百二話目 てがかり探し
5月23日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
結局、建物の火を消すだけで2日掛かった。
しかし、これだけ派手に燃えたのだから、途中他の魔族達が応援に来るなり、状況を確認するなりでやって来るか?とも話していたのだけど、この間、誰も来る事は無かった。
カベルネに誰も興味が無いのか、そもそも緊急時の伝達手段が無いのか、どっちにしろ、誰も来なくて此方は助かったんだけどね?
「そう言えば…」
ポツリと呟く。
あの時、ガルネクは誰かに背中から撃たれた様にも見えた。
思えば僕達よりも先から、あの研究所を襲っていた奴が居た訳で…。
一体誰がこんな事をしたんだろう?味方、なのかな?
いや、僕達に罪をきせたかっただけかも…。
ん~。だったら何故、ガルネクが僕達では無く、味方の魔族達ばかりを襲ったんだろう?って事にもなるのか…。
ふぅ。考えても分からない事だらけだ。
「んー。しっかし、見事に瓦礫の山だねぇ?」
「そうですね、裕翔さん」
まぁ、いくらあーでもないこーでもない。と考えたところで答えが出る筈も無く…。僕は止まっていた手をまた動かし始めた。
実は、この真っ黒に焼け焦げた瓦礫の山を掻き分けて、葵君に何か少しでも手掛かりが無いか、読み取ってもらう事にしたんだ。
まぁ、見事に全部真っ黒焦げで、今までにも何個か拾って彼に読み取ってもらったものの、いまいち為になる様な情報は入って来なかったんだけどね?
……えっ?何を拾ったのかって?
えーとね…。
《case1:裕翔》
「葵!焼けちゃってるけど、本らしいの見つけたよ!?」
「おっ、マジで?やったじゃんか!日記とかだったら儲けもの…」
「……(読み取り中)」
目が点になる葵君。
「ど、どう?」
そんな葵君を見て、おそるおそる裕翔さんが訊ねると、
「…裕翔、なんつーもん拾ってくるんだお前は…」
と、頭を抱えられてしまった。
「え?」
「マジで勘弁しろよな~?」
「えぇっ!?俺、何を持ってきちゃったんだよぉ!??」
裕翔さんが見つけたのは魔族達の間で流行っていると言う、ムフフな本でした。
《case2:宇美彦》
「なぁ、葵。あっちにこんなのがあったぞ?」
「ん?おぉっ!陶器の欠片か~。確かにこれなら何か手掛かりとかありそうだな?」
「だろ?」
「んじゃ……(読み取り中)」
固まる葵君。
「どっ、どうだ?」
「え~。これは、所謂【便壺】ってやつッスね」
「ベンツボ?って言うか、何で急に敬語?」
「あぁ~。トイレッス。要は、おまる。しかも、既に使用済み……」
宇美彦は、葵君に手渡した以外の、手に持っていた陶器の破片を全部、力一杯遠くへぶん投げた。
律儀に見つけた分を全部回収してくるからだよ。とは亜栖実さんの言葉である
《case3:亜栖実》
「葵ー!これ何?」
「うん。亜栖実はもはや、主旨が変わってきてるよな」
1人離れたところにいた亜栖実さんが葵君の所へ駆け寄ってきた。
「えー?変わってないし!!ってかさ、これなんだけど…」
「はいはい」
亜栖実さんが何か、小さな欠片を葵君に手渡している。
その欠片を、葵君が見た。次の瞬間…。
「わー!???」
葵君が大絶叫した。
「んな驚く事無くない?ねぇねぇ?どこの【骨】だと思う?」
亜栖実さんが持ってきたのは、何かの骨の欠片だった。
しかも頭蓋骨ね?
そりゃ、葵君じゃなくても叫ぶってなもんだよ。
もし私が骨を急に手渡されたりなんかしたら、姿が見えなくなるまで逃げる自信がありますww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
さて、毎度の事で申し訳ありませんが、明日はお休みさせて頂きます。
次回の更新は、5月25日、金曜日の18時頃となります。
度々お休みして申し訳無いのですが、また宜しくお願い致します