百三十四話目 白いエルフ
7月5日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「フフフ」
後ろから聞こえた涼やかな笑い声に、僕は恐る恐る振り返る。
すると、そこにはさっきまで僕が座っていた様な簡易の祭壇では無く、これぞ、正にこれが本物!って感じの、真っ白い大理石みたいな石で出来た祭壇があった。
祭壇の後ろにあるステンドグラスから、キラキラと色付きの光が祭壇の荘厳さを増している。
いくらパニックになっていたとは言え、何で気づかないかな~?と自分を小一時間程問い詰めたい気持ちになっていると、更に
「フフフ、今度の主様は、随分と楽しい方なのですね?」
と、また声が聞こえてきて、声の方を見やると、祭壇の上の方に、ゆったりと座っている人影が見えた。
「あ……」
思わず声が漏れる。
そこには、三つ子の女神よりも神々しい《《失礼ねっ!!?》》人が座っていた。
今、何処かの末っ子の声が聞こえた気がするけど、取り合えず無視!
《《あっ、ちょっと!無視は酷くない??》》
祭壇に座っているその人は、色が其処だけ抜け落ちたんじゃないか?って言うくらい、真っ白だった。
真っ白い髪の毛に、神官が着るようなローブも中の服も真っ白。ニコニコしているし、此処からでは少し距離があるから瞳の色までは見えないけど、本当に全てが白い。
長い耳がエルフの証しでもあるけど、それが無かったら本当に神様とか言われても信じてしまいそうだ。
《《本当に無視するのは酷くない?ね~?ね~?》》
……今日はやけに絡んでくるな?何か、いつもよりハッキリとスカーレットの声が聞こえる気がするし?
「フフフ。本当に愉快な方ですね?女神様がその様に心を開かれているとは…。フフフ、ラング様、貴方の新しい主様は、かつての貴方の主様でもあらせられた、ナツヒコ様に似ている気が致しますね?」
「えぇ。主様は、女神様皆様から好かれている、稀有なお方です。フフ、久しぶりですね?リコレ」
混乱している僕を余所に、2人はにこやかに会話をしていた。
……あれ?今、女神の話がでなかった?もしかして、この真っ白いエルフさんにも、女神達の声が聞こえていたりするん………いや、それは無いか?
《《リコレにも聞こえてるわよ?》》
「うわっ!?」
タイミング良く返ってきたスカーレットの言葉に、思わず声が出てしまった。うぅう、しかも裏返った。スッゴい恥ずかしいよぉ。
「って、聞こえてるの?」
「えぇ。しかし、女神様のお声をこの様に沢山拝聴致します事は、普段はなかなか御座いません。フフフ、ラング様の新しい主様のお蔭です」
《《あら、リコレ。寂しかった?》》
「それはもう。ですが、世界中をお忙しく見守っておられる女神様方の貴重なお時間を、私ごときに割いて頂く等とは、畏れ多い事に御座いますから…」
《《まぁ!そんな事言わないで?可愛いリコレ、寂しかったら、いつでも声をかけて頂戴な。私はいつでも貴方を見ているのよ?》》
気がつくと、真っ白いエルフさん。もといリコレさんと、スカーレットが盛り上がっていた。
え~っと…。
困った僕は、チラリとコローレさんの方を見る。
困った時のコローレさんだ。僕は最近、困るとついついコローレさんを頼ってしまう様になっていた。
それはもう、某青い猫型ロボットに頼りきりの眼鏡の小学生の様に頼りきっている。
「その様な面妖な猫は知りませんが、私と致しましてはもう少し、頼って頂きたいところですね?」
「また勝手に人の心読んだね?」
「主様が何に対してお困りなのか、詳しく知っておく必要がありますので…」
ものは言い様だな。と思いながら、僕はコローレの話に耳を傾けた。
久しぶりに末っ子登場ですww
本日もここまでお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまた18時頃に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します




