第二話 『生徒会』
同時刻、学園ではこの学園をまとめている生徒会の生徒たちが試験の準備を行っていた。
「ふぁ…ねみぃ」
「おい、光樹。休まずにさっさと働け」
「はいはい、分かってますよ」
不満と欠伸を漏らしつつ、準備を行うのは石川光樹。この言ノ葉学園の生徒会メンバーで会計の仕事を務めている。そして、石川と行動し、ともに準備を行っていたのは空海宗馬。言霊使いの名家を束ねる空海家の息子であり、生徒会長でもある。もっとも、自分の家のことに関しては本人の地雷なので、このことに触れる者は少ない。
「早くしろ。試験が始まってしまう」
「そんなに急ぐ必要なくね?先に会場に行ってイっちゃんが準備してくれてるんだろ?」
「だとしても、生徒会のトップである僕達が遅れるわけにはいかない」
「相変わらず真面目だねぇ…ってあれ?こっちに来るのは…」
「おーい!二人ともー!」
「理事長!?」
準備を終え、副会長である目黒一花が待機している試験会場となる体育館へと向かう途中、この学園の理事長である葉宮一絵に呼び止められた。二人はその場に足を止め、葉宮の方に向き直った。
「理事長、どうかしましたか?」
「実は話したいことがあってな…本当は目黒もいたらよかったんだが、何せ緊急でな」
「緊急…ですか?」
「一体何があったんすか?」
「実は『KDK』の構成員が受験生に紛れ込んでいるらしいという情報が入ってな。それでお前たちを探していたんだよ」
「『KDK』が!?」
『KDK』とは『言霊研究機関』の略称であり、表向きは言霊に関する様々な研究を行うという政府機関だが、実際は、言霊を使い日本はおろか全世界を我がものにしようと企んでいる危険な組織だ。そんな組織の構成員が受験生の中に紛れ込んでいると言うことは、学園はおろか関係のない他の受験生も巻き込んでしまう可能性が高い。だが、さすがに試験を中止するためにはいかない。そこで、葉宮は生徒会にKDKの構成員を捜索させ、見つけ次第構成員の確保をしてほしいということだった。空海は葉宮の言葉にうなづき、すぐさま試験会場にいる目黒に連絡をいれた。
「目黒か?今理事長から受験生の中にKDKの構成員が紛れ込んでいるという情報が入った。僕らはすぐにそちらに向かうから、お前は構成員を探ってくれ」
『了解しました』
目黒に伝えた後、体育館へと向かおうとした空海の目に、校門の前で喧嘩をしている猿山と犬神、そしてともに行動をしている赤子と猫又の姿が映っていた。