表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショートなど

不死の妙技

作者: 柏井小楢

なんだいお前さん。

永久に保存したいものがあるのかい?

何でも金属鍍金でそのままの形で保存してやるよ?



・・・おやおや、裏のほうのお客さんかい。

こんなとこで話すのもなんだ。

ちょっと向こうの部屋に来てくれないかい?


何をお望みで?


不老不死とね。

これはまた珍しい。

いったいなんでまたそんなものを・・・


・・・いえね、最近はどうにもそっちのお客さんが減り気味なもんで。

今の世の中で生きながらえたって仕方ないってことかね。


え、早くしろ?

まあそうあせるもんじゃないよ。

短期は損気、急がば回れってもんだ。

なんにせよ久しぶりなもんで、ちょっと必要なものを探さにゃならんのでね。

その間に大枚払ってまでこんな酔狂に走った理由でもお聞かせ願えるかい?


そんなに怒ることないだろう。

はいはい、酔狂なんていって悪かったよ。

効果はちゃんと本物さ。安心しな。




理想の相手が見つかるまでずっと美しいまま生き続けるねぇ。

その調子だとさぞかし高い理想なんだろうさ。


そんなことはない、早く探せって?

そりゃ悪かったね。

そうはいっても、うちが提供するのは「不老不死」。

あんたももうちょっとさ、悠長な考え方を身に着けるべきじゃないかい?

いや、違うな。

ほっといてもすぐに時間なんて気にならなくなるさ。


一応あんたの希望もちゃんと聞かせてもらおうかね。


さっきも言ったって?

ありゃ違う、今聞きたいのは理由じゃなくて手段さ。

値段も精度も手段もピンきりだからね。

一瞬がいいか、痛くないのがいいか、確実なのがいいか。

時間はかかるが古代の聖人がやったような由緒正しいやり方だってあるんだ。

さあ、どれがいい?



早くて確実、安価でつらくないものだって?

そりゃまたずいぶんと都合のいいことで。


おいおい怒るなって。

気と髪は長いほど、なぞは多いほど女ってのは魅力的だと思わないかい?


冗談はこれくらいにしておこうか。

ほれ、これを飲めばあんたは金輪際老化に苦しめられることはない。


ずいぶんと簡単で雰囲気もないって?

仕方ないだろう、これが一番安いんだ。

もっと大枚はたいてくれればいくらだって風情のあるやり方だってあるんだよ。

それとも出してくれるのかい?


はぁ、これで良いと。

不老不死目指すんならもうちょっと俗世的なものから離れようとしないもんかね、普通。


ほれ、これがあんたの目当てのものさ。

錠剤タイプ、使い方もいたって普通、単純にしてもっとも簡単。

なんてったって家に帰って、水で飲み込むだけだからね。

一気に飲み込まないと強烈な味が口の中に広がっちまうから気をつけな。

あ、ここで飲むんじゃないよ?

この狭い部屋で倒れられちゃ雪崩が起きちまう。

飲んだら体の力が抜けちまうんだ。

布団の上か、せめてソファにでも座ってから飲むのをお勧めするよ。



さて、これであんたも欲しい物を手に入れたわけだ。

ちゃんと見返りは払っておくれよ?

・・・よし、ちゃんと足りてるね。

毎度あり。

あんたの願いがちゃんと叶う事を祈ってるよ。

もっとも間違いなく効くんだけどね。

まあ大船に乗った気持ちでいるといいさ。

















老いず、死なず。

そんな状態になれるとっても簡単な方法、知ってるだろう?













死んじまえばいいのさ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ