どんぐりころころ…
『兄さーん!こっちでーす!』
茜の声が聞こえる……
行きたくねぇーーーーーと心から叫びたかったが、愛しの妹の嬉しそうな声を聞くと…
『俺がシスコンなのかもしれん……(笑)』
屋敷を出て、3時間……電車とバスを乗り継いで今、俺達二人は山道の中にいる……
『兄さん。たぶんこっちです。』
地図とにらめっこしながら、茜が先頭をきって獣道を行く。
こいつの前世は犬かもしれない(笑)
そこからさらに1時間……
二人とも汗だくになりながら先を急ぐ。
季節は春。流石にこれだけ歩けば暑い。
あぁヤバい……
暑くて死ぬ……もっと運動しとけば良かった…
そう思った時、ふいに声がした…
気がした…
─────────────────────
(しょーがないなぁ…ちょっとだけだからね。)
─────────────────────
ビュウ…
ブルブル…寒っ…
汗がスーっと引いた。
隣にいた茜と目が合う。たぶんこいつの仕業だったのだろう。
『茜、ありがとな。』
『??何がですか?』
よく出来た妹だ。
『あっ、見えてきましたよ➰』
森のど真ん中にでっかい街のような都市が見える。
なんじゃありゃ。すげぇな。
さっきまで帰りたかった気持ちを一掃するようなワクワク感にかられ、佳祐は一歩踏み出した。
そして……
カチッ…………
『どわぁーーーーーーー』
『きゃあーーーーーーー』
落ちた。(笑)