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百四十四話目 突然の着信音


お久しぶりでございます!!

今日からまた新章スタート致しますので、宜しくお願い致します!




《ジリリリリリリ、ジリリリリリリ》


 いつもの様に朝食の支度を済ませ、皆が食べている姿を見ながら、皿を洗いつつお茶を飲んでいた。


 そんな時、突然食堂内にベルの音が鳴り響いたんだ。



「何だ!?」


「何の音??」



 丁度食堂に居た宇美彦と裕翔さんが声をあげる。


 僕も聞き慣れないベルの音に、ワタワタしながら音の出所を探すが、見つからない。


 何だか凄い近くで鳴っている様な気もするんだけど……。



 すると、僕の隣で皿洗いを手伝ってくれていた咲良が、僕の顔を見ながらポツリと呟いた。


「マスター。貴方の通信機が鳴ってるんですよ。出なくて宜しいんですか?」


「え?ーーーいや、でもこんな音、ギルドカードには無いよ?」


「いえ。此方は、マスターが学園の卒業式の日に、クラスメイトの皆さんにお配りしていた通信機の方です。今までの6年で鳴ったのは確かに今日が初めてでは御座いましたが…。マスター、お忘れですか?」



 ん?


《ジリリリリリリ、ジリリリリリリ》



「あっ!」


「……お忘れだったんですね?」


 咲良が冷たい目で僕をみる。


 うぅう。しょうがなかったんだよぅ。言い訳させてくれよぅ。


 確かに、僕は卒業式の日にクラスメイト全員分の通信機を作って渡した。


 あんまり嵩張ると迷惑になるからって、某名探偵の探偵バッチをぱく……こほん。参考にさせてもらって、少し細長い楕円形の形で作ったんだ。


 けどさ…。あれから6年。今まで誰からもそれ使って連絡が来てないんだから、いくら僕でも忘れるってもんだよ!



《ジリリリリリリ、ジリリリリリリ》


「言い訳は良いんで、早く出て差し上げて下さい」


「あっ、はい…」


 最近咲良が冷たいよぉ…。


 ちょっと悲しくなりながら、魔導リングにしまいっぱなしだった通信機を取り出す。



 確かに、魔導リングにしまっている時でも分かりやすい様に。って感じで作ったけど、まさかこんなに大きな音で聞こえるなんて、ね?ちょっとびっくりした。……うん。後で少し改良しよう。



《プチッ》


 僕は心のメモ帳に改良案をメモしながら、通信機の受話器ボタンを押した。


 あっ。今気がついたけど、これ誰がかけてきたか分かりづらいな。だから皆使ってくれないのかしら?うぅ~ん。これも改良の余地ありだな。



「もしもし?」


《「あっ、此方は、シエロ殿の通信機であっているでござるか?」》


「えっ?もしかしてアサギ君!?」


《「良かった、シエロ殿でござる…。あっ、これは失礼致した。拙者、アサギ・ロクジョウでござる。ご無沙汰致しておりまする」》



 皆にお手製の通信機を渡してから6年。


 初めてこの通信機を使って連絡をくれたのは、僕のクラスメイトの中でも真面目中の真面目侍。鬼っ子のアサギ・ロクジョウ君だった。




貰った方は覚えていても、渡した方は忘れている事って結構ありますよね?えっ?無い??


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまた18時頃に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します

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