百五十一話目 門番
7月30日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
今、僕達の目の前には、真っ赤な朱塗りの鳥居がある。
高さはそこまで高くは無く、大体2メートルあるか無いかくらいの高さのそれは、何故か朱色の木枠の中に襖がはまっていた。
襖には松と竹と梅の絵。
いわゆる松竹梅が描かれていて、あ~、こっちでも松竹梅って縁起が良いものなんだ~。とか思った。
まぁ、それはさておき。
うん。どう見ても鳥居だ。襖がはまっている以外は、どこの神社にもありそうな、古ぼけた鳥居がそこにはあった。
ただ、現れた場所が森の中なので、鳥居はともかく襖の違和感が半端無い。
ともあれさっき探った魔力の流れはこの襖に繋がっている様なので、此処がアサギ君の生まれ故郷へ繋がっている事は間違い無いと思うんだけど…。
「ランスロットさん。これって、勝手にふすま開けて入っちゃって良いんスかね?」
葵君がアレ。と鳥居を指差しながら、ランスロット先生に問いかけているけど、そうなんだ。襖は隙間も無い程ピッチリと閉まっていて、何だか此方を拒んでいる様な、そんな感じも受けるんだよね?
まぁ、僕の気のせいだとは思うんだけど…。
「そうですねぇ…。族長、どう思われますか?」
「ん?そうだなぁ。アサギ、君が開ければ大丈夫な筈だ。やって見てくれ。もう目は見えるだろ?」
「え?あっ、はいでござる!お陰様で、目は治りもうした。で…。拙者が開けるでござるな?そちらも了解でござる」
リコレさんに促され、ゴクリ。と唾を飲み込みながら、アサギ君が襖に手をかけた。
もう少しで襖の取っ手?の部分に指がかかる。と言うところで…。
《パンッ!パパパパパパパパパンッ!!》
と、襖が開いた。
って言うか、鳥居1基じゃなかった!!
京都の千本鳥居みたいに、幾つも幾つも奥へと鳥居が連なっていて、その1つ1つに付いた襖が順々にパパパパと音をたてて開いていく。
「うわぁっ!?」
それに驚いたアサギ君が驚愕の声をあげながら尻餅をついた。
「だっ、大丈夫?」
慌てて彼に駆け寄る。
「大丈夫でござる。いや、しかしこれは何とも…」
と、襖が開いた鳥居へと視線を移して溜め息を吐いた。
うん。確かにね?
僕もアサギ君に倣って鳥居の方を見ると、そこには何メートル続いてるんだ?ってくらいズラッと鳥居が並んでいるのが見える。
少し視線を横にずらすと、鳥居は確かに1基しか見えないのに、鳥居越しに見ると幾十、幾百もの鳥居が縦に揃って並んでいるのが不思議。
久しぶりに魔法すげぇって思ったもんね?
《シャンッ》
「ん?」
また鈴の音が聞こえた。
《シャンッ》
「「浅黄様、お帰りなさいませ」」
いつの間に現れたのか、鳥居を挟む様にして着物姿の少女が2人、並んで立っていた。
白地に朱色の線で描かれた狐の面が、酷く印象に残った。
伏見稲荷行きたい!!
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまた18時頃に更新致しますので、宜しくお願い致します




