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百二十四話目 御使い様②


6月25日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「貴方はラング・ド・シャ様!!」


 村長さんが、煙から出てきたコローレの姿を見るなり、真面目な顔で声をあげた。んだけど、ちょっと待とうか?


 何だその名前…何だ!その名前えぇぇ!?


「何故、貴方様程の大精霊様が!??」


「あの方が今の私の主様だからだと、言いましたが?」


 いやいや、何で普通に会話続けてんの?真面目な顔して何言ってんの?えっ?これ、もしかしてツッコミ待ち?僕が言うべき?え?どうしたら良いかしら?



「しかし、貴方様は昔、確かにお亡くなりになられた筈では?」


「フフ、私に命はあって無いもの。あの方々が望めば、私はいつでも蘇るまでですよ」


「いやいやいやいやいや!!ちょっと、ちょっと待つッス!」


 と、その時、葵君が2人の間に割って入った。


「むっ?何だマモル!今ワシは忙し…」


「シリアスな雰囲気醸し出してるところ申し訳無いんスが、俺っちもーー!我慢出来ねぇッス!!ラング・ド・シャって、何だその名前!!?お菓子かよ!?」


 グッジョブ葵君!僕がどうしても突っ込みたかった事を、よくぞツッコンでくれました!!


 コローレ改め、ラング・ド・シャも自身の名前の由来となったものの元ネタを知っているのだろう。明らかに葵君の言葉を受けて、無表情のままに目を逸らした。


 わ・か・り・や・す!!


「ら、ラング様?」


「はぁ…。だからこの場へこの格好のままに来ることだけは避けたかったのですが…。スワード、君の勘働きが悪いせいですからね?」


「はっ、はぁ?申し訳、ありません?」


 ラングは、ため息混じりに村長さんを見た。睨んではいないみたいだけど、つり上がった目のせいか、睨み付けている様にも見える。


 って言うかさ?勘が良くても悪くても村長さんが名前を呼んだ時点で、【ラング・ド・シャ】何て名前は僕らにバレて突っ込まれてそうだけどね?


 あっ、また目を逸らした。さてはまた勝手に、人の心の声を読んだな?



「え~。マモルの言う通り、私のこの名前は彼らが元々暮らしていた世界の焼き菓子の名前だそうです。私にこの名をつけたのは、私の最初の主様でした」


「あの、伝説の勇者様ですな?」


「伝説の勇者。って事は、建国の父って事?」


 誤魔化す様に、急に語りだしたラングを、キラキラした少年の様な目で見る村長さん、もといスワードさんを横目に、僕も彼らの話に混ざってみた。


 スワードさんの奥さんは、そんな僕らをニコニコしながら見つめている。


 しかし、スワードか。何処かの辺境伯を思い出させる名前だねぇ?


 ……やっぱり村長さん呼びでいこうかな?父親の名前を連呼するのは、別人だと分かっていても、少しこそばゆい。



「いえ、流石にそこまで昔ではありません。建国の父と呼ばれる最初の勇者が活躍している時から生きているのは、【時間の精霊】くらいでしょう…。」


「ワシの言う、伝説の勇者様と言うのは、300年程前に活躍した勇者様の事じゃ。何でも、数多の精霊様を従えて、襲い来る魔物共を次から次に葬っておったそうでな?いやぁ、いつも父からその話を聞いては胸を高鳴らせたものじゃ」


「そんなに沢山の精霊と契約していたのなの?」


 ワクワクした顔のアルミナさんも話の輪に加わる。寝物語を聞いている子供の様に楽しそうだ。


 この顔は絶対寝ないやつだね。


「えぇ。今では禁忌の魔法として厳重に管理されているのですが、彼は【勇者召喚】の魔法を使って呼び出されてしまった青年だったのです。また、呼び出した国は彼のチョセーン国でした。彼はチョセーン国のあの狂王に呼び出され、【黒髪の勇者】として酷使されていたのです…」



 チョセーン国と言うのは、今でも残っている小国の1つで、魔族領から一番離れた場所に位置する国だ。


 一番魔族領から離れている。って言うのと、領地が小さいから魔族からも相手にされていない国で、それを我が国の兵力に恐れをなしているのだ!何て勘違いしているおめでたい国だ。


 そんな国の王様は、代々変わらずず~っと横柄で、体格が良い…と言うか特大サイズの肥満児で、自分を神格化して国民全てを洗脳しているヤバイ国。そんな国に召喚された…。何ともお気の毒過ぎて、言葉も出ない。


 ラングは、更に続けた。




チョセーン国とは、最近ちょくちょく登場するあの国の事です。

詳しくは、前作の生まれ変わっても~のお正月番外編辺りに載っているかも!?



本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日も同じ時間に更新致しますので、またお読み頂けたら嬉しい限りです。



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