俺と姉妹の小騒ぎ(風呂場)
「ふぅ……癒されるぜぇ……」
約四十℃ほどの、お湯につかり今日の疲れを吐き出すかのように、息を吐く。
「なんだか、とんでもないことになっちまったなぁ……」
ぼやきながら天井を見上げる。
そっと目を閉じてみれば、今日の出来事が閉じた目に浮かんでくる。
朝。久しぶりに見た、過去の夢。結婚の約束をした、そんな夢だった。
学校。唐突に転校生がやってきたと思ったら、それがあの二人で、しかも戻って来た理由が、俺との約束を守るため。すなわち、結婚するためだそうで。
話を聞く限りだと、二人が引っ越した理由は、俺との結婚を成立させるため。
そこで変えたものと言えば、多重婚の認可と、結婚年齢の変更。この二つ。
どっちも、とんでもないことだと思う。
なにせ、複数人との結婚を認め、男性の結婚可能年齢を、十八歳から十六歳に変更とか。どうやって成しえたのかが気になるところだ。
「そういえば、なんか総理の弱みを握ってる、とかなんとか言ってた気が……」
いや、深く考えるのはよそう。踏み込んで後悔するのは俺だし。
そうか。あの二人が帰って来たのも、法律を覆したのも、俺の家に住むことになったのも、かんがえてみりゃ、発端は俺ってわけか。
俺のあの、クズなことを言ったせいか。
けど、そこで考えられることと言えば……あの二人、俺に好意があって、しかもそれが幼少のころからずっとってわけか。一途と言えば一途、なんだよなぁ……しかも、かなり長いし。すげえな。あの二人。いや、俺もずっと好きだったんだけどさ。
「ふ~む……しっかし、なんであの二人は俺の事を好きだ、結婚してくれ、なんて言ってきたのかわからん……」
さっきも言ったが、あの二人、かなり前に別れちゃってるから、確実に忘れてるとか俺は思っていたんだが……。実際は違ったみたいだし。
一途、だよなぁ。普通に考えてみりゃ。
いやまあ、俺も一途みたいなもんだったがよ。
「はは!いやぁ……俺に嫁さんか。しかも二人……」
嬉しいかと言えば……もちろん嬉しいわけです。なんてったって、昔から大好きだった二人なんだぜ?二人とも、かなり美少女なんだぜ?しかも、俺のために法律すら変えてきたんだぜ?こんなん聞いて、嬉しくないわけがないっ!
「勝ち組だな!」
しゃあっ!と、俺以外いない浴室内で手を突き上げる。
その反動で、お湯を大量に上に飛ばして、目に飛び火(飛び水かな?)してしまったけどね。
あっはっは!と高笑いを上げていたら――
ガラッ!
……ん?ガラッ?なあに?今のドアの開く音は?
「優夏、背中流しに来たよ!」
「ゆうくん、背中、流しに来ました……」
そして聞こえてくる、我が女神たちの声。
……って!
「な、なななななななんで二人がいるの!?」
突然二人が入って来て、盛大に驚く俺。しかも、後ずさりもセットで。
「なんでって言われても……そりゃ、私たちは夫婦だし……一緒にお風呂に入るぐらい、当然じゃん?」
「そ、そうです……わ、わたしとしては、その……恥ずかしいですけど、ゆうくんが、相手なので、その……大丈夫、です……」
と、二人は供述しているが……そんなん、俺の理性に効くとでも?答はもちろん否!
つか、まだ婚姻届けだしてねえだろ!気が早ええ!
「ふ、二人とも!こ、ここは現実なんだ!ゆ、湯気さんだって働いているには働いているけど、ほとんど機能していないんだよっ!」
我ながら何を言っているんだろうか?
「湯気さん?って、なに?」
謎の単語を耳にしたかのように、ミーちゃんは小首を傾げる。
「湯気さんっていうのは……二次元において、アニメや漫画、ライトノベルの絵などを健全に世に流すための、最終手段のようなもので……まあ、あれだ。仮にその登場人物が全裸と言う、すんばらし――んんっ!あられもない姿だったとしても、それさえあれば確実に健全になるという、それはもう素晴らしい物だ!あと、謎の光、というのもある」
「そ、そうなんだ」
「は、初めて知りました……」
うん。俺、一体何を力説してるんだろうな?
ミーちゃんは、ちょっと苦笑い。ヒナちゃんは、今まで知らなかったことを聞いて、微妙に感心している。
「っと!そんなことより……ヒナ!やろう!」
「う、うん!」
「え、な、なに?あの、二人とも……なんでそんなに近づいて……?」
ミーちゃんがヒナちゃんに、何かの合図をすると、それにヒナちゃんが答える。
いや、あの……なんでそんなに笑顔なん?
どんどんにじり寄って来てますよ?
あの……さっきから若干前かがみ気味に二人が近づいてくるせいで、胸が!マシュマロが!谷間が!見えてるから!一応、バスタオルで巻いているみたいだけど、二人とも思いっきり見えてるから!とくにヒナちゃんはやばいから!
「それー!」
「え、えい!」
と言う二人の掛け声とともに、二人が俺に抱き着いてきた。
「う、うわ、うわぁぁぁぁぁぁっっっ!!?」
俺は思わず叫び声をあげていた。
な、なんだこの柔らかさは!?こ、声にならない!言葉にならない!
うわ、何だこの天国。そうか。天国はここにあったのか。
なんというか……身近なところにあったな。うん。
……いやいやいや!
「ちょ、こ、こきゅ……わぷっ……!」
二人に挟まれる形で抱きしめられているせいで、俺は呼吸が出来なくなる。
(あ、やばい……なんかとんでもない物が見えてきた。お花畑かな?これ……。うわあ、このお花畑、マシュマロがいっぱいだぁ……あ……なんか、意識が遠のく……)
薄れゆく意識の中、俺が最後に見たのは……
――水着姿の二人だった――
どうも、この作品のみを見ていた方は、お久しぶりです。鯨です。
なんか、一度再開したら、バンバン始めましたね。ネット作業。
悪い気はしませんが、ただ単に複数同時進行は疲れます。キャラの使い分けとか。まあ、大体似たようなキャラばっかですが。
えっと、こっちの作品、何気に3話しか出てないのに、いい感じで進んでるんですよね。ありがたい限りです。
では、こっちで会えたら、また次回。




