望む結末を
合格した主人公、
合格できなかったヒロイン。
高校受験。1人死ねば、1人空いて、不合格から合格へ。
2人の望む結末を。
『生徒会長だった少女が高校受験を失敗した』
このことを知ったとき、誰もが「嘘だろ!?」と驚いた。
もちろん、俺も驚いた。
だって、俺は『そこの高校』を合格したから。俺が合格で、あの、何でもできる天才の子がなぜ!? そう思った。
だが、真実はそうなのだ。
『あの子』は滑って、『俺』は受かった。それは変わらない。
なんという素敵なてんかい、『俺の人生という名前の本』にとって、実に素晴らしいてんかい。とは、思ったりするんだけど。
でも、まあ、意外だった。てっきり、2人そこに行くって思っていたから。
「あー、失敗したな。夜に歩くんじゃなかった」
俺はコンビニに用事があっただけなんだが。
頭をかく。
合格し、翌日の夜。
「フー、フーッ」
元生徒会長が、包丁を手にし、俺の前に立っている。
息は荒く、顔も歪んでいる。
不味いな、うん、非常に不味い。
え、合格したのに死ぬじゃん? 『俺の人生という本』は『不合格になった少女に刺されて死にました』で終わり?
死ぬのは、嫌なんだけど。
「ワタシは、頭がいいんです」
天才は言う。
「失敗することなんて、1回もなかった。これからも、失敗はしてはいけない。イケナイんです」
…、荒れてんなあ。
「よかったです。本当は、あなたの家に行って、家族全員を殺してからあなたを殺すつもりでしたが、殺すのはあなただけになりました。手間が省けてよかったでス」
「ワタシは、頭がいいんです。1人死んで、1人空けば、1人合格になります」
狂気の発想。
「アナタを殺し、ワタシが合格します。
フー。
そう! 失敗なんてなかった! ワタシには成功しかない! 失敗なんてアリエナイ!」
そして、俺に走って向かってくる。
「まあ、いいか」
俺は抵抗せず、『少女の望み』を受け入れる。
「な、どうして、なんで!?」
自分が刺したくせに、何回も刺しまくったくせに、なんで驚いてるのやら。
「これが、俺の望む結末だから」
『不合格の少女に刺されて死にました』ていう『俺の人生という本』の結末。
死ぬのは嫌だけど、恋していた人に殺されるのなら、それでもいいよ。
あーあ、もっと本読みたかったなあ。積ん読もあったのに。
「し、死なないで! 死んじゃ嫌だ!」
1回くらいは、会話したかったな。
読んでいただき、ありがとうございました。
少年は本当にそれでよかったのか、どうなのでしょう。
まあ、望んだことですから。




