百三十一話目 戦利品と宴
7月2日の更新です!
本日も宜しくお願い致します
2019年4月16日 誤字修正致しました
結局、邪神の影に触って魔物化してしまった樹木は、全部で9本あった。
トレントと化した樹木を、僕らの班が4体。コローレの班が3体。実里達の班が2体倒した事になる。
「いや~。こんだけ集まると壮観だのう?普通、イビルトレントなんて上位種は、数十年に1本でも出たら、多い方じゃからなぁ?」
本日一番の功労者でもある村長さんが、広場に集められたトレントをホクホク顔で見つめていた。
「本当ですねぇ?いや~、これだけあれば暫く杖作りの材料には困りません♪」
村長さんと同じ顔で、アスベルさんもホクホクと笑っている。
広場には、9体分のトレントが枝を落とした状態でズラリと並べられていて、木の種類の違いはあれど、確かにこれだけの枝があれば杖作りには困らないだろうなぁ~。なんて思ったりもした。
「これもシエロ殿のお蔭じゃ。やっぱり、御使い様は幸福を運んでくるわい」
問題は幹の部分だよなぁ~。何に使うんだろう?木をぼんやりと見ながら考えていたら、いきなり村長さんに頭を鷲掴まれた。
そのまま、ワシワシと力強く撫でられたが、大分彼の行動に慣れてきていた僕は、構わず村長さんの方を見る。
「幸福?」
「ん?おぉ、知らなんだかな?一族にはの?御使いは幸運の記し。幸福を運んでくると昔から言い伝えられておるのじゃ。まぁ、伝えたのはワシの父親じゃから、言い伝えられた。と言う程昔でもねーがの?」
「いやいやいや。充分昔ですよ」
2~300年前に伝わった事なら充分昔からの言い伝えに入る。
そう伝えると、何故か村長さんは嬉しそうに僕の頭をワシワシと撫で続けた。
ーーーーー
ーーー
「おいっ!あんまりお前ばかり食うなよ!!」
「フハハハハ!そんなもんは早い者勝ちじゃあ!!」
《ワイワイ》
楽しそうな声は、村長さんの家族以外のエルフの方々だ。
あぁ、あんなにエルフが肉をガツガツと噛み千切って…。うん。もう諦めた。
それはさておき、何でこんな事になったのか。と言えば、トレントと戦ったり、そのトレントを広場に並べたりしたもんだから、村の人達が続々と集まって来ちゃってさ?
まぁ、事件も取り合えず解決したし、コローレと協力して村を覆う結界を更に強力な物に張り直したしって事で、村長さんの音頭の下、何故か村人全員を巻き込んでの宴が始まっています。
まぁ、邪神の影に怯えられたり、余所者が何故此処にいるんだ!何て追い出されなくて良かった。
んだけどさぁ…。
「ワハハハハ!御使い様バンザーイ!!」
「ハハハハハ!こんなに愉快なのは久しぶりだなぁ?」
皆より一段高いところに座らせられて、村人が1人1人挨拶に来られた挙げ句、何か貢ぎ物が次々に運び込まれて来るって言うこの状況は、どうしたら良いんだろうか…。
今、僕の前には、到底1人じゃ食べきれないくらいの料理や果物が、所狭しと並べられている。
食いしん坊な実里は、さっきからご機嫌に果物やらを頬張っているけど…。
チラリ。
「生きているうちに6つの精霊様と契約している御使い様にお会いする事が出来るだなんて、何と有り難い事だろうねぇ?」
「本当じゃのう?ありがたやありがたや~」
祭壇の下を見ると、年より臭い話し方のエルフ達に周りを囲まれている。
拝啓前世のお母さん。僕はついに、ご年配のエルフさん達から崇められてしまいました。
しかも、ご年配のエルフ。何て言っても見た目は若いままなのと、何故か此処にはいないスー君まで契約した精霊さんだなんてカウントされてしまったのとで、何だか僕は、余計に居たたまれない気持ちになっている訳なのです。
う~。さっきから葵君はこっちをチラチラ見ながら笑いを噛みこらえているし…。もうっ!帰ったらお仕置きだからね!?
「此方ですか?」
「そうだ。皆、少し道を空けてくれないか?」
「ん?」
1人でプンプン怒っていると、何やら後ろの方が騒がしい。
声的に、片方は村長さんかな?何てぼんやり騒ぎの中心辺りを見ていると、人混みを掻き分けながら、村長さんが此方へ手を振っているのが見えた。
祭壇の大きさは、地域の盆踊りのやぐらくらいの大きさを創造しながら書いています。
意外と高いので、実はシエロ君、少し高さにビビっておりますww
本日も、ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も同じ時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します




