対神討伐部隊・特殊部隊
この作品は、投稿する気はなくちょっとしたアプリで書いていたのですが、やっぱり投稿しようと思いまして今回投稿しました。
—————神。
それは、世界全国で古来から信仰されてきた自然現象や人知を超えたもの。私たち人間は、大昔から神を、信仰し畏怖し敬愛してきた。
だが、ある時を境に神は人間たちに牙を向くようになる。様々な被害、死者。それを食い止めるために作られた組織が「対神討伐部隊」
日本全国に十二の部隊が各部配置され、その部隊の隊長はもはや人間ではなく”神”
でも、そんな対策も今は、意味がない。
「品位二品から一品の神です!」
「全国に数体確認!」
「きゃー!」
「危ない!」
どこもかしこも煙が上がっている。現在の日本は史上最大の危機を迎えていた。神階の中でも一番上と二番目レベルの神が数体。こんなの、隊長クラスでも無理な話だ。各部隊長はほぼほぼ瀕死。一から三部隊の隊長、副隊長は首謀者の神相手に苦戦中。
「藍華。出動だ」
「了解」
————そんな、危機でも人々は一つの希望を持っている。対神討伐部隊全員と相手しても余裕の勝利。そこまでの強さを持つ一人の討伐隊員。
それが私、「楢木藍華」
「まずは、九州地方の神の撃破を開始します」
『九州地方!三体の二品の神!』
「完了しました」
指令室のオペレーターが何か騒いでいるが、ただの邪魔でしかない。
「オペレーター。喋らないでください。次、中国地方、四国地方の神の撃破を開始します」
品位の神だとしても、私にとってはどれも同じ。
[弱い]
「撃破完了しました。近畿地方、中部地方の神の撃破を開始します」
本部のある東京、関東地方は後回し。中部地方が終わったら次は東北地方。
「完了しました。東北地方、北海道の神の撃破を開始します」
『おい、天才』
「悠木。そっちは大丈夫?」
『お前が出動してくれたおかげで、全神お前に全注意力を注いでるよ。感謝する』
「それはよかった。じゃ、私は関東地方以外の神撃破が終わったからそっち行くね」
『クソ天才め』
第一部隊隊長「須恵悠木」私の教え子、まぁほぼ同期。各部隊長より群をぬく実力の持ち主。彼自身は自分の実力を認めていないみたいだけど。
「オペレーター。今の第一、第二、第三部隊隊長、副隊長の状況は?」
『第二部隊副隊長と第三副隊長が戦闘不能。第三部隊隊長もほぼ限界の状況です』
「了解。関東地方を除き、全国の神の撃破終了。今から関東地方、並びに首謀者の撃破を開始する」
東京の都市が全壊だ。悠木達はどこか周りを見ていると、大きな爆発が起きた。あそこか。
「悠木!無事!?」
「やっと来たな。遅いんだよ!」
「文句言わない!十五分ぐらいで全国の神撃破してきたんだから!」
「狂ってんな………」
首謀者、「建速須佐之男命」暴風雨の神。それでいて厄除けや疫病退散だが、今回ばかりは暴君の部分しかない。
「これが首謀者?」
「あぁ。早く倒せ」
全員もう満身創痍という感じかな。可愛い教え子の頼みだし、素早く倒さないとな。
「それじゃ、建速須佐之男命。撃破開始します」
素早く懐に潜り込み、対神ナイフを須佐之男命に刺す。
「撃破完了」
「やっぱ……狂ってんな……」
須佐之男命の体が崩れて粉塵になって飛んでいった。
さて、これだけの被害。復興するのはどれくらいかかるだろうか。対神討伐部隊の回復もあるしな。
『た、建速須佐之男命……、撃破完了……』
「悠木。有那君のこと運べる?」
「舐めんな。それぐらいでき……」
立とうとした瞬間に気絶した。よく見たら第一、第二、第三部隊隊長、副隊長全員気絶してる。急いで治療しないとな。
『楢木隊員!今治療班がそちらに向かっています!』
「ごめんだけど、必要ないかな。市民達に回してあげて」
治療の力を持つ神「神産巣日神」対神討伐部隊の隊員は昔対峙した神と適合し「神格化」できる。できるのは一部隊で三人ぐらい。そして稀に複数神格化できる人物が現れる。第二、第三部隊隊長と第一部隊副隊長が二つ。悠木は三つ。第二、第三部隊副隊長が一つ。
そして、私が十二。歴史上最多の神格化。そして、その中の一つに神産巣日神がある。
「内臓とか少し無くなってるな。体に穴も空いてる」
結界の神である「衝立船戸神」で周りに結界を張り、その中に神産巣日神の力を注ぐ。入るだけで治療できる結界の完成。
「第一、第二、第三部隊隊長、副隊長の回収お願い。治療はしてある。私は全国の市民の治療に行く」
素早い神である「饒速日命」この神があるからこそ、私は素早く全国を行き来できた。とりあえず、一人一人の治療ができないため避難所にさっきの入るだけで治療できる結界を広めに張っておく。それを全国の避難所に一つずつ。
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
市民達の中には安堵している人もいれば、泣いている人もいる。これだけの被害。死者なんて数えきれないほどだ。殉職者も多く出ただろう。
「今から本部に戻る」
「楢木藍華。只今本部に戻りました」
「お、天才が帰ってきやがった」
「悠木。無事だったんだ」
扉が開き出てきたのは先ほどまで瀕死の状態だった悠木。の他にも部隊隊長や副隊長。
「あの須佐之男神を一発で粉々にするなんて!さすがです!藍華様!」
「ありがとう。光ちゃん」
飛びついてきたのは第三部隊副隊長「東雲光」ちゃん。光ちゃんが言ったように、なんだか私様付けで呼ばれてるんだよな……。
「いや〜。さすが藍華先輩やったわぁ〜。僕なんか品位二品の神で手一杯やったていうのに」
「須佐之男神と戦ってたじゃない。それに、品位二品の神でも倒せただけすごいから!」
ナイフ、というより刀を腰に下げているのは第一部隊副隊長「佐伯有那」君。第一部隊副隊長だが、悠木とは仲が悪い。というより、悠木が有那君を勧誘したところ、断られ上層部に直接有那君を編成するように求めた結果、有那
君が第一部隊に入ってきた。
「そこの力だけの隊長とは大違いですからね〜。しかもゲーム廃人ときたもんや」
「あぁ!?お前なんて須佐之男神の攻撃数発で伸びてたじゃねぇか!俺は最後まで戦ってたぞ!」
「けど、藍華先輩が来てすぐに倒れとったやないか」
「ならお前より強いって証明してやるよ」
「やってみぃ〜」
喧嘩始まりそうだな。とりあえず、二人を結界で拘束。
「おい!何やってんだ!藍華!」
「あなた達二人が喧嘩なんて、討伐部隊の施設がいくつか壊れるから」
「もうおじさんこれ以上の後始末は嫌だよ?」
「代白は黙ってろ!」
「ひどい……」
悠木に怒鳴られてしょげているのは第三部隊隊長「三上代白」。悠木も同期だが、本当に同じ時期に対神討伐部隊に入隊したのは三上代白と現討伐部隊隊長。あと、そこまでおじさんではない。二十後半で老け顔というだけだ。悠木とは五歳ぐらいしか変わらない。
「藍華。ここにいたか」
「あき……、隊長。須佐之男神、討伐完了しました」
「別にここには限られたものしかいない。普段の呼び方で構わんよ」
「そう?」
扉が開いて顰めっ面で入ってきたのは現対神討伐部隊隊長「伊埼明」同期だがスピード出世し、私と代白の中間ぐらいの歳、つまり二十代にして討伐部隊隊長をやっている。
「最高出世組が揃ったな」
「まだそんな呼び方あるの?」
「僕はそんなにスピード出世じゃないよ」
なんだか、私たち三人は「最高出世組」と呼ばれ、歴代でも稀なスピード出世をしたのだという。まぁ、入隊して一年ぐらいでこの地位になったっけ……。
「そういえば、討伐部隊入隊志願者増えるかなぁ」
「増えないんじゃね?」
「なら私は増えるに賭ける」
「お、どんくらいだ?」
「ゼロ」
「おい!」
日本全国で多くの死者、殉職者が出た以上入隊志願者が増えるかはわからないが、今後の神のためにも少しでも入隊志願者がいてくれたら嬉しいんだが。
「今年の入隊志願者の中に私の部隊に入る人いるといいな」
「「「「「「「いない」」」」」」」
私の入っている部隊は「特殊部隊」と言って、言葉の通り特殊な者しか入れない部隊。隊員は私一人。
入隊条件が厳しいのかというと、それほどでもない。毎年五人ぐらいは入隊できる実力を持つものがいる。だが、合格は不合格かを決めるのは、私ではなく他の隊長、副隊長が決めている。
私が「合格」と言っても、他の人は全員決まって「不合格」と言うのだ。
「あ、でも今年は怜君と楽音ちゃんが入るからなぁ」
「誰だ?」
「黒奈怜」君と「黒奈楽音」ちゃんは、前対神討伐部隊隊長のお孫さん。昔、神から助けたことがある。
「前対神討伐部隊隊長のお孫さん。兄妹じゃなくて従兄妹。実力はちゃんとあるよ」
「なら第一部隊だろ」
「特殊部隊じゃないの?」
—————その後、無事復興し入隊志願者は前年の二倍増え、賭けは私の勝ちということで、悠木からアクセサリーを買ってもらった。
どうやら、今年の入隊志願者は有望株だらけらしく、もしかしたら私の特殊部隊に入る人物もいるかもしれない。
「有那君。今年はどう?」
「藍華先輩ですか。どうもこうも今までよりもレベル高い連中ばかりですわ。もしかしたら僕を追い越す奴もおるかもしれん」
「お。そうなったらお前が俺より弱いって証明できるな」
「悠木隊長も追い越されるかもしれませんよ」
「んなわけないだろ」
入隊志願者のみんなが私たちのことをチラチラ見ている。まぁ、第一部隊隊長と副隊長が揃ったらそうなるか。
「って、伊崎隊長と代白さんも来とるやん」
「いつもの”お知らせ”だろ。お前も行ってこい」
悠木に背中を叩かれ明と代白のところへ向かう。悠木にはもう一回マナーから学ばせるか。
「あ、やっぱりここにいた」
「勝手にどこかに行くな」
「ごめん」
「最高出世組だ……」
「やっぱ格違うな」
なんだかヒソヒソ話してるな。明は圧出し過ぎだと思うけど。あ、怜君と楽音ちゃんがいた。二人も私に気づいたのか手を振ってくれている。
「あの二人が怜と楽音か?」
「うん」
「僕追い越されちゃうかもなぁ」
「有那君も同じこと言ってたよ。あと、代白が追い越されることは絶対ない」
代白は討伐部隊の中で、私と明の次に強い。子供の頃から特別な訓練をされていたとしても、代白を追い越せるものはいないだろう。
「おい。そろそろ話してないで、本題だ」
「「了解」」
「入隊志望者の諸君。君たちに特別試験を用意する。これは、絶対ではないので受けなくとも良い。また、この試験を落ちたとしても討伐部隊に入隊することは可能だ」
明のしっかり耳に入るような重い声で、全体の空気が引き締まる。ただ、悠木と有那君は静かに喧嘩してる。体は全く動かず、手だけが見えない速さで動いている。あとで明に説教されるだろうな。
「特別試験の内容は特殊部隊に入隊するというものだ。試験内容は当日に特殊部隊隊長楢木藍華から伝えられる。特別試験を受けたい場合は第一部隊隊長須恵悠木か副隊長佐伯有那に申請したらいい」
明に名前を呼ばれ、先ほどの喧嘩がなかったようにピシッと止まる。入隊志望者を見てみると、数人やる気に満ち溢れた顔をしている。おそらく、その人たちが今年の有望株なのだろう。
「それでは、失礼する」
「はいはい!申請期間は入隊試験の間やで!あと三日ぐらいしかないから早めに決めときぃなぁ!」
「佐伯副隊長。特別試験、申請します」
「私もです」
私たちが帰ろうとしたと同時に、申請した人物。怜君と楽音ちゃんだ。やはり、二人は特別試験、受けるか。
「やる気満々やなぁ。でも、特別試験、審査するのは藍華先輩だけちゃうで。僕たち各部隊隊長と副隊長と、討伐部
隊隊長や。今まで受かった奴は一人もおらん。取り下げるなら今のうちやからな」
「もし、特別試験に受からなかったとしても、入隊試験には受かりますんで。いつかもう一度特別試験受けて特殊部隊に入ってやりますよ」
「佐伯副隊長も越えるつもりですので、覚悟しておいてください」
有那君、笑っているが絶対怒っているだろうな。悠木もオーラが出ている。でも、さすが怜君と楽音ちゃん。第一部隊副隊長相手でも余裕そうだ。
「なら、楽しみにしてるね。あと言っとくと、特別試験、毎年三人くらい合格者いるんだけど、他の隊長、副隊長が必ず不合格にしてるから」
「だったら私は、藍華さんも超えてみせます」
「頑張れ」
見てないけど、楽音ちゃんの言葉で代白と明も激怒してるな。圧がすごい伝わってくる。
「行くぞ」
私はみんなに手を振って本部に帰って行った。あからさまに不機嫌な人二人と一緒に歩いているのは、周りから驚愕の目で見られていたけれど。
「あー、イラつく!あの生意気二人なんなん!?」
「俺たち越えるって言ってたなぁ。なら、手合わせでコテンパンにしてやるよ」
「ま、藍華を超えるっていうのは無理だろうね」
「まずは、一人で品位四品は倒せないと話にならん」
怜君と楽音ちゃんへの不満大会が開催されている。ちなみに、先ほどから言われている「品位」とは、神の強さを表す階級。それを「神階」と呼び、文位、勲位、品位の順番。
文位は正六位<上・下>〜正一位がある。全部の神階に正と従があり、正四位までに上と下がある。勲位は勲十二等〜勲一等。品位は四品〜一品。品位一品が一番強い神となる。
「怜君と楽音ちゃんなら正一位は余裕で倒せるだろうね。限界は勲八等ぐらいじゃない?」
「はっ!それぐらいが限界なら俺たちを超えるなんて夢のまた夢じゃねぇか」
「でも一ヶ月前はまだ従四位・下が限界だったから、成長スピードは早いよ」
勲五等を倒せるなら小隊長クラス。小隊長とは、部隊の中にも近接や遠距離、その中でナイフだったり銃だったりなど、様々な役割があるが、それぞれをまとめ上げるのが小隊長。そして、近接と遠距離をまとめ上げる中隊長が二人ずついる。
「どうした?入隊志望者を何かあったのか?」
四人が怜君と楽音ちゃんへの不満をつらつらと述べている中、話しかけてきたのは第二部隊隊長「籍根由稞」ちゃん。悠木と同じ時期に入った同期だ。
「いや、前言ってた前討伐部隊隊長のお孫さん二人が、今日特別試験の説明に行った時に、私を超えてみせるって意
気込んでね、それでこの四人があの二人に対して不満を述べてるの」
「藍華さんを、超える……?その二人は、それほど強いんですか?」
「いや、限界が勲八等かな。けど、成長スピードは異例だよ。入隊したらすぐに勲一等を倒せるまで成長すると思う」
「それは楽しみですね」
由稞ちゃんが悪い笑みを浮かべている。ちなみに、有那君は元々第二部隊いたので、由稞ちゃんと有那君は仲がいい。
「籍根隊長。あの二人僕を超えるいうたんですよ?そんなんコテンパンに負かせるしかないですよね?」
「そうだな。是非とも私と手合わせしてもらいたいものだ」
由稞ちゃんは各部隊隊長のなかで近接戦闘は一位と言ってもいいほどの実力。有那君も近接戦闘が得意なので、合同任務だったり有那君が第二部隊にいた頃は二人で息を合わせた攻撃をしているのを見ていた。
「というか、あのすごい堅っ苦しそうな、怜だったか?あいつは山羊座が向いてるだろ」
「そしたら、第一部隊が第十二部隊に追い越されるかもしれませんで」
「はぁ!?山羊座が第一部隊追い越すはないだろ!」
さっき悠木が言っていた「山羊座」は、第十二部隊のこと。討伐部隊は全部で十二個あり、それぞれ星座の名前がついている。ちなみに、山羊座の人しか入れないということではなく、ただ山羊座が十二月の星座だからついているだけだ。
だが、山羊座の主な特徴として、責任感があり堅実に目標と達成するらしいので、そういう性格の人物ばかりが集まっていたりする。入隊志望者はそういう自分に合うのはどこかも考慮して、どこに入るのか決めるのだ。上を目指したいから第一部隊に入るという人もいるが。
ちなみに、第一部隊は水瓶座で、水瓶座の主な特徴は自由らしい。悠木にはぴったりだと思うが。
「今年も特殊部隊に入る人はいなさそうだな」
「特別試験であの二人に俺たちの格の違いってやつを見せつけてやるよ」
「それはいいけど悠木。あなたは少しマナーから学ぼうか」
「おっ、いいんとちゃいます?須恵隊長のマナーは最近アホが極まってたんで」
あからさまにいやな顔をする悠木に有那君が煽ってくる。また喧嘩しようとしたので、前と同じく結界に閉じ込める。
「ま、特別試験楽しみだな」
そう言って、全員悪い笑みを浮かべていたのは、見ないふりをしておくことにした。
「今から、特殊部隊入隊のための特別試験を開始する」
あれから三日後、特別試験が始まった。申請したのは怜君、楽音ちゃん、その他数人。他の隊長、副隊長は明らかに怜君と楽音ちゃんを睨んでいる。
試験会場は、中央に広さ百平方メートルぐらいの闘技場。周りには闘技場を囲むように建物が建っており、建物は一番上部がガラスで、闘技場を見下ろせる。
「藍華。試験の説明を」
「了解。私が特殊部隊に入るために求めるのは一つだけ。圧倒的力だよ。そのために——
「藍華さん。つまり、隊長たちと手合わせするんですか?」
「黒奈怜。説明をしているときに口を挟むな。黙っていろ」
怜君に厳しい言葉で注意したのは由稞ちゃん。ものすごい敵意が感じ取れる顔で怜君を睨む。
「さて、そのための試験内容だけど、正六位・上の神と、私が戦っている間に全力でも一部でもいいから力を出してみて。それで、神が君たちの方に少しでも注意を向けたら合格」
私が出動すると、須佐之男神の時のように、全ての神が私の方に注意を向ける。それこそ、さっきまで戦ってたのを無視するか如く。つまり、それほどの力を持っていたら特殊部隊に入隊できるということ。
「じゃあ、順番は受験番号順で行こうか。だから最初は、受験番号〇五六番の子かな」
〇五六番の子は、いかにも不良っぽいリーゼントの髪型で、少し気性が荒そうだ。私は闘技場に降りる。すると、一つの扉から神が出てきた。
「試験を受ける子は、闘技場のはじにいてね。神が攻撃してきても結界が張ってあるから大丈夫」
「別にお前ら全員入隊試験はクリアしてるわけやし、無理しんくていいでー」
「なんですかそれ」
「私たちは特殊部隊に本気で入りたいんですよ」
「あっそ〜。でも、気を抜いてる状態でも敵に注意を向けんとあかんでぇ?」
有那君と怜君と楽音ちゃんが喧嘩しそうで怖いな。他の隊長、副隊長なんて何も喋らないだけで貧乏ゆすりしてたり、手に力が入っていたり、圧が出てたり明らかに怒ってるのがわかる。
「それじゃあ、開放して」
神が私に向かって攻撃してくる。受験者の子は緊張しているのか深呼吸をして落ち着かせている。
「始めるのはいつでもいいよ」
準備ができたのか、目を見開いて大きく息を吐く。神の方を見てみると、受験者の子の力を感じ取ったのか六つある目のうち、二つ受験者の子の方を向いている。
「はい!終わり!」
神の周りに結界を張り、終わりの合図で手を叩く。
「どうっすか?」
「六つの目で二つ向いてたし、私は合格なんだけど……」
上から見下ろしている隊長、副隊長達の方を見る。今までの傾向上、合格か不合格か、どっちをいうかは予想ができる。
「不合格だ。さっさと席戻れ」
悠木が淡々と告げる。もっと気を遣った伝え方をできないものかと思いながら、試験を進めていく。怜君と楽音ちゃんは一番最後。それよりも前の受験者の子は全員合格なのだが、悠木たちは「不合格」の一点張り。ついに、怜君の番が来た。
「藍華さん。一つ質問いいですか?」
「いいよ?」
「僕の方から神を攻撃するのはいいでしょうか」
「全然。倒しても大丈夫。攻撃するつもりなら、結界は張らない方がいいかな」
「お願いします」
怜君の力だったら、正六位・上の神ぐらいは一発で倒せるだろうしな。
「それじゃあ初め」
私がそう言ったすぐに神は怜君の方を向く。私のことを攻撃してはいるが、顔は完全に怜君の方を向いている。
「終了」
怜君が今すぐにでも神に襲い掛かろうとしていたので、結界を張って終了させる。倒してもいいけど、あんまり捕らえている神は減らしたくないからね。
「藍華さん。どうでし——
「不合格」
悠木がそう言った瞬間、怜君と隊長、副隊長の間に殺気が飛びかかっていた気がするが、気のせいにしておこう。
さて、次は楽音ちゃんだ。
「開始」
楽音ちゃんもすぐに力を出す。神が楽音ちゃんの方に攻撃しにいくが、楽音ちゃんが一発で倒してしまう。
「これだったら合——
「不合格」
またもや悠木がその一言で一蹴する。が、私は悠木よりも、悠木の隣で殺気混じりの視線で楽音ちゃんを睨んでいる由稞ちゃんが気になる。とりあえず、これで試験は終わりだ。
「それじゃあ、試験はこれで終わりだから帰っていいよ。隊長、副隊長が集まるのは稀だし、何か質問したいことがあったらどうぞ」
数分後、残ったのは怜君と楽音ちゃんの二人だ。怜君たちの方と、隊長、副隊長の方と、両方からものすごい圧がきている。
「須恵隊長、なぜ藍華さんじゃなくてあなたたちが審査するんですか?」
「あ?俺たちが審査するのは駄目か?」
「須恵隊長達は特殊部隊じゃないですよね。特殊部隊である藍華さんだけでいいんじゃないんですか?」
「あのなぁ、特殊部隊ってのは、俺たちでも勝てないような相手が出てきた場合出動するんだ。だから、俺たち隊長が認めないと特殊部隊には入れないんだよ」
悠木の言うとおりだが、そんな状況がない方がいい。けれど、いつ須佐之男神のようなことが起こるかわからない。特殊部隊のようなものはあった方がいいだろう。
「ほれ、もう帰れ」
「わかりました……」
怜君と楽音ちゃんは不服そうな顔をしながら行ってしまった。この後は、会議で入隊者の配属先を決めていく。
「じゃあ、この後は私は必要ないし、帰るね」
「いや、藍華もいてくれ。今回は特に有望な入隊者多いのでな」
明がそう言うのは珍しい。でも、確かに今回の特別試験は全員合格できるほどの実力だった。全体的にレベルの高い試験だっただろう。
これからの討伐部隊はどうなるか、楽しみに思いながら、悠木たちと一緒に会議に向かった。
他の作品も途中途中ですが、読んでいただけると嬉しいです。




