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クズな俺と、純粋な姉妹  作者: 鯨@バーベキュー
3/6

クズな約束から始まった今の事。

「ここだよ」

 学校から歩いて、一五分くらい。ついたのは……俺の家だった。

「ええっと……どこ?」

「ここ、ですよ?」

「うん。ここの家は、すでに誰か住んでますよ?」

「あ、違う違う。昔住んでた家じゃなくて、その隣――優夏の家だよ」

「ほう、俺の家……ん?俺の、いえ?」

 おっかしいなぁ……俺、耳がおかしくなっちまったのかな?もしかして、鼓膜が破れたとか?知らないうちに。そうだ、そうに違いない。ほんとは、『夕方の家』と言ったはずだ。夕方の家ってなんだ?よし、ここは、もう一度聞いてみよう。

「もう一度言ってみ?」

「ゆうくんの、家、ですよ?」

 さも当たり前かのように、言ってくるヒナちゃん。

うん。聞き間違いじゃない。……って

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 なんとも予想外な答えが俺の耳に届いたもんだから、素っ頓狂な声が出てしまった。これ後で、近所の人に謝りにいかないと。

「び、びっくりしたぁ……」

「はぅ……」

「いや、俺の方がびっくりだよ⁉マ〇オが、二〇代ぐらいと知った時よりも驚いたよ!ただでさえ、二人が帰って来ただけでも驚いてんのに、それに追い打ちをかけるように、俺の家に住むとか、何があったんだよ⁉」

 こんなに驚いたの、ほんと久しぶりだよ!

「えっとね。この辺に住めそうなところがない、ってことは優夏も知ってるよね?」

「うん。そうだね」

 だから何?そんなの、どこか探せばいいんじゃないか?……そんなこと言ったら、俺がさっき言ったことが矛盾しちゃうわけだが。

「その、そうすると、ゆうくんの家、しかないんです……」

 おおう……なんてこったい……。なにやら、俺の生活環境がおかしな方向、ラノベにありそうな感じになってきたぞ?

このままじゃ、俺の人生という名のストーリーに、『ドキッ!双子姉妹の幼馴染と同棲生活!ポロリはなくとも、ラッキースケベならあるよ!』的なサブタイトルが付いちまう!

 それだけは避けなくては!

「で、でもほら!うちには両親がいるし?そういうのは、ちゃんと許可をとらないと……」

「それは、大丈夫です」

「いや、何も大丈夫じゃないんだけど?」

「だから大丈夫だって」

「いやだから、何が?」

 彼女らは一体何が言いたいんだろうか?

 まさか!『こうすれば、私たち三人で暮らせるよね?(にこ)』みたいな感じで、親を殺す気じゃないだろうな?そんなことになったら、警察沙汰になる前に、俺の命が危険にさらされる!

「もう連絡して、許可は、とってあります」

「…………………ごめん。どうやら、耳が遠くなってしまったみたいだ。もう一度言ってくれるかな?」

「もう許可は取ってあるよ?」

 どうやら、聞き間違いではないらしい。あの親、いつ許可したというんだ。

「というわけで」

「今日から」

「「よろしく(ね)(お願いします)‼」

「は、はは……」

 もう、笑いしか出てこない……俺の生活、どんな方向に向かうのかな?

 もしもこれがゲームだったら、ここでOPが入ってるよね。


「た、ただいまー……」

「「お邪魔します」」

 玄関を開けて、とりあえず家に入る。さすがに外で、ってのはキツイものがある。

「あ、おかえりー……って、二人も一緒だったのね」

「はい。今日からお世話になります」

「よ、よろしく、お願いします」

「こちらこそね。自分の家だと思って、くつろいでいいわよ。あなたたちのことは、昔から知っているからね。もしこれで遠慮なんてされたら、こっちが困ったよ」

 ……話を聞く限り、うちに住むというのは本当の話らしい。

 しかも、母さんさっきから嬉しそうだし。

 まあ、子供が俺しかいないから、娘ができたみたいで嬉しいんだろうな。

「ええっと、部屋は……今日は、ちょっと狭いけど、優夏の部屋で我慢してもらえないかしら?」

 とんでもない爆弾が今、投下された。

「何言ってんだよ、母さん⁉」

「なにって……言葉通りだけど?」

「そうじゃなくて!なんで俺の部屋なんだよ⁉」

「そんなの決まってるじゃない」

「は?」

「部屋が片付いてないからよ」

 しれっとした顔でそう言いのけた。

「なんで、前日とかにやらなかったんだよ⁉しかも、いくら昔から知っているとはいえ、女の子二人を男の部屋に泊らせていいのかよ⁉」

 襲わないように努力するつもりだが、いつ、なにが起こるかわかったもんじゃねえ。

 仮に、一日だけだったら問題はないが、これから毎日過ごすんだ。一日だけでも結構問題だろ。

「大丈夫よ。優夏なら何もしないでしょ?」

「まあ……何もしない自信はあるけど……それでも問題だろ」

「たしかに、何かあったら問題ね」

「だろ?だから——」

 言おうとしたところで、

「でもね、この二人の顔を見てみなさいよ」

「へ?」

 そう言われて、その言葉の通り二人の顔を見てみた。

「……」

 何とも言えなかった。二人の顔は、にやけているというような顔ではなかったが、どういうわけか、きらきらとした、期待の眼差しを俺に向けていた。

 その眼差しはまるで、『襲われてもかまわないよ!』と語っているかのようだ。

「ね?それに、万が一何か起きても、優夏が責任とって、二人をお嫁さんにしてあげればいいんだし」

 さて、今の発言におかしなところがあった。それはどこだと思う?

 答えは、『二人をお嫁さんにする』だ。

「ちょってまて、母さん」

「なによ?」

「日本の法律に、一夫多妻制度はないんだ。そんなこと、できるわけないだろ?」

 それこそ、他の国に行って、結婚式を挙げるぐらいの事をすれば問題はないだろう。けれど、そんな手間のかかることは普通しない。

「何を言っているの?優夏」

 そこで、みいちゃんが会話に入って来る。

「なにが?」

「えっと、ゆうくんは、ニュース、観てない、んですか?」

「は?ニュース?」

 なんでここでニュース?そんな要素、どこにもなかったじゃないか。

「もしかして、優夏は知らないの?」

「何がだよ?」

「日本の法律が一つ変わったこと」

「法律?」

 ニュースの次は法律。これらに関連することはあっただろうか?いや、ないな。

「はぁ……どうやら、本当に知らないみたいね」

 呆れているような感じで、母さんがため息を漏らす。

「……本来、この二人が戻ってきたのは、その法律が関係しているのだけどね」

 うん?法律に、二人が関係している?どういうことだ?

 なにか、犯罪でも侵すようなことを?いや、そんなはずはないな。仮にそうだとしたら、のんきに学校に行くことなんてできないからな。

「はぁ……それじゃ、この新聞を見なさい」

「わかった……」

 母さんから渡された新聞を見る。というか、どこから出した。

 けれども、そんなことはどうでもいいんだ。問題は、新聞の一面にでかでかと書かれていた記事。

 そこには書かれていたのは……

「な、な……なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ⁉」

 『新たに法律制定。政府、重婚認める』というものだった。

 本来日本の法律は、重婚を禁止している。ここら辺は国によって違うのだが、日本は禁止側についていた。しかし、この記事、というか見出しだけ見ると、政府に所属している誰かが、重婚をしたみたいになっているが、内容は一切違う。

 それだけなら、『こいつ、バッカじゃねえの?』程度で済む。しかしだ、内容が全く違っているので、頭の中がパニックになる。現実ってのは、よくわからない。

 その記事の内容というのは、『日本では、重婚を認める』ということだ。

 簡単に言うと、『あ、うちの国でも一夫多妻制度いれようぜー』的なノリになったということだ。

 しかもこの記事に、その理由らしいものがある。

 『少子高齢化対策』こう書かれていた。

 ……まあ、たしかに日本は、少子高齢化が進んでいる。これぐらいなら、俺の世代の誰もが知っていることだ。

 たしかに対策はできるかもしれない。けどさ、そんな重婚を許したところで、そんなことができるのは、本当にモテていて、かつどれだけ仲がいいか、ということによって来るわけだ。だったら、こんな制度入れる必要がないよな?なぜ、入れたし。

「で、どう思う?」

 そんな俺の思考をぶった切るかのように、母さんが聞いてきた。何が聞きたいのかは、さっぱりなんだけどな。

「何がだよ?」

「この制度の事」

「……何とも言えない」

 肯定も出来なければ、否定もできない、そんなところ。

 心のどこかで俺は、この事に対して、『嬉しい』そう思っているかもしれない。

 だけど、それとは別に、『これはダメ』という考えも出てくる。

 だから、どちらでもない。白でも、黒でもない。

 選択肢、今回は少し違うかもしれないが、似たようなものだ。

 肯定するか、否定するか、それぐらいの違い。

 嬉しいと思った理由は、昔の約束の事。

 ダメだと思った理由は、普通ではないこと。

 ただ、約束の方は、二人が憶えているかによって来る。

 ……あり?そ、そういやさっき、『法律が二人に関係している』って、言ってたよな?

あれの意味、わからない……ここは、母さんに聞いた方が良いかもしれない。

「な、なあ母さん」

「なに?」

「その、さ。さっき、二人が戻ってきたのには、この法律が関係している、って言ってたよな?」

「うん。そうね」

「でさ、何が関係しているの?」

「え?憶えていないの?」

「へ?」

 母さんが、きょとんとした顔で、言ってくる。

 それにつられて、二人は悲しそうな顔をする。だから、なんで?

「優夏」

「ゆうくん」

 二人が俺に声をかけたのは、ほぼ同時だった。

「私たち、昔約束したよね?」

 約束……あれの事を言っているのだろうか。物語冒頭にでてきた、あれ。

「もしかして、憶えて、いないん、ですか?」

 二人して、悲しそうな顔をする。

 ……憶えていない。そんなわけはない。一度も忘れたことなんてなかったぐらいだ。忘れてたまるか。

「憶えてるよ。二人をお嫁さんにする、だ、ろ……?」

 自分で言って気付いた。

 まさかとは思うけど、二人が帰って来たのって……

「まさか……俺と?」

「「……」」

 嬉しそうに、こくりと頷く二人。どうやら、そういうことらしい。

 ……それだけで済みそうな問題ではない、そう思えてくるが。

「は、はは……ははは」

 またしても、笑い出してしまう。そして、全身の力が抜けて、その場に倒れそうになる。

「ゆ、優夏⁉」

「だ、大丈夫ですか⁉」

 倒れそうになる俺を、二人が支えてくれる。その時に、なにか柔らかいものが背中に当たっているが、そんなのを気にしている余裕はない。

「……わけがわからないよ」

 そうとしか言いようがない。本当に、わけがわからない。

 ある日突然、重婚が認められるようになるとか、どうなってんだ。しかも、よくこんなのが通ったな。誰が言い出したのかはわからんが。

 もしかしたら、その辺の事も書いてあるかもしれないな。

 もう一度、新聞を手に取って読んでみる。

「……ないか。ん?」

 誰が言い出したのかは書いていなかったが、もう一つ、おかしな記事があった。

「……はい?」

「どうしたの?優夏」

「いや、なんか、結婚可能になる年齢の方も、変わってるなと思って」

 ある意味、変わっちゃいけないところまで変わってないか?これ。

 なんか……男女ともに、結婚可能年齢が一六歳になってるんですけど?

「えっと、それも私たちで変えたの!」

「はあ!?みーちゃんたちが変えたのかよ!?」

「うん!」

 ミーちゃんの肯定に、ヒナちゃんも小さく微笑みながら頷く。

 どうやって法を改正させたんだ……?そこが謎だ。いやまあ、何で目の前でこんなことが起きているのかも謎なわけだが。

「いやあ、ここまでやるのには苦労したよ。ねー、ヒナ?」

「う、うん。首相の、隠し事がわからなかったら、どうして、いいか、考えてた」

 ……なんか、聞こえちゃまずいようなものがあったような……?首相の……隠し事?それ、かなり大ごとなんじゃ?というか、なんでそれを知ってるの?こわいんだけど……。というかそれ、完全にスキャンダルなものを知っているということなんじゃ……?

「え、じゃあ、なに?もしかして、二人が帰って来た理由って本当に……」

「うん」

「はい」

「「ゆう君と結婚するためだよ(です)!」」

 と、高らかに宣言した二人だった。

 これって、幸せ……なのかな?


 それからは、二人の荷物を整理したりした。

 それが終わるころには夕飯時だった。

 で、びっくりなのはそこから。

 なぜかごちそうだった。今までほとんど見たことがないくらいの、ごちそうだった。

 ステーキに、唐揚げ、シーフードピザ。他にもサラダとか、ローストチキンとか。それにどういうわけか、三段のケーキ。

 どこのパーティーだよ?

 しかもそのケーキ。なんというか……どうみてもウエディングケーキだった。

 それからは母さんたちと、みいちゃんヒナちゃんとの談笑状態。俺はあまり関与しなかった。

 その結果、なんだか居づらくなってきたので、気分を紛らわすために風呂に入ることにした。

こんにちは、鯨です。

前回、出せる場所がないと言ったのですが、よく見たら普通にありました。

なので、今回は投稿が可能になりましたが・・・まあ、次からはほんとに白紙なので、ごめんなさい。

では、また次回。

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