【短編版】ナイトメア・ユートピア
雨が降っている日はとてもいい。なぜならば合法的に外に出ないからだ。今絶賛受験生のニチアサ好きの陰キャはずっとパソコンとご対面をしている。受験まであと一か月だというのにパソコンで某変身系の番組を見ている。
「もう1回人生をやり直したい」
最近そう思うようになってきた。この前、母や父に反抗的な態度をとったので絶賛ピリピリ中だ。
また別も何も変哲もない日常と思った矢先、俺は交通事故に遭って死んだ。大型バスに前からどつかれたのだ。とても痛かった。
「こんな人生になるんだったらもっと家族に恩返しがしたかったな。」
と俺は死ぬ間際で、短い人生の中で、一番の後悔した。
目が覚めると俺は赤ちゃんになっていた。胸のでかいお姉さんと超絶イケメンが目の前にいる。二人が俺の目の奥を見るようにじっと見つめてくる。どうやら俺は転生したらしい。
俺はもう一回生きれるのなら次こそは本気で頑張って家族全員で幸せな人生を送ると誓った。
転生して四年半が経った。
まずここまでで俺が知ったことをざっくりと話そう。
まず、俺と俺の家族はゴラド村という村の辺境に住んでいて、ゼイル・グリフィンという名前を授かった。この世界には「魔力」「呪力」「霊力」という前世にはなかった力があり、ここの世界は表と裏の世界がある。表世界では人間やエルフなどの異種族が暮らしていて、裏世界、別名「冥界」では魔人族や竜人族が暮らしている。千年前くらいには龍魔族という種族もいたらしい。そいつらは表世界で魔族とみなされいる。
冥界の種族は身体能力が表世界の人間の数倍大きいから注意しなければならない。
もう一つ、驚くことに俺に女友達ができた。友達というか一緒に家にいる同い年のエルフだ。この前、山の大樹の下で気絶して倒れていたところを助けたのだが、最初は何故かめっちゃ怯えられた。なぜだろう。
彼女の名前はフィリナ・リネイセルという。彼女には家族が一人もこの世にいない。竜人族に襲われたからだ。フィリナは命がけで逃げてきて、偶然大樹を見つけて気絶したらしい。だからフィリナはこの家に住むことになった。
ある日、
「ゼル、やっぱりあなた変だよ。」
急に変なことを言われた。
「俺の何が変?」
「魔力とか?流れ方が普通の人より変だよ。」
「あなたからすごい威圧感を感じるの。」
そんなにか?別に殺気を出しているわけではないんだが。
多分このとっちゃいけないペンダントの魔力だろう。フィリナがここに住むことがいつまでかわからないが、それまでにこの大きい距離を縮めていきたい。
そこからはや4年が経った。俺は今フィリナと森にいる。あの聖なる大樹まで行く道でまた魔物を二人で狩りながら歩いている。彼女はB級魔物を余裕で倒せるくらいまで成長した。彼女はエルフだから霊力があり、霊術をできることが彼女の最大のアイデンティティになっている。
二人でC級魔物のラッドパンサーを一掃している途中、どこかで轟音が鳴った。村の方から煙が出ている。
「なにあれ?」
フィリナは困惑している。俺はすぐに気づいた。
村が何者かに襲われている。
「フィリナ、お前は絶対に大樹の下にいろ。そして俺が一日経っても来なかったら、すぐ反対の方向へ山を下りろ。」
フィリナは素直に頷いた。二年一緒にいて俺と彼女の距離が縮まったことを今実感した。
俺は「身体強化魔法Ⅴ」をかけて、急いで山を駆け下りた。
「は?」
来た時にはもう遅かった。父が目の前で殺された。母は見当たらない。
攻めてきていたのは竜人族や魔人族ではない。アルスラーン王国の騎士団の東軍が攻めてきていたのだ。
人間はとても愚かだ。なぜこの小さな村を攻める必要があるんだ。
俺は勝手に村を壊滅させられたこと、父を殺されたこと、母を連れ去られたこと、俺の一番好きな居場所を軽々しく踏みにじられたことが許せなかった。
そしたら突然頭の中の1本の糸が切れてペンダントにひびが入った。
それと同時にその後の記憶と意識が途切れた。
俺はどこかのベッドで目を覚ました。目の前におじさんがいる。誰だこのおっさん。
「やっと起きたか」
「お前五日くらい寝たきりだったぞ。」
え?五日も寝込んでたの?
とりあえず村はどうなったのか聞いてみる。
「村はどうなったんですか?」
「ゴラド村のことか?」
「はい」
「壊滅したよ。」
やっぱりだ。王国騎士団、絶対に許さない。
「ただ、王国騎士団も壊滅している。」
え?父でも手も足も出なかった王国騎士団東軍が壊滅?
「なんで壊滅したんですか?」
「龍魔神が出たんだ。」
「龍魔神」それは神話の時代にいた表裏世界を制した龍魔族で冥界の神だ。
「龍魔神が突如出現して王国騎士団を完全に崩壊させたんだ。」
「そいつは首にペンダントをつけていて、今の王国の頂点に立つ騎士や魔法使いよりも倍以上強かったらしい。」
俺にはもう悲しみはなかった。怒りという感情だけが頭の中で駆け回ってる。
後日身体が回復した俺はまず村へ行って父を弔った。俺は父の使っていた双剣を形見として身に着けた。そして離れ離れになったフィリナを探す旅に出ようと思う。
おじさんにお礼を言って早速俺はフィリナを探す旅に出た。
ナイトメア・ユートピア短編版見てくださってありがとうございます。
連載版がメインで小説を書くのでぜひ連載版も見てください。




