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百四十八話目 今度こそ出発


7月27日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「では、シエロ君にあの杖を試した。と?族長!下手をすれば、シエロ君の手が消し炭になるところだったではありませんか!?なんてことを……」


「ん?大丈夫だって、何かあれば、俺がササッと痕も残さず治してやったさ」


「そう言う問題ではありません!!私の可愛い教え子に怪我をさせる様な真似を、軽々しくやらないで頂きたいだけです!!!」




 今、僕達はジェイド君の背中に乗せてもらいながら、アサギ君の故郷の村を目指している。


 結局ランスロット先生のお説教が始まりそうになっちゃってるけど、まぁ歩きながら始まるよりはマシ。って感じかな?ん?マシか?



 ジェイド君は、ちょっとした小山くらいの大きさがあるので、僕を含めて6人乗せてもびくともしない。あっ、5人の筈なのに1人増えてるのは、咲良がいつもの如く僕のチャイルドシートになってくれているからだよ?


 まぁ、それは置いておくとしてさ。いくらびくともしないからと言っても、流石に自分の上で揉め事が起こるのは困るし嫌でしょ?だからか、ジェイド君。さっきっから飛ぶのもどこかソワソワして落ち着かないんだよね。


 高いところが怖い僕としては、落ちはしないにしても、フラフラされるのはやっぱり怖いんだよ。だからさ、出来ればすぐにでも揉めるのを止めていただかった。ので。



「あの~。お話し中申し訳無いんですが、ジェイド君の上で暴れないで頂けないでしょうか…」


「あっ、わりっ」


「もっ、申し訳ございません」



 ってな感じで、軽く嗜めてみた。流石に此処が空の上だって事に気がついたのか、2人はすぐに大人しくなってくれたよ?


 まぁ、揉めるって言っても、2人の場合一方的なお説教だったんだけどね?


 それより……。



「ところで、僕の手が消し炭になるところだったって言うのはどう言う事ですか?」



 こっちの方が気になる。


 消し炭ってあんまり穏やかじゃないよね?だって、消し炭だよ?消し炭。



「あ~。それな?気にすんな。ランスロットが少し心配性なだけだ」


「また適当な事を…。はぁ。良いですか?シエロ君。あの杖は、数百年持ち主が見つからなかった、ある意味曰く付きの品です。何故見つからなかったのか。それは単純な理由です。杖が、己に触れる者を全て燃やすからです。族長はまだ杖との付き合いが長いので、火傷くらいで済みますが、他の者が触ろうものなら、容赦なく消し炭になるまで燃やし尽くしてしまう、恐ろしい杖なのですよ?」


「え…?いや、だって…。え?」


 思わず腰にさしてある杖を見る。


 折角頂いたんだから。と、かつてランスロット先生から貰ってずっと使っていた杖には一旦お休みしてもらって、今日はナツヒコさんが使っていたと言う真っ白い杖を装備していたんだ。


 で、話を戻すと、思わず杖を思わず見ちゃった訳なんだけど…。



《ぽっ、ポポポゥ!ポゥポゥポポゥ》


「……」


 何か明らかに言い訳しているかの様に光っていた。


 勇者様が使ってた。ってくらいだから、何かしらあるだろうとは思ってたけど、まさか意思の疎通が取れる杖だったとはね。……面白いな、これ。




《ポポポゥ!》


 僕としては、いや、まだ何も言ってないよ?って感じなんだけど、やたらと言い訳してる姿が何か可愛くて、少し癒された。


「咲良、ちょっと動くよ?」


「御意」


《シュルッ》


 チャイルドシートの咲良に断りをいれてから、杖に手をかける。


 ローブを留めている腰ひもに引っ掛ける様にしてさしていただけなので、軽く引っ張れば簡単に外れた。



「あっ、だっ、大丈夫なのですか?」


 心配げなランスロット先生の声が後ろから聞こえてきたので、


「あっ、はい。ほら、全然大丈夫ですよ?」


 と、杖を軽く振りながら安全をアピールしておいた。


 しかし、この綺麗な杖がそんなにお転婆さんだったとはねぇ?


《ポゥ…》


 杖を両手で持ったままマジマジと見つめると、淡く一回光った。


 あはは、何だか恥ずかしがってるみたいに見えるね?


 初めて手にした時もこうやって見ていた筈なのに、こうやって違う反応が返ってくるって事は、少しは僕に慣れてくれたのかな?



「んフフ。ランスロット先生、こんなに可愛いのにそんなに危ない子だったんですか?」


「え?えぇ、確か私と年の近い親戚が試した時等は大変な目にあっていましたから…」


「あれは、あいつが乱暴に台座から引っこ抜こうとするからだろ?第一、あれも俺が治したしな?そいつは機嫌を損なわなけりゃ安全なやつだぜ?」


「じゃあリコレさんが火傷してたのは?」


「あー。あれは、そいつが寝てたとこ叩き起こしたからだな!慌ててたから、そいつの言葉を聞く前に引っこ抜いたってのもある!!」



《ポゥ…》


 ハハハと笑いながら暴露したリコレさんに、杖がため息を吐くみたいに光ったのが、何だか面白かった。




一応出発してますww


本日も、此処までお読み頂きありがとうございました。

明日も18時頃に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します

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