表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虎穴に入らずんば虎子を得ず  作者: 小湊 美々架
第一章 入学試験編
5/8

第四話 『猫又あずさ』

 試験会場である教室に付くと、筆記試験が行われた。が、学力が人並み以下の赤子には難しく、さらに猿山も学力は赤子以下だったため、赤子たちは開始直後からピンチに襲われた。だが


「まったく、なんでこんな簡単な問題も解けないのかしら。あなたたちは」


そんなピンチを救ったのは、犬神だった。彼女が各教科満点を取ったおかげで、赤子たちはなんとか筆記試験を突破した。その後、体力試験が行われるグラウンドに到着すると、そこには猫又の姿があった。猫又は赤子に気付くと赤子にの元に駆け寄って来た。


 「赤子君!」

 「猫又さん!筆記試験突破したんだね!」

 「はい!赤子君も突破出来てよかったです」


と、言って猫又は赤子に微笑みかけた。赤子は頬を赤く染め上げ、猫又から視線をそらすと、その場にいた犬神が赤子に猫又のことを訪ねて来た。


 「赤子君、この子は?」

 「ね、猫又あずさちゃんって言うんだ」

 「猫又あずさです。よろしくお願いします」

 「よろしく…って言ってもアタシはするつもりないけど。でもまぁ、冴えないあなたにこんな可愛らしい知り合いがいたとはね。驚きだわ」

 「…僕も今日知り合ったばかりなんだよね」

 「あらそう。でも、アタシには関係ないけどね」


君が聞いてきたんじゃないか!と嫌味を言ってくる犬神に怒りを覚えながらも、その言葉を声に出すのは出来なかった。


 「…」


赤子に嫌味をいう犬神の隣で、猿山はただじっと猫又のことを観察していた。しばらくして、赤子が次の試験のため猫又と離れた赤子は、険しい表情を浮かべている猿山に話しかけられた。


 「おい」

 「な、なに?」

 「お前、あの女といて何か感じねぇか?」

 「違和感?…いや、ないけど」

 「そうか、これは俺の勘なんだけどよ…あの女には気をつけろ」

 「猫又さんのこと?」

 「そうだ、アイツのことを見てたが、どうにもあいつは怪しい。この学園で危険なことをする輩はいないとは思うが、可能性がないわけじゃない。一応注意しとけ」

 「わ、分かった」


何かあったら言えよ!と言って、猿山は次の試験の準備をするため、行ってしまった。


 (気をつけろと言われてもな…)


会ったばかりの他人に警戒しろって言っても無理な話だし、それに…個人的にだが、赤子はそんな感じには思えない。こんな自分のことを気遣ってくれているのだ。しかも赤の他人の自分に、だ。そんな彼女がそんな危険な真似をするとは思えないし、思いたくない。とにかく赤子は、試験が無事に終わる事を祈り、体力試験に臨んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ