百四十話目 古代竜
7月11日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「いや、んん?では無くて、ジェイドの母君のウルスラさんは古代竜でしたでしょうに。お忘れですか?」
「え!!ウルスラさんって、古代竜だったの!?あちっ!!」
ビックリし過ぎてお茶を溢した。
いや、そうじゃなくて!!
「確かに言葉遣いとか、所作とか、端々に気品が感じられるドラゴンさんではあったけど、ウルスラさんって古代竜だったの?あっ、じゃあジェイド君もそうなんだ?」
呆れ顔の咲良と目を合わせない様にしながら、お茶を溢した事を誤魔化す様に捲し立ててみる。
「ジェイドはまだ産まれてから日が浅いので、まだ古代竜には進化していません。それより、早く拭きませんと染みになりますよ?」
「あっ、うん。すいません…」
誤魔化されなかった咲良さんに、溢したお茶の始末をしてもらってしまった。
何だか最近、咲良さんの執事能力が上がり過ぎて辛い。
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「と言う訳で、【古代竜】とは年を取ったドラゴンが進化した姿なのです。進化する条件と致しましては、数百年から数千年生きた個体。と言われていますね」
「数千年?……何だか凄すぎて、想像もつかないですね?」
「ハハハ、そうじゃろうな?因みに杖の材料にもなった古代竜様は、その当時で齢300年のドラゴンだったそうじゃよ?」
「じゃあ、それから300年近く経っている訳ですから、今は約600歳くらいですか…。うん。やっぱり想像がつかないや」
ウスタールさんや村長さんに、杖の材料となった【古代竜】の謂れを聞いていた。
【古代竜】何て言うのは、昔からいるドラゴンの種類か何かだと思っていたけれど、まさか年を取ったドラゴンが進化してなる物だったとはねぇ?ビックリだよ。
「因みにさ、この杖の材料になった古代竜は炎属性のドラゴンだったらしいよ?ねぇ?コローレ?」
「えぇ。確か、炎属性なのに鱗が真っ青なドラゴンでしたね…。何でも普通よりも高温の炎を出せる。とか言っていましたっけ」
「あっ、お帰り。もう終わったの?」
急に話しに混ざってきたリコレさんとコローレの声に振り向く。
そこには、ちょっとヨレッとしたリコレさんと、大層ご機嫌な様子のコローレさんが居た。
うわぁ。あっ、そう言えば、さっきジャイアントスイングくらってたな、リコレさん…。
「ウスタール~。俺にもお茶いれて?」
「はいはい」
「で?何処まで話した?」
ウスタールさんにお茶をいれてもらいながら、リコレさんが村長さんに訊ねる。
村長さんは、一口自分のカップからお茶を飲んだところで、
「杖の材料となった、古代竜の説明をしたところじゃ。まだ何も説明出来とらんわい」
と、ヨレヨレになったリコレさんに苦笑しながら答えていた。
「何だ、まだそんなもんか?じゃあ、シエロ殿」
「はい?」
「シエロ殿は、炎属性は持ってっか?」
「いえ、火や水の属性は持っていませんので、その上位属性でもある炎は使えません」
僕は、正直に答えた。
まぁ、別に隠したって仕方無いしね?
僕が答えると、リコレさんは、
「ふぅん。じゃあ、その杖は今後のお前さんの冒険の一助にはなるだろうさ」
と言って笑った。
その笑顔が、最初に会った時みたいな綺麗な笑顔だったので、同性だって分かってるのに少しドキっとした。
ジャイアントスイング。
よゐこは真似しちゃ駄目だぞ!!
本日もここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。
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