彼女たちの会社と、なぜか狙われる?俺
そんな、とんでも事実が発覚した朝食が終わり、俺達は学校への通学路を歩いていた。
「二人が会社経営をしているのはわかった。じゃあ、一体何の仕事をしているんだ?」
ふと、そんな疑問を二人に投げかけていた。
いや、だって気になるじゃん。小学五年生からやっている会社でしょ? 普通気になるだろ?
「アミューズメント系かな」
「アミューズメント系?」
「はい。ええっと、仕事内容、は、主に、アニメ、ゲーム開発、出版社、グッズ開発、です」
「……お、おう」
なんか、思ったよりも仕事内容が二次元方面だった。
なんというか……意外。
だって、こんな美少女たちのやってる会社が、まさかのアニメ業界とかだぜ?意外過ぎるだろう。しかも、元々、俺との結婚のためにやっていたみたいだし。
「でもなんで、そっちの方面だったんだ?」
「だって、今の日本だと、そういうのが一番稼ぎやすいしなにより」
「一番、需要が、たか、いから、です」
「ああ、たしかに、それは言えてるかも」
たしかに、今の世の中だと、その辺が一番売れそうだもんな。CMとか、どのチャンネルに回しても、アニメとかそういったもののやつやってるしな。
「ちなみに、その会社の名前、何て言うんだ?」
「えっと、『ソラノ・エンタープライズ』っていう会社」
「マジで!?」
「そ、うです」
あの会社、この二人のだったのかよ!
ソラノ・エンタープライズっていうのは、この二人が言った通り、アニメやゲーム、出版社など、娯楽方面に特化した会社の事だ。
しかもこの会社の不思議なところは、会社の上層部の人間以外、社長の姿を見た人がいないとか。
この会社が出来たのは、俺が小学五年生の時。言われてみれば、名前はソラノだし、できた年も、この二人がさっき言っていた日時と被る。
なので、社員のほとんどが社長の姿を知らなくても不思議じゃない。
それにしても……まさか、自分の会社んとこの社長が、こんな姿だとは、誰も思わないだろうな。
「そうか……。あの会社の社長ってことは、やっぱり、それなりに稼いでいるのか?」
興味半分、真剣半分で聞いてみる。
「どのくらいだっけ、ヒナ?」
「えっと、ちょっと、ま、ってね」
ヒナちゃんが鞄の中から、ノートパソコンを取りだす……って、
「持ち歩いてるの!?」
「は、はい。業績、が、わから、ない、と、もし、なにかあ、ったとき、とか、に、すぐたい、しょでき、るよう、にする、ため、です」
「な、なるほど。すごいな……」
「で、ヒナ、今はどれくらい?」
「う、うん。えっと……千億、くらい、かな」
「……それは、年商ですか?」
「ううん。月だよ?」
……俺の幼馴染、スペック高いどころじゃなくない?
だって、千億だよ? それが、月収なんだよ? だとすると、年商は……一兆二千億だと!?
な、なんだそのバカげた数字は!
なにをどうしたら、そんなとんでもないことになるんだよ!
そんなの、国内にいないだろ! というか、下手すりゃそこら辺の国よりも多いだろうが!
「何をどうしたらそんなことに!?」
「色々と」
「そう、ですね」
「色々って何!?」
何をどうしたら、アミューズメント系の企業でそんなことが出来るんだよ!?
「ふふふ」
「ふふ」
「いや、誤魔化さないでよ!」
こんな感じな登校風景である。
ちなみに、結局誤魔化されました。なんでや。
「うぃーす」
学校へとたどり着くと、どうやら二人は手続き処理が完全には終わっていないらしく、職員室へと向かった。
そのため、いったん別れて、俺だけで教室に来たのである。
「おう、優夏。おはよーさん」
「お前、復活したのな」
「まあ、心に負ったダメージはでかかったがな……」
なんて、哀愁漂う笑いなのだろうか。
同情は……もちろんしない。だって、こいつだし。所詮、翔太だしな。
「まあ、それはともかくとしてだ。……お前、狙われるかもしれんぞ?」
「なんだよ、いきなりそんな物騒なことを……」
「だってお前、新たな法が成立したばかりの時期に、突然の幼馴染の出現。どう考えてもお前、事案ものだろう。モテない男子たちからしたら」
「事案て……。俺、そんなつもりはないんだが?」
「だけど、お前ら三人が、同じ家に入って行くのを見た、とか言ってるやつがいるんだぜ?」
「…………マジ?」
「ああ、マジも大マジ。ほれ、証拠の写真」
そう言って、翔太が机の上に置いた一枚の写真には、たしかに俺達の姿が。
もれなく、腕組状態でだ。
……これ、隠し撮りだよな? 普通に、法に訴えられるレベルだよな?
「一体誰がこんな写真を……?」
「さあな? とりあえず、気をつけろってことさ。まあ、俺はべつに? 羨ましくもないし? 可愛い幼馴染羨ましいな、とか思ってないし?」
「あーはいはい。今度、昼飯でもおごってやるから」
「マジで!?」
「マジだよ。そうだな……二千円以内なら、なんでもいいぞ」
「マジっすか! あざっす!」
ほんと、単純だよ。こいつは。
まあ、どんなに落ち込んでも、次の日の朝には復活してたりするっていう点から、こいつは普通にすごいやつだ。メンタルが強いというか、なんというか。
悪いやつじゃないし、俺自身、こいつの事はなんだかんだで気に入ってるからな。
少なくとも、一番の友達だとは思っている。
「まあ、それはともかくとして、優夏」
「なんだ?」
「とりあえず、何かあったときは、俺に連絡してくれれば、適当に助けるぜ」
「お、そうか。まあ、当てにはせんでおくよ」
「いや、当てにして!?」
「はは! まあ、本当に困ったときは当てにするさ」
そんな日、一生来ないとは思うけどな。
もちろん、そんなことは言わないが。
だって、めんどくさいしね!
お久しぶりです。鯨です。
いつも通りの理由ですね。忙しかったり、あまりいいアイデアが出なかったり、と様々です。
でも、手元で作成している一つの小説が、かなり出来が良くて、一日で30ページほど書いていた日もありました。
この作品、コメントで次はいつ出ますか? という質問がありました。すいません。放置してしまって。
そんなわけで、また不定期だとは思いますが、がんばりたいと思っております。
それでは、また次回。




