百二十二話目 村長とランスロット
6月23日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月15日 誤字修正致しました
「まぁ、何も無い所だが、寛がれると良い」
「ありがとう、ございます」
僕達は今、村長さんのお宅に招待して貰っています。
村長さんのお宅は、こんな、ワイルドな村長さんからは考えられない程綺麗で、花瓶や飾られた絵画等、可愛い調度品や小物も多く、奥さんのセンスの良さがチラホラ見え隠れしている感じだった。
そして外観、と言うか建物何だけど、エルフの家ってくらいだから~。何て、僕の浅はかな考えとは裏腹に、意外にも木では無くて、大きな真っ白い岩をくり貫いて作られていた。
石造りなだけあって、中はひんやりするのかな?とも思ったけど、さほど寒くも無く、程よく石の温もりを感じられて、とても居心地が良さそうだ。
「よいしょ」
僕は村長さんにすすめられるまま、5人がけくらいの大きなソファーの端っこに座った。
僕が腰を下ろすと、僕の右側に風華、左側に実里が座り、僕の後ろには、いつも通りコローレと咲良が立っている。と言う、いつもの鉄壁の守りの体制になった。因みにシャドは、咲良の頭の上だ。
こんなに広いんだからさ、ゆったり座らせて貰ったら?と提案してみたものの、5人からは一斉に却下されてしまった。
シャドにまで『やっ!』って言われるとは思わなかったよ。反抗期かしら?クスン。
あっ、背もたれのところのレースの刺繍、凝ってるなぁ。モチーフは百合の花みたいだ。
「よっこらしょっと」
「んじゃ、俺っちも♪」
何て少し現実逃避をしている間に、村長さんは、僕らの前の、1人がけのソファーに腰を下ろした。葵君は、何故か風華の隣に座る。
風華、露骨に嫌な顔しないの!失礼だよ!?
「しかし、相変わらずじい様の家は豪華ッスねぇ?家に使ってる岩もバカでかいしさ?」
「まぁな?ワシが村長を引き継いだ時に、村の連中が派手にしようぜ?何て、張り切りやがったからな。ワシは元々使っとった家で十分だったんじゃがな?」
村長さんは、嬉しい様な、どこか気恥ずかしい様な、そんな複雑な表情を浮かべながら、頭をボリボリと掻いた。
あっ、そうそう。岩をくり貫いて作られたお家に住んでいるのは村長さんだけでは無くってね?
村中の家々全てが巨大な岩をくり貫いて作られていたんだ。此処に来るまでに、僕達は村の中を通って来たんだけど、真っ白な壁がズラリと並んでいるのは圧巻だったよ?
で、そんな真っ白い壁には家々独自の細工がしてあって、お花や動物のモチーフが、カラフルな絵の具で描かれていた。
特に村長さんのお家の外壁の、真っ青な百合の絵は綺麗だったなぁ♪
「何もお構い出来ませんけど」
「あっ、すいません。本当に、お構い無く…」
さっき見た光景に意識を飛ばしていると、横から、ニュッと真っ白なが伸びてきた。
同じくして聞こえた少し高めの声に、僕は反射的に返事を返しながら顔を上げる。すると、若草色の髪の毛が凄く綺麗な、エルフの女性がそこには居た。
「ごゆっくり」
濃い緑色の瞳を細目ながらニッコリと笑っているその人は、湯気の立ち上る飲み物を皆に配って歩き、最後に村長さんの隣の席に腰を下ろした。
ビックリした~。何せ、髪の毛の色も瞳の色も、顔の造りだって違うのに、醸し出す雰囲気と言うか、何だかオーラ的なものがランスロット先生にそっくりだったから。
あんまり似ていて、ついつい目で追ってしまったくらいだ。
「ん?どうしたシエロ殿。うちのかみさんの顔に何かついてるか?」
あんまりガン見してたからか、村長さんに気づかれた。見れば、隣の女性…奥さんも、少し困った顔をしている。
ヤベッ!?
「す、すいません。あんまりランスロット先生に似てらしたので、つい…」
慌てて弁解をすると、
「ん?あぁ、そりゃそうだ。こいつはランスロットの母親だからな?勿論、父親はワシだ!」
と、村長さんからどや顔で返された。
「えっ!?」
「あっ、因みに、ランスロットさんは末っ子らしいッスよ?」
「えぇっ!?」
「あの子は昔からヤンチャで、よく手を焼かされましたわ?」
「えぇぇ!??」
ヤンチャな末っ子。
何だかランスロット先生には似つかわしくない言葉に、何だか笑いが込み上げてきた僕なのでした。
因みに、奥さんが配ってくれたのは、ランスロット先生もよく飲んでいた、緑茶に良く似た飲み物だった。
シエロには意外だ!と言わせましたが、意外でも何でも無く、ランスロットは結構ヤンチャしている様な気がするのは、私だけでしょうかww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日も同じ時間に更新させて頂きますので、またお読み頂ければ嬉しいです。




