百二十三話目 御使い様①
6月24日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「ん?」
「?」
ランスロット先生のお母さんを交えて、和やかに談笑していると、不意に村長さんが声を漏らした。
何かあったのか?と、皆の視線が村長さんに集まる。自然に高まる緊張感の中、村長は徐に口を開き、そして…。
「精霊様が5つもいらっしゃる!!?」
と、スゴい勢いで立ち上がりながら、バカでかい声で思いっきり叫んだ。
その声があんまり大きくて、部屋の壁がビリビリと振動する。正直、耳がジンジンする程だった。
《バターン!》
あっ、村長さんが座っていた1人がけのソファーが倒れた。
「貴方、うるさい」
「あっ、すっ、すまんっ!」
《ガタガタ》
おっとりした奥さんに注意された村長さんが、謝りながらソファーを直し、更には若干怯えながらそこへ座り直す。
「で、何故精霊様が5つもお前さんにくっついとるんじゃ?」
いやいや、今更キリッとした顔で言われても…。
あの一連の動きを見せられてからのコレは、コントか!?って僕じゃなくても突っ込むところでしょ?
「それは、シエロ様が我らの主だからですよ。スワード・フェザー」
あんまりにもあんまりな村長さんの行動に、苦笑が先に立ち、答えられずにいた僕の代わりに答えてくれたのは、コローレさんだった。
あれ?村長さん、自分の名前まだ名乗ってなかったよね?
そう言えばさっきの結界の時も、村長さんの事を知っている様な口ぶりだったような…?
……いいや、聞きたい事は後でまとめて聞けば良いんだし、此処はコローレにおまかせしてしまおう。
「何故、貴方が俺…私の名前を?」
「ふぅ。まだまだ未熟者ですね?貴方も…。宜しい」
《ボンッ》
目を見開きながら驚く村長さんに、やれやれ。と、コローレが首を横に振りながら変身した。モクモクと、変身時特有の煙が僕らの周りに漂う。
「うわっ!?なっ、なんッスか?」
おっと、慣れていない葵君を驚かせてしまったみたいだ。
「葵君。これは彼らが変身する時に出ちゃう煙だから、気にしなくて良いよ?」
「は?あっ、そう何スか…」
《サァ~》
「あっ!貴方様は!!?」
僕達がないしょ話している間に煙が晴れ、村長さんが声をあげる。
「ふぅ。この姿になるのも久しぶりですねぇ?」
煙の中から姿を現したのは、コローレでは無く、クラレンス神父でも無く、また別の人物だった。
すみれ色の髪色はそのままに、短く刈り上げた髪の毛と、少しつり上がった黄金色の瞳が特徴的な青年がそこには居て、こんなに髪の毛を短く刈り上げてるのにちっともワイルドに見えないのは中身がコローレさんだからだろうか?
まぁ、執事や神父って言うよりは、何処かの国の近衛騎士って感じの見た目をしている。だからか、余計にいつもの執事服が浮いている。
って言うかさ、誰っっ!?
コローレさん3段階目の変身です。
「私は、後3段階の変身を持っているぞ!」
………嘘です。
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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