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嘘つきの嘘つき。  作者: 吉駄
入学
5/14

4話

ある男子生徒は見惚れてフリーズし、別の男子生徒は神にクラスの割り当てを感謝した。


「神無月魔法中学校出身、神谷晴です。よろしく。先に言っとくけど男だから」


晴自身は最後の言葉を挨拶に入れるつもりはなかった。なかったのだが周りの男子の様子を見ると入れないと後々めんどくさいことになるであろうと中学生のときの記憶から読み取ったのだ。

一時の間を空けて周りから絶叫が響く。


「え~~~!!」


「嘘だ!俺の夢を!愛を希望を!」


「めっちゃ可愛いのに!」


その絶叫はやはり晴の聞いたものばかりだった為『ああ、言っておいてよかった』と心の中で思うのだった。晴がそのまま座ろうと前を見ると先生が何か親指を立ててアイコンタクトを送ってきた。


『俺は男でも大丈夫だぞ』


さすがの晴も悪寒を感じたがすぐに気を取り直して


『死ぬ、くそごみ』


と良い笑顔でアイコンタクトを送り返す。

しかし、どうやら先生にはうまく伝わってなかったらしく一人で悶え始め、周りの生徒から気味悪いものを見る目で見られたのだった。

そうして何人か自己紹介が終わった後、一人の生徒が元気良く挨拶した。


「柳原魔工業中学校出身の桜井大和です!得意なものは魔具作成で苦手なものは勉強です!よろしくお願いします!」


桜井大和と名乗った生徒はヤマトと言うにはあまりに幼く容姿で身長は晴より少し高いぐらいしかなく、元気いっぱいの幼さはかなでとは真逆の小動物っぽさをかもし出していた。周りの女子からも『可愛いかも』『飼いたい』など囁かれる声があった。

しばらく他の生徒の自己紹介がありその中にはやはり何組か同じ中学校出身の生徒のペアがいた。そして最後の自己紹介が始まった。最後の彼は髪が黒く短く一般的なのだが身長が180cmをすでに超え瞳は深緑に輝き見るものを取り込みそうな瞳をしていてその存在は他者を凌駕するようなものだった。


「天照陰陽中学校、六道俊介、よろしく」


そう彼が淡々と自己紹介すると同時に教室中が一斉にざわめきたった。ざわめきたつ教室とは裏腹に六道俊介はすでに自分の席に着席していて自分のことで教室がざわついているというのに我関せずといった具合だった。


「六道だって!六道家の人間がなんでこんな学校にいるんだよ!」


「嘘だろ!あの六道なのか!?でも六道なんてあの六道しかないよな」


等などほとんどの人間が混乱していた。それもそのはずなのだ。六道家というのは国家の番人と呼ばれていてその家の人間はすべて天才と呼ぶにふさわしい戦闘能力をもっている。人々は神と契約していてその天才なまでの能力は神の加護だの、悪魔すら殴り殺す能力をもっているだの憶測が憶測を呼び一種の都市伝説になっている。

しかし共通の認識では勉学の有無に関わらず国家の最高学習機関で過ごすことが約束されている為ほとんどの人間は名前を知れど姿は知らず、だがその名を偽って使うことなけれ、もし偽って使ったのならばその一族すべて喰い殺されるであろう、と言われ畏怖されている一族ということだけなのだ。

それが彼が六道を名乗り周りは混乱しても嘘だと言い切れない理由だった。みんなは半信半疑なのだが彼、六道俊介は嘘でも何でもなく列記とした六道家の人間なのだ。

晴の隣にいるかなでもかなり興奮していた。


「え!?え!?すごいすごい!六道だって!あの六道家の人間見れるなんて!晴くん晴くん!すごいよ!!」


かなでは晴の肩をがっちり掴んでおもいっきり揺らしていた。晴もガクガク揺すられながら同意を示そうとするのだが上下に左右に揺すられることで中々反応できないでいた。


「ぱなで!かがで!かなで!落ち着いて!酔う酔う酔う!酔うから!」


このときばかりは晴も必死にかなでを静止させた。


「はいはーい落ち着けー。それじゃあ自己紹介も終わったとこだし入学式の説明はじめるからなー」


そう言って先生は混乱状態にあった教室をすぐさま冷静な状態に戻した。実はこのとき先生がみんなの精神が安定する魔法を使ったのだがそれは一部の人間にしかわからなかった。(魔法といってもハーブの香り類の暗示のようなものだが)

先生は説明を開始したのだが結局普通の学校の入学式と変わらず、ただ列になって入場して御偉い校長の話を聞いて生徒会長と新入生代表が挨拶を交わし退場して終了というものだった。


「それじゃあー廊下に並べー。そろそろ時間だから体育館にむかうぞー」


他のクラスの生徒が先にゾロゾロと廊下に並びだしていたので晴たちのクラスは少し急ぎ目に廊下に整列することになった。その間にもやはり『校長の話早くおわらないかなー』や『めんどくさいなー』などの愚痴はあちらこちらから聞こえてくる。


新入生の上で天井に擬態しているトカゲを見ながら文句を言っている生徒を先生たちは哀れんでいた。

そんな先生たちの気持ちは生徒たちにわかるはずもなく後に愚痴を言っていた生徒は後悔することになるだが、やはりまだこのときは知らないのだった。

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