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第4話 人造魔族、家を生やす

 二つ返事だった。

 むしろ若い人が来てくれてラッキー、オーケーオーケーって感じで、フランクに受け入れてくれた。

 有難いけど、こんな怪しい男を良いのだろうか。

 住む場所に関しては、空いてる家ならどこでもいいらしい。なんなら自分で建てても問題ないと言われた。

 その辺のルールや法律も、地球よりだいぶ緩いんだな。



「こじろーおじさん、おうちどーするの?」

「そうだな……どうせなら、自分の家を作りたいかな」



 ひとしきり家を見て回ったけど、どこも古くて今にも倒壊しそうなものばかりだった。

 これなら、自分で作った方がいい。

 と言っても、建築の知識はない。

 代わりに魔王から貰った知識と力の中に、うってつけのものがある。これを使おう。



「シュウナさん。良い感じの広さの土地って余ってないかな?」

「余ってるも何も、そこら中にありますよ。なんなら、私たちの家の隣に建てますか?」

「いや、それはまずいだろう。見ず知らずのオジサンがいきなり隣に住むなんて」

「私は気にしませんよ。それに村長も言っていたじゃないですか。コジロウさんがわからないことがあったら、私が教えるようにと。なら、近い所に住んでくれた方が、お互いに楽でしょう?」



 た、確かにそうだけど……。

 改めてシュウナさんを見る。

 見た目は10代半ばから20代前半だろうか。若くも見えるし、少し大人びても見える。

 そして何より美人。ミーネちゃんも、将来こうなるんだろうなってくらいの美少女だ。

 こんな2人が住んでいる家の隣に、一人暮らしのオジサンが住むなんて……日本では怪しまれてもおかしくない。

 返事に困っていると、ミーネちゃんが目をキラキラさせて見上げてきた。



「こじろーおじさん、おとなりさんっ?」

「そ、それは……」

「おとなりさんじゃないの……?」



 今度は涙目に……!

 …………。



「じゃ……じゃあ……お、お言葉に甘えて……」

「なんでそんなに葛藤してるんですか」



 君ら若い子にはわからないだろうね。

 オジサンはね、若い子に気持ち悪がられたくないの。もっと言うなら、嫌われたくないの。だから一定の距離感をもって接するんだよ。

 ……いや、オジサンが気持ち悪いのは最初からか……。



「おとなりさん……! やったー!」



 まあ……ミーネちゃんも喜んでるし、ありがたく住まわせてもらおう。

 2人の家に着くと、丁度隣にかなりの広さの土地があった。特に畑にもなっていない。地盤も脆くなくて、良さそうだ。



「コジロウさん、どうやって家を建てるんですか? もし必要なら、大工の方を紹介しますが……」

「大丈夫だよ。丁度いい魔法がある」



 地面に手を付き、知識から魔法を検索する。

 次の瞬間、手の平から魔法陣が現れ、土地に刻まれる。

 地響きが鳴り、何かが地面から生えてくる。

 最初は小さな芽だったが、瞬く間に巨大な樹木へと成長し、太く分厚い幹に窓と扉が現れた。

 本来は、旅の途中で使われるテント代わりの魔法らしい。

 出し入れ自由な分、中は少し手狭らしいけど、一人暮らしなら十分だ。



「こじろーおじさん、すごぉい……!」

「いったい何者なんですか、コジロウさん……」

「ただの身寄りのない旅人だよ」



 いざ、入室。

 扉の先はリビング兼キッチンで、家具はまだ何もない。水周りや火周りは、俺のイメージ通り現代日本風になっている。全部木製だけど。

 一階奥には風呂場とトイレ。二階には6畳の和室がある。

 かなりイメージ通りだ。これだけの広さがあれば、生きるのに苦労することはないだろう。



(家具は適宜追加するとして、一先ず雨風は防げるな)



 リビングで、樹木からダイニングテーブルを生成する。

 一瞬で4人がけのテーブルと椅子が現れ、姉妹は呆然としていた。



「こじろーおじさん、かみさまみたい」

「こんな自由自在に魔法を使える方、初めて見ました」



 よしてくれ。偶然、この力を持ってる体に転生しただけ。俺の力じゃない。

 水道の蛇口を捻ると、地下から組み上がった水が流れた。

 魔法の力があれば、これも自由自在か。便利だなぁ、魔法。

 木のマグカップに入れて、2人の前に出す。地下水なだけあり、キンキンだ。



「はい、お水。今はこれくらいしか出せないのは、許してほしい」

「いやいやいやっ、今どこからお水が!? 川に汲みに行ってないですよね!?」



 え? ……あ、そっか。こっちには水道なんていう概念がないのか。



「安全な地下水だよ」



 先に俺が飲むと、2人が顔を見合せて口をつけた。



「つめたっ! おいしー!」

「ほ、本当……こんな美味しくて冷たいお水、初めて飲みました」



 ほ……よかった、喜んでくれた。

 この世界だと冷蔵機能もないだろうから、冷たい水は貴重なのだろう。



「はは。もし必要なら、シュウナさんの家にも作ろうか?」

「いいんですか!? お、お金とか無いですよ……!?」

「色々と助けてくれたし、お礼させてほしいんだ」

「そ……それでしたら……お願いします」



 シュウナさんが頭を下げ、ミーネちゃんも真似て頭を下げた。可愛い姉妹だなぁ。

 2人にホッコリしつつ水を飲んだ、その時。外から警報のような鐘が鳴った。

 身を竦ませて怖がるミーネちゃんを抱き寄せ、シュウナさんが不安そうに外を見る。



「な、なんだ?」

「魔物ですっ。近くに魔物の群れが現れたんです……!」



 な……なんだって……!?

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