百四十七話目 出発
7月26日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
そのままでも最初から目立ってたよ。とか言わないの!それは本人が一番分かってっから!!
……ふぅ。ちょっとスッキリした。
さて、ようやく合流を果たした僕達だったけれど、もう少し出発するまでには時間がかかりそうだ。
何故なら…。
「何故ここに族長がいらっしゃるんですか?」
「いやいやいや。お前こそ何で居るんだよ!?ランスロット!」
そう。アサギ君はランスロット先生を連れてきていたんだ。
確かに昨日、僕が仲間を数人連れていっても良いかな?と、彼に了承を得る際、
《《「でしたら、拙者も1人連れていきたい方がいらっしゃるのでゴザルが…」》》
《「あっ、本当?」》
《《「魔法系の結界にお強い方でしてな?シエロ殿が良ければご一緒願いたいのでゴザル」》》
《「勿論だよ!って言うか、先に他の人連れていって良いか聞いたのはこっちだしね?」》
的な話はした。
したし、何があったのか分からない場所に連れていくのだから、きっと、相当な使い手さん何だろうな~。どんな人が来るのだろう?
的な事も考えた。
でもまさかランスロット先生だったとはな~。ハハハ。ちゃんと聞いとけば良かった。いや、失敗失敗。
元々目立っていたのが、ランスロット先生の登場で、更に騒がしくなっちゃったもん。
それも、ランスロット先生はこの街では超が付く程の有名人だからなんだけどね?しかも、滅多に町中には姿を現さない。そんな会うだけでレアな人が、こんな所にヒョッコリと現れたら、そりゃあ目立つってもんです。
え?何で学園の一教師がそんなに有名人なのかって?
それはね?小さい頃に夢物語で聞いたり読んでもらっていたほぼ全てのお話しが、殆どこの人のパーティーのお話だったからだよ?
メンバーは、うちのじいちゃんとおばあ様、ランスロット先生、それにコローレ事クラレンス神父の4人で、この4人が、若い頃に仕出かした事が面白おかしく、脚色されたりもしながら絵本や物語になって、国中で売り出されているんだ。
しかもどれもこれもがベストセラーで、人気の勇者様の物語や大魔導師の物語と肩を並べる程の人気作ばっかり。
ドラゴンを倒したり、魔族に拐われた貴族のお姉さんを助けたりーーまぁ、貴族のお姉さんはうちのおばあ様だったし、そのおばあ様は1人で魔族をノシてたらしいけどーー、王様の命を狙う悪い大臣が今まで隠していた横領や殺人なんかの罪を暴いたりと、色々やらかしていたんだそうだよ?
まさか、実の祖父が居たパーティーの武勇伝を、学園の歴史の授業で習うなんて思ってもいなかったよ。いや、本当。
絵本の主人公達全員知り合いですやーん!!僕が好きだった話が実の祖父母の実話だったとか、恥ずかしくて死ねる!!!
って叫ばなかった自分を褒めてあげたいよ。全く。
「族長がホイホイ街の中を歩かれては困ります。父上達は、族長がここに居ることを知っているのですか?」
「俺がどこを歩こうと自由だろ?大丈夫だって、俺の椅子んとこに手紙は置いてきたから」
「……それを無断外出と言うのではないでしょうか?」
おっとマズイ!このままだと、ランスロット先生のお説教3時間コースが始まってしまう!!
流石にこんな場所でお説教が始まったら目立つどこの騒ぎじゃなくなっちゃうし、アサギ君にも申し訳ない。それに、何よりも門番さんのオロオロ具合がそろそろ本気でいたたまれない状況になってきた。
うわっ!?飄々とした風のリコレさんの態度のせいで、ランスロット先生の背後に見える真っ黒いオーラがエライ事になってるじゃん!ヤバイヤバイ!!
「お2人共、お話しは道すがらでも宜しいですか?これ以上は門番さんの、その、ご迷惑にもなりますから…」
と、言う訳で、慌てて2人の間に割り込む。
「むっ」
「そう、ですね…。では続きは門の外でに致しましょう」
僕がチラリと周りを気にしながら2人をなだめると、2人も周りを見回してから同意してくれた。
この状況に気づいてなかったのには少し驚きだったけど、僕らの周りには結構な数のギャラリーの輪が、僕らをグルリと取り囲む様な形で出来ていたんだ。
もう一度チラリと門番さんの方を見れば、明らかにホッとした様な顔をしていて、本気で申し訳なくなった僕なのでした。
うちのエルフが2人揃うと何だか画面が濃ゆそうですねww
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も同じ時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します




