだ。
厳密に言えば、2人はロボットやアンドロイドとはまた別物何だろうけど、それでもやっぱり凄いよね?だって、目の前の2人はどう見たって鬼人族の子供に見えるもの。
サラッサラでツヤッツヤの黒い髪の毛も、子供特有のプニプニしたほっぺたも、おかっぱ頭からチラリと見える小さな角も、どこを見てもただの女の子に見えるのに、これが魔道具だって言うんだから、世界最高の魔道具技士の弟子でもある僕と致しましては、やっぱり興奮の色は隠せません!!
うわ~。中身はどうなってるんだろう?気になるなぁ~。気になるなぁ~。
と、僕がハフハフ興奮していると…。
「こらっ」
「ぃでっ!?」
僕の頭に拳骨が落ちてきた。
「いた~」
「新しいオモチャ買ってもらったガキみたいな顔してたぞ?興奮すんのは分かっけどよ。取り合えず落ち着け。あの2人が味方かどうかも分からないんだぞ?」
「うぅ~。すいません」
そうだよね?このタイミングでセキュリティが新しくなりました。って言うのは幾らなんでも怪しすぎる。
もし変えたにしても、アサギ君に一言も無いのはおかしいもんね?
よし。
《パンッ》
向こうの3人に気づかれない程度に軽くほっぺたを叩いて気合いを入れ直す。
見れば、ランスロット先生もいつでも動ける様に。と、いつの間にか杖を懐から出して、シレッと臨戦態勢を取っていた。勿論、葵君とジェイド君も、だ。
いかんいかん。浮かれていたのは僕だけだったみたいだね?
「ん。分かれば良い。あのアサギって坊主はナデシコ。って名前を聞いて動揺している。いざとなったら、あいつの代わりに戦ってやれ。たぶん、あの様子だと初動が遅れるぞ?死ななきゃ俺が治してやるから、何とか生かせよ?」
「了解です」
「「浅黄様がお戻りになられたら、撫子様の下へとお連れする様にと申し伝えられております。その際、お客人も一緒ならその方々も一緒にとも申し伝えられておりますので、此方へどうぞ」」
「む?シエロ殿…先生……」
心配そうな顔をするアサギ君に、僕とリコレさん、ランスロット先生は頷いて答えた。
本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。
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