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虎穴に入らずんば虎子を得ず  作者: 小湊 美々架
第一章 入学試験編
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第六話 『構成員との戦い』

 「な、なにがあったの!?」

 「きたか…一花、原因は?」

 「内部の爆発から予測するに、時限爆弾が仕掛けられていたかと」

 「くそっ…校舎内に生徒がいるか確認しろ。僕は受験生を見てくる」

 「分かりました」


空海は目黒に指示を伝えた後、他の受験生がいるグラウンドへ向かった。石川も空海の後を追った。その場に残されたのは三人だけだった。


 「僕達も行った方が…」

 「行ったところで足でまといにしかならないでしょ。それくらいもわからないの」

 「落ち着けよ、今はそう言ってる場合じゃ「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」な、なんだ!?」

 「グラウンドからだ!行ってみよう」

 「あ、ちょっと、待ちなさい!」


悲鳴が聞こえ、急いで三人がグラウンドへ向かうと、そこは、周りの生徒は傷だらけで倒れており、立っていたのは先程グラウンドへ向かった空海と石川、そして…


 「あずさちゃん…?」


まるで、返り血を浴びたように真っ赤に染まった猫又あずさの姿があった。猫又は此方の気配に気づくと、振り返り笑顔を向けて来た。


 「あれ?赤子君じゃないですかぁ?どうしたんですか、そんなところで立ち尽くしちゃって」

 「キミこそ、なんで、そんなに、血まみれなの…?」

 「あぁ、それは…」

 「っ!危ない赤子!!」


次の瞬間、グラウンド中に銃声音が響き渡った。その弾は赤子に向かって放たれたものだった。赤子は猫又の行動を先に察知しており、赤子を庇い腕に弾が当たってしまった。


 「くっ…!」

 「猿山君!?」

 「あれ?外れちゃいました?まぁ、でも動きは封じれたので、いいですけど」

 「あなた、まさか…」


犬神が猫又を睨み付けながら、そうつぶやくと、猫又は怪しい笑みを浮かべたと同時に、猫又と瓜二つの少女が彼女の隣に現れた。


 「改めて自己紹介をしますね。私は猫又あずさ。こちらは妹のみずさ。私達はKDKの構成員です」

 「KDKですって!?」

 「KDKって政府機関の…?でも、政府機関がどうしてこんなことを」

 「それは、あなたが知る必要はありません」

 「ぐはっ!」


そう言うと、あずさは赤子の身体を蹴り飛ばした。その力は女子のものとは思えない威力であり、赤子はその場にうづくまった。


 「あ、ずさ、ちゃ…」

 「あなたと一緒にいるのは楽しかったですよ?知らない人間に対して、馬鹿みたいに相手のこと信頼して…人に裏切られるってことを知らないんですか?」


あぁ、知らないからこんなことになってるんですね。小馬鹿にするようにあずさが呟くと、隣にいたみずさが猿山達に攻撃を仕掛けて来た。猿山と犬神は応戦するが、防戦一方になっていた。


 「くそっ!こうなったら…能力『一刀両断』!」


猿山が能力を発動すると、猿山の手に太刀が具現化した。猿山は、その太刀を使ってみずさに振りかざした。


 「おらぁ!」

 「…遅い」

 「消えた!?」


しかし、太刀を振りかざした場所にみずさはいなかった。まるで、『姿を消してしまったかのように』。


 「っ!猿山、後ろ!!」

 「なっ!?」


先程、姿を消したみずさはいつの間にか猿山の背後に立ち、持っていたナイフで猿山を突き刺した。


 「ぐはっ!!」

 「猿山!やったわね…能力『一網打尽』!」


その瞬間、みずさが立っていた場所に結界が現れ、その結界はみずさの身体を飲み込んだ。


 「はぁ…やったかしら?」

 「残念だったね」

 「え!?きゃぁああああああああああ!」

 「猿山君!犬神さん!」


結界がみずさを飲み込み、安堵していた犬神だったが、能力によって抜け出していたみずさに猿山同様、ナイフで刺されて倒れてしまう。生徒会である空海と石川は、猫又達と同時に侵入してきた構成員に集中していて、こちらに気付いていない。


 「どうですか?目の前で友達が傷ついていく気分は?」

 「どうって…」

 「助けられなくて悔しい?傷づけた私達が憎い?それとも両方?まぁ、私には関係ないですけど」

 「これは…」


 あずさの声が消えると、突然スクリーンが掛かったかのように辺りの景色が変化した。すると、どこからか中学で自分をいじめている者達の姿が現れ、学校の時のように暴力を受ける。


 「お前みたいなナヨナヨしたやつは、この世に必要ない」

 「お前みたいなやつが、言霊使いになれるはずがない」


 次々と降り注ぐ暴言の数。それと共に、暴力の威力も大きくなってきた。まるで、人を殺す威力があるかのように。すると、一人のいじめっ子が赤子の首を掴み、締め付ける。その力に赤子は必死に抵抗したが、その抵抗も虚しく、より首を絞められるだけだった。あぁ、自分は死ぬのか…遠のく意識の中、赤子はふと祖母の言葉を思い出した。


 『虎、何があっても絶対に諦めてはいけないよ。たとえ、周りが何を言われたって虎は虎なんだから。それに、虎は素敵な力を持っている。私が言うんだから間違いないよ。だから、虎はその力を正しいことに使っておくれ。おばあちゃんとの約束だよ?』


あぁ、そうだ。ここで諦めるわけにはいかない。


祖母の言葉を思い出した赤子は立ち上がり、周りに広がっていた景色ごと吹き飛ばした。


(私の能力が解除された!?そんなわけ…)


 あずさは驚き、赤子の方に振り向くと、赤子の身体に先程までついていた傷がなくなっており、瞳はまるで、獲物を狩る虎のようだった。みずさが危険を察知し攻撃を仕掛けるが、先程の動きは嘘のように素早い動きの赤子は、攻撃を避け、能力によって姿が見えないはずのみずさに攻撃を仕掛ける。その姿はまるで野生の虎そのものだった。


 「これって…」

 「赤子の能力か?」


 この状況を言葉に表すのなら『悪戦苦闘』。どんなに苦しい戦いにも、負けずに闘い抜くこと。この言葉は赤子の能力にぴったりだった。みずさを倒し、標的をあずさに変えた赤子は、少しずつあずさに近づいていく。あずさはすぐに能力を発動させようとするが、赤子の雰囲気に圧倒され、能力を発動させることが出来なかった。赤子があずさに攻撃を仕掛けようとした瞬間、葉宮が現れ赤子の動きを止める。


 「はい、そこまでー」

 「理事長!?」


 葉宮の声を聞き、空海が驚きこちらに振り向いた。気が付くと、グラウンドには猫又姉妹以外にKDKの構成員はいなかった。


 「なんで…?」

 「まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか。さて、残った君達をどうするべきかねぇ…」


 能力を発動していない様子の葉宮にあずさは恐怖を感じそこから動けなかった。なぜなら、この人物が現れた瞬間、赤子は気絶し、あずさも能力を発動出来なくなっていた。それが摩訶不思議で、恐怖でしかなかった。


 「このまま、政府の野郎へ明け渡すことも可能だが…それでは面白くないからねぇ」

 「理事長?」


葉宮は、あずさの目の前に立ち手を彼女の方へと手を差しのばし


 「この学園で、学ばないかい?」



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