百三十九話目 魔法の杖②
7月10日、納豆の日の更新ですネバ。
本日も宜しくお願い致しますネバ。
「え?でも、僕は何とも無いみたいですけど……」
そう僕は返して、リコレさん達に手のひらを見せる。勿論そこには傷も火傷も無く、つるりとした僕の手のひらがあるだけだ。
と、それをみたリコレさんは、更にニヤリと笑う。
えっ!?何、ですか?
「シエロ殿、その杖はな?持ち主を選ぶのじゃ。杖自体が意思を持っているのかまでは分からぬが、気にくわぬ相手に触られると、先程の親父殿の手の様に、攻撃されてしまうのじゃよ」
と、困惑しきりの僕に、村長さんは僕の頭をポンポンしながら教えてくれた。
「その通りです。これは、父上だからこそあれくらいの火傷で済んでいますが、私達等は結界の様なものに阻まれて、触る事すら出来ないのですよ」
「え?そうなんですか??」
「そうなんだよ!つまり、杖に攻撃されないって事は、杖にシエロ殿が気に入られたってこった!」
まるで慰めるかの様に僕の周りを囲む村長さんとウスタールさんに対し、リコレさんはクルクル回りながら喜んでいる。
え?何、この態度の違いは??
「リコレ、まさか貴方、これで厄介払いが出来る。何て考えている訳では無いでしょうね?」
「ドキっ!そっ、そんな訳無いだろ?今は亡き大切な親友が遺してくれた大切な代物だぜ?そんな、まさか厄介払いが出来る!だなんて、思う訳が無い!」
リコレさんの慌てっぷりに、コローレの黒い笑みが深まる。
うわ、コローレさんメチャメチャ怒ってるよ……って言うかさ、リコレさん分かりやす過ぎじゃない?
コローレに言い訳しまくっているその姿は、最初に会った時の冷静沈着な、涼やかな雰囲気からは考えられないくらいの狼狽えっぷりだ。
「リコレ?」
「いや、だから、そんな事たぁねぇって?なっ!?」
うん、リコレさん詰んだな。
まぁ、リコレさんとコローレは昔からの知り合いみたいだし、放って置いても大丈夫だよね?
うんうん。障らぬ神に祟りなしって言うし、放って置こう。
「なぁっ!?シエロ殿?お前さんからもこいつに言ってやってくれよ!!あれ?シエロ殿??」
何か後ろの方で聞こえるけど、無視無視。
さて、と。
後ろの喧騒を無視して、僕は手の中にある真っ白い杖に目線を落とした。
「見れば見る程綺麗な杖だなぁ…」
大体7~80㎝くらいの持ち手の部分は汚れも穢れも微塵も感じさせない程真っ白で、木のぬくもりと石や象牙なんかの無機質さを兼ね備えている、不思議な感じのする杖だ。
肌触りはスベスベしていて、よく見れば木目かな?って感じの模様もある。
じゃあ材質は木なのかな?っても思えるんだけど、何となく木では無いんじゃないかな?って気がする。
いやいや、木目もあるんだろ?何言ってんだ?って言われるかもしれないけど、何となく、木では無いって気がするんだ。
「村長さん。この杖何ですけど…。材質は木……では無い気がするんですが、いかがですか?」
疑問はすぐ解決しないとね?
って事で、僕と同じく見て見ぬふりを決め込んでいた村長さんとウスタールさんの所へ聞きに行く事にした。
2人は素知らぬ顔をしながら、勝手知ったるなんとやらで、勝手にお茶をいれて飲んでいたよ。
振り返ったら優雅なティータイム中のイケメン2人が見えて、一瞬近寄るの躊躇っちゃった。
「ん?おぉ。シエロ殿、よく気付かれたな?それは竜種の牙で出来ておる」
「竜種の牙、ですか?」
「そうです。父上から聴いた話しによりますと、ナツヒコ様が仲良くなった古代竜から頂いた物を加工した物。だ、そうですよ?さっ、お茶でも如何です?」
「あっ、ありがとうございます。しかし、古代竜ですか…。どんな竜なんでしょうね?古代竜、響きからして格好良さそうです!」
僕は、ウスタールさんからお茶を受け取りながら、未だ見ぬ古代竜に思いを馳せた。
「お言葉ですがマスター。古代種の竜にはマスターも既に会っておられますよ?」
と、今まで静かだった咲良が、急にお腹の中から出てきたと思ったら、僕の耳元に顔を寄せて、コッソリとそんな事を教えてくれる。
「ん?」
咲良がそんな事をするなんて珍しいな~。何て思いながら、彼の言葉に耳を傾けていると…。
「トカゲ……ジェイドは古代竜の子供ですよ?」
「んん?」
聞き違いかな?って言葉が耳に入ってきた。
んんんんんん?
この光景見たら、ナツヒコさん涙目ですよねww
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も今日と同じ、18時頃の更新となりますので、また宜しくお願い致します




