百三十七話目 プレゼント
7日8日の更新です。
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「で?お前ら何しに来たんだっけ?」
綺麗に決まったチョークスリーパーを受けたコローレの介抱をしていると、それを見ていたリコレさんから衝撃の一言が飛んできた。
思わずコローレごとズッコケそうになるが、何とか押しとどまる。危うくコローレを潰してトドメを刺すところだった…。
「え~っと、リコレさんが呼んでいるから、と言う事で伺ったんですが……」
ジト目でリコレさんを睨むコローレを宥めながら、リコレさんに答える。
「ん?あぁっ!そうだそうだ!!あれ?じゃあ呼びに行ったウスタールは?どうせスワードも一緒に来るだろうと思ってたんだけど…?」
「あ~。コローレさんが本気だして走ったので、そのぉ~……置いてきました………」
真っ直ぐな瞳で聞かれた僕は、目を泳がせながら、歯切れ悪く答えた。
流石にぶっちぎりました。何て言いづらくない!?
すると、リコレさんは一瞬目をまん丸くした後で、
「何?あいつらぶっちぎられたの!?何それ、ウケるんですけど!!」
と、大笑いし始めた。
「ウハハハハハヒヒヒヒ、ウグッ!ゲホッゲホッ」
……その挙げ句、咳き込み始めた。
何かもう、最初の神秘的さとか、神々しさとか全部ふっとんで、もうただのおっさんにしか思えないよ…。
「あはは、ヒヒヒ、ふぅ。あ~、笑った笑った。しかし、俺をここまで笑かしてくれるとは、あいつらも中々やりおるのう」
「勝手に自分で大笑いし始めただけじゃろうが?全く……」
「ふぅ。やっとお2人と合流出来ましたね…」
「あっ、村長さん!ウスタールさん!!」
涙を流しながら笑っていたリコレさんの後ろから、ひょっこり村長さんとウスタールさんが姿を現した。
村長さんは苦い顔をしている他は普通だったけれど、ウスタールさんの息がやけにあがっている。
ウスタールさんの額には、更に玉の様な汗も浮かんでいる事から、きっと此処へ来るまでに猛ダッシュして来たんだろう。コローレに抱っこされた状態で、サクッと着いてしまった僕としては、凄く心苦しく感じる。
初めてお姫さま抱っこ何てされた上に、それでの移動が意外にも快適だったもんだから、余計に、ね?
「おぉ、来たな?息子達よ!」
「来たのは良いが、親父殿。自分が素に戻りたいからと、さっさか客人を地下へご案内するのは止めて頂けますかな?お蔭でワシら、ヘトヘトじゃわい」
「全くです。それで父上、シエロ殿にはお渡し出来たんですか?」
「ん?まだ。今から渡すところだぜ?」
「「はぁ~~~」」
リコレさんの、あっけらかんとした言葉に、深いため息を吐く、村長さんとウスタールさん。
って言うか、リコレさん。あの2人の事【息子】って言ってたよね?
その2人もリコレさんの事、親父殿とか、父上とか言ってるし、うわ~~。ガッカリエルフの遺伝子はここから始まってるのか!?
何て、失礼過ぎる事をつい考えてしまった。
「はぁ。その様子じゃ、まだシエロ殿に何も説明してねーな?シエロ殿、もう薄々勘づいとるとは思うが、そこのリコレはワシらの父親じゃ。そこのウスタールもな?」
村長はため息をもう1つ吐いてから、僕に彼らの関係性を教えてくれた。
村長の話を聞いて、ウスタールさんも頷きながら、
「えぇ。スワードが一番上の兄で、私は丁度真ん中辺りですかね?」
何て、更に教えてくれる。
「まぁ、詳しい事はおいおいな?で、親父殿がシエロ殿を此処へ呼び出したのは、お前さんに渡したい物があるからだそうなんだ」
「渡したい物、ですか?」
「そうです。父上、シエロ殿をここまで呼びつけた理由の品を、シエロ殿にお見せ下さい」
「あいよ~~」
「えっ?えっ?」
何、どんな展開?
僕は、オタオタしながらエルフ達の言葉や行動を聞いているしか出来なかった。
本日もここまでお読み頂き、ありがとうございました。
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