百一話目 呆気ない幕切れ
5月22日の更新です。
本日分、キリが良かったので、少し短めです。
本日も宜しくお願い致します
「あああぁぁぁぁぁ……」
悲痛な叫び声をあげながら、ガルネクに色々なものを吸いとられて、生きながらにしてミイラにされていく魔族達。
それは大将である筈のカベルネも、例外では無く…。
「ぐっ、ググゥ…」
くぐもった様な唸り声をあげながら、カベルネの身体が徐々に枯れていく。
何度も何度も身体を入れ換えていた弊害なのか、それともカベルネの生命力によるものなのか、他の魔族達よりも枯れ方がユックリな気がする。
「グッ、グゥ~」
「ゲッゲゲ、ゲゲゲゲゲ、ゲゲゲゲゲッ!」
何かを掴もうともがくカベルネと、それを嘲笑うガルネク。
最早、ここにかつての主従関係は無く、あるのは弱肉強食の捕食者と被食者の関係があるだけだった。
……ってあれ?コレって、ただ見てるだけじゃ駄目なんじゃない?
「裕翔さん、どうしますか?」
僕の言葉を受けてワレに返った裕翔さんは、
「あっ、あぁ、うん…。どうしよう?」
と、困った顔を向けてきた。嫌嫌、ここで困られても…。
「とにかく、アレをどうにかしねぇとな?」
「あっ、そっ、そうだよね?ごめん。ちょっとボーっとしちゃった」
「無理もねぇよ。俺っちだってシエロさんに呼びかけられなきゃまだボーっとしてたもんよ」
オロオロしている裕翔さんに、宇美彦と葵君が言葉を返してくれる。
それを受けて、
「ありがとう。じゃあ、改めて…あいつを倒そう!!」
と、裕翔さんがガルネクに向き直った時だった。
《バシュッ》
赤いナニかが、ガルネクの身体を貫いたんだ。
「クゥォオオオオオオン…」
身体の真ん中にポッカリと大きな穴を開けたガルネクが悲しげに鳴いた。茨の蔓に絡まっていた魔族達がボトボトと地面に落ちていく。
地面に叩き付けられた彼らが、動くことは無かった。
そしてーーーー
《ボッ》
そのポッカリ開いた穴から、無い筈の火の手が上がり、みるみるうちにガルネクの身体が炎に包まれていった。
ガルネクの身体の炎は凄い速さで広がっていく。
ガルネクの伸ばした蔓は建物中に伸びていた為、あっという間に、僕達の周りは炎で真っ赤に染まっていった。
恐ろしいまでの熱気が僕達を襲う。
「皆、逃げるよ!俺が火を消しながら道を作るから、そこを辿ってくれ!!」
「「「「「了解」」」」」
僕達は、訳も分からないまま、研究所だった瓦礫の中を、命からがら逃げ出したのだった。
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も同じ時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します