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百十九話目 森の国


6月20日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「まぁ、ではマモルが貴方を泣かせたのかな?マモル!こんなに可愛くて小さな女の子を泣かせたら駄目なのかな!?」


「ぎゃー!アルミナ!ちょっ、ストップ!!タンマタンマ!」


《ガツンッ、ゴツンッ》


「いてっ!?」


「何で私までっ!??」


 森の中で出合ったエルフの女性は、葵君とお知り合いの人だったらしい。


 僕達の事情を聞くなり、葵君を殴りに行った事からも、結構勝ち気な性格のお嬢さんだって言うのが見てとれた。いや?この場合、それくらい親しいって事なのかな?


 あっ、親しい間柄だって言うなら、ジェイド君入らないか…。




「本当に申し訳無く思っとりやす…」


「反省しております…」


 止める間もなくエルフの女性に殴られた葵君とジェイド君の2人は、地面に頭をゴリゴリ擦り付けながら僕にまた謝ってくれた。


「いや、もう良いから。僕も流石に年甲斐も無かったと思うし…?」


 頭にコブを作りながら両手をつく葵君と、何故か一緒に殴られたジェイド君の姿がちょっと不憫過ぎる…。勿論2人に悪気が無い事は分かっているしね?


 僕は、ちっとも暖かみのない笑顔を浮かべる後ろの2人の顔を見ない様にしながら、葵君とジェイド君を許して立たせた。


 …まぁ、許すも何もって話かもしれないけど、とりあえずあの2人を怒らせるのは止めよう。うん。



「うんうん。万事解決仲直りなの♪仲良くなったところで、ちゃっちゃか中へ入ると良いの!いつまでも立ち話してるのは味気無いの☆」


 そんな僕達の姿を見て満足したのか、


「れっつごーなの♪」


 何て、元気良く左手を握って天高く突き出しながら、エルフの女性が鼻唄混じりに森の中をズンズン歩いていく。


 何だろう。悪い子じゃないってのは分かるんだけど、この子を見てるとエルフのイメージがガラガラ崩れていく感じがする。…すっごいマイペースだし……。


 だってエルフって言えばさ?偏屈で頑固で余所者が大嫌い。しかもプライドが高くてお高く止まっているってイメージ無い?


 ん?ランスロット先生もエルフだろ?って?


 あれはまた別物だよ。それよりさ、さっきあの子サラッと僕の事【女の子】って言わなかった?僕の気のせいじゃないよね?


「ほら置いて行っちゃうのよ~?」


「あっ、すいません!今行きます!!」


 不思議な語尾のエルフの女性が、少し離れたところで手招きしている。


 見れば他の皆もエルフさんの近くにいて、僕だけポツンと置いていかれていた。


 これだけ周りが木に囲まれた場所だ。置いていかれたら同じ様な道で迷うのは必至!


 僕は慌ててエルフの女性の後を追った。



「うんうん。素直なのは良い事なの♪あっ、申し遅れました、私はアルミナ。宜しくなの☆」


 皆に追いつくと、エルフの女性、もといアルミナさんは、僕に向かって手を差し出してきた。


「あっ、はい。僕はシエロ・コルトと申します。一応男です。宜しくお願い致します」


 慌てて僕も彼女に手を差し出す。


「えええええええええええ!?君男の子だったの?私、貴方は女の子だと思っていたの。ごめんなさいなの!」


 森の中に、アルミナさんの悲鳴じみた叫び声が響き渡った。僕はまた泣くべきだろうか…?




なかなかまともなエルフが出てきませんねww


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまた同じ時間に更新致しますので、宜しくお願い致します

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