『沼の主とプレスマン色の薬草』
掲載日:2025/12/24
ある村に美しい娘があった。年ごろになると、毎夜、どこからか、一人の若者が通ってきた。そういう時代のそういう村の風習なので、親も、別に、とがめるでもなかったが、どこの誰だかわからないのが、気がかりであった。当の娘も、どこの誰なのか尋ねても、若者が答えようとしないのが気がかりであった。
ある夜、親たちは、家の軒下で、ひそひそと話す声を聞いた。いわく、長年の望みがかなって、人間の娘に種を宿した、と。別の声がいわく、それはよかった。しかしお前の素性が知れたら堕胎してしまうかもしれない、と。またいわく、いや大丈夫だ、俺の素性がわかるものか、と。別の声がまたいわく、気をつけろよ、人間はどこで真実を知るかわからないからな。五月の節句の五色の薬草を煎じて飲まれたら、おなかの子は流れてしまうことだけは、知られてはならないぞ、と。またまたいわく、五色の薬草か、黒白赤青黄なんてプレスマンみたいだな、あはははは、と。
親たちは驚いて、下男に声の主の後をつけさせるとともに、医者をたたき起こして薬草を用意してもらい、娘に飲ませた。下男が、声の主は近くの沼に消えたことを報告すると、次の朝、人を雇って、沼をさらうと、大きなウナギと大きなナマズがかかったので、おいしくいただいた。
教訓:プレスマンには、もう一色、緑があった。




