表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきの嘘つき。  作者: 吉駄
入学
6/14

5話

入学式のために体育館は今年の新入生で溢れかえっていた。各クラスごとに二列になりそれが五クラス分ある。生徒数も新入生だけで150人ほどいる。だがこの学校の生徒数は他の学校と比べてそれほど多いわけではなくマンモス学校と言われるようなところだと一学年千人ほど在学していたりするのだ。

少しばかりの喧騒の中入学式開始の男子在校生の言葉が紡がれた。


「うるさい、黙れ、しゃべるな、死ね」


先ほどまでの喧騒も一気におさまり、新入生一同は唖然とした表情で演台の左横下にいる生徒を見た。


「みんなが利口で助かった。下手したら何人か怪我してもらうとこだった」


罵倒された新入生の内の何人かがその生徒に向かって魔法を行使しようとしたときにその言葉は発せられた。ものすごい殺気と魔力を乗せて。

ここにいる人間は馬鹿ではない。決して自分が勝てるはずもないほどのものを持ってる人間に喰らいつこうとはしなかった。そして魔法行使をやめる新入生を見て、胸を撫で下ろす者と憤りをおぼえる者に分かれていた。

実は罵倒は毎年恒例のことで新入生に向けて威圧的な魔力と殺気を向けることによって上下関係をはっきりさせようとするもので過去には新入生が在校生に対してそのまま魔法行使して、そのまま入学式が潰れた年もあったのだが今年はそのような血気盛んな新入生はいないようだった。


だが、それは同時に別の血祭りの開始を告げるものなのだ。


突然演台の上に金髪の幼い少女が姿を現した。それは本当に突然と言えるもので煙などの演出は一切なしにだ。そして少女はにっこり微笑んでこう告げた。


「みなさん入学おめでとうございます。私が校長先生のサリーちゃんでーす。それじゃあ今から『第一回校長先生の悪口言った奴をいじめる会』を開始しまーす。」


「「え?」」


新入生一同頭の上にクエスチョンマークがついていただろう。

みんなが『この人は何を言ってるのだろう?』ということを思っていると演台前に大きなスクリーンが現れて映像が開始された。

それは入学式前の廊下でのやりとりで『校長の話早く終わらないかなー』や『めんどくせー』と言ったものだった。


「先生はがっかりです。こんなにもキュートな先生の話をめんどくさいとか早く終われとか言う輩がいるなんて・・・」


と言って泣き崩れるマネをする。しかし次の瞬間にはすぐに元通りの笑顔になって両手を腰に当てて宣言をした。


「だからそんなことを二度と言えない様に校長先生自らおしおきをしてあげます!」


演台下の在校生は舌打ちをしていた。そう先ほどの挑発で一人も新入生がむかってこなかったら校長先生がおしおきと言う名の狩りを開始するというシステムなのだ。在校生は自分が新入生を狩ること楽しみにしていたのだが結局その権利は校長先生のものになってしまった。

もちろん狩るといっても殺人などの話ではなく、ただの力比べのようなものだ。


「ただ校長先生も鬼ではないので校長先生の悪口を言った悪い子ちゃんに慈悲をあげまーす。」


そう言うと校長先生の悪口を言ったとされる生徒の頭上に爆弾マークが浮き上がった。


「今から校長先生はその爆弾マークある人たちを狩っちゃいます☆だけどそのマークは別の人にタッチすることによってそのタッチされた人にマークが移動することになってるの。つまり校長先生に見つかる前にそのマークを他の人につけちゃえば君たちは助かるよ☆あと補足だけどタッチされた人はタッチした人にタッチしなおしてもマークは動かないからねー」


そう校長先生が宣言すると一気にマークがある人たちから周りの生徒が距離をあけた。

晴が見たところ悪口を言ったとされる生徒は25人ほどいる。ちなみに校長は慈悲をあげるといっても自分の楽しみを削るようなマネをするつもりは毛頭ないのである。


「魔法行使は自由で即死性があるものや禁忌系とか他にも危険と判断されるような魔法は学校の結界が自動的に打ち消しちゃうから注意してね。私に向けて使用するのももちろんありだけどそのあとの罰はより激しいものになるからね★校内ならどこに逃げてもいいけど校外にでたらマークをもってない生徒も失格でマークをつけてる人と同じ罰をうけてもらうからね★ちなみに罰は人には言えないあーんなことやこーんなことかもね」


そう言うと校長はぐへへと言い口元を手で拭う様な仕草をした。

その様子に一部の男子生徒は胸を躍ら罰を受けてもいいかなと思うのだが、すぐに演台下の在校生から注意が入った。


「あー、男子ども隠す必要ないからハッキリ言うけど、このババアは百合だ。男子には普通に罰を与えてくるから必死に逃げろ」


「む。ひどーい!草壁くん!ババアって何よ!ババアって!あなたも一緒におしおきだ!」


「はいはい。また今度かまってやるから今は目の前の狩りを楽しみな」


草壁は馴れた感じに校長を扱い矛先を自分から新入生に向けなおした。


「それじゃあ『第一回校長先生による悪い子を狩る会』を開始します!」


みんな心の中で会の名前が変わったことにツッコミを入れながら、校長による狩りは開始されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ