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百四十六話目 待ち合わせ


7月25日の更新です。

本日も宜しくお願い致します





 アサギ君から連絡が来た次の日の朝。


 僕()は、王都の東門に居た。



 昨日アサギ君から連絡を受けた時、その場に居た裕翔さんに許可を貰い、すぐにアサギ君の故郷へ一緒に行く事になったんだ。


 その話を、だから明日から少しアジトを離れます。と、説明がてら夕食の時に話したら、(マモル)君とジェイド君、そして、リコレさんが、いつの間にか着いてくる。と、言う事になっていた。


 葵君とジェイド君だけならまだしも、何でリコレさん!??とか思ったけど、今所用でコローレがいないし、リコレさんが一緒なら安心だから!と、熱弁する裕翔さんに根負けして、結局押しきられた。と言う訳です。


 まぁ、説得と言う名の脅しも入ってたからなぁ…。


終始、【「リコレさん連れてかないなら、行っちゃ駄目!!」】的な圧を感じたもんね。


 裕翔さんも宇美彦も別件で忙しくてどうしても着いていけないから、ここんとこ毎日遊びに来てたリコレさんに頼んだ。って事なんだろうけど、なんだろう。この信用されてない感は…。


 ちょっと悲しい。クスン。




「なぁシエロ殿、シエロ殿。マモルの作戦とやらは成功だな?さっきからうちの連中っぽい森の一族がチラホラ通り過ぎて行ってるが、誰も俺に気がついて無いっぽいぜ?シシシ。こりゃ愉快だな?」


「リコレさん、あんまりはしゃがないでくださいよ?」


「へー、へー」



 両手を後頭部で組む様な動作をしながら、リコレさんが唇を尖らせる。


 全く。変なとこ子供っぽいんだから…。



 あっ、そうそう。何であんなに派手な見た目のリコレさんが居るのに、門の周りが騒ぎになってないかと言えば、変身用の魔道具を使ってもらっているからだよ?



《「案外あの真っ白な髪の毛と、やたら目立つ神官服を着替えちまえば、普通のエルフさん達と変わらないんじゃねーッスかね?」》



 と言う葵君の推察の下、取り合えず、リコレさんには髪と目の色を変える魔道具を使ってもらい、髪の毛を栗色、瞳の色を濃いめの茶色に変えてもらったんだ。


 そこに、一般的な魔法使いの冒険者が使っている、紺色のローブを身に纏えば、アラ不思議。どこから見ても、普通のエルフさんの出来上がりです!


 さっき、リコレさんにははしゃがない!みたいな事を言ったけど、実際エルフ…森の一族の人達が、何の疑問も持たずに彼の前を通り過ぎる様は、見ていて少し楽しかった。


 里の中では皆に傅かれていたリコレさんが、ただの森の一族として、普通にブラブラ出来るのが嬉しい!とはしゃいでいるのを見ていたから。ってのもあるけど、純粋に僕がリコレさんを使って、魔道具の実験をさせてもらえていたからかもしれない。




「シエロ殿!」



 そんなこんなで、4人揃ってボーッと東門の前で待っていると、向こうの方から声をかけられた。


 見れば、くすんだ赤い色の肌をした金色の髪の毛の鬼が、此方へ向けて、手を振りながら走ってくる姿が見える。


 赤地に黒の格子柄に良く似た柄の着物を着て、足には袴の様な物をはいた、動きやすそうな服装のその人物は、正に大きくなったアサギ君だろう。


 額から生えた2本の角も、随分と長くなっていて、もうおにっ子と言うよりは鬼!って感じだ。


 しかし、うわ~。やっぱり鬼は和装なんだね?制服を着ていた時は、違和感がはんぱなかったけど、うん。こっちの服装だとしっくりくるね。



「アサギく~~ん!」


《ザワッ》


「おい、あれ薔薇姫だったのかよ?」


「うわっ!俺、さっき隣に立ってたぜ?」


「「「ってか、薔薇姫に気安く声をかけるあいつは誰だ!??」」」



 ローブのフードを目深に被っていた僕が不本意ながら【薔薇姫】何て呼ばれている冒険者だと知って、少し周りがざわついたけど、僕は気にせず此方に走ってくるアサギ君に手を振って返した。


 ……ちょっと周囲のアサギ君を見る目が厳しくなった気がするけど、たぶん気のせいだよね?


 うん。気のせいだ。




 うんうん。何て1人で納得している間に、アサギ君は僕達の居る場所へと駆け寄ってきたんだけど…。


「シエロ殿、この度はわざわざご足労頂き、かたじけのうござる」



 駆け寄るなり、そのままの勢いで深々と頭を下げた。



「もう、君と僕の仲でしょ?って!いちいちそんなに畏まらないでよ」


《ザワッ》


 と、不満一杯!と言った顔で抗議したんだけど、あんまりアサギ君には通じなかった。


 それどころか、


「いや。それとこれとは話が別でござる。寧ろ、親しき仲にも礼儀あり。でござるよ。いきなりご連絡申し上げたのは拙者の方でござるからな」



《ザワザワ》


 と言ってきいてくれなかったんだ。



 そうだ。アサギ君は普段は優しいし温厚な性格だけど、結構頑固者だったんだったっけ。



 そんなアサギ君の姿を見つつ、少し焦りながら周りをチラ見してみると、いつの間にか僕達の周りの人達がザワザワと騒ぎだしていた。


 もう!アサギ君が深々と頭何か下げるから、折角ここまで目立たずにきたのに、メチャメチャ目立っちゃってるじゃん!!




相変わらず勘違いしているシエロなのでしたww


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日も18時頃に更新致しますので、また宜しくお願い致します

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