第二話:蘭学への決意
どうも!筆者のCtrl+鮪です!
今回は第二話をお届けします。ついに直政が蘭学に挑戦し始める話で、個人的にはちょっとドキドキしながら書いた部分でもあります。宗之助とのやり取りがちょっと重いけど、主人公が一歩踏み出すシーンが大事だなと思って。この話を通して、ちょっとでも直政の成長を感じてもらえたら嬉しいです。
しばらくして、再び前野宗之助が私の前に現れた。
彼は静かに私を見つめ、前回の出会いと同じく、蘭学の道に誘うような眼差しを向けてきた。しかし、今回は少し違った。彼の目には、前回よりも何か深い期待が込められているように感じられた。
「君が蘭学に興味を持ち、学びたいと決意したことを覚えているか?」宗之助は静かな声で言った。
その瞬間、私は母のことを思い出した。あの日、母が最後に私に伝えてくれた言葉が心に浮かぶ。『どんなに辛くても、決して諦めてはいけない。』あの言葉が、私の支えであり、進むべき道を照らす光となっていた。
「もちろんです。」私はしっかりと答えた。「だからこそ、やり遂げる覚悟はできています。」
宗之助は少し頷き、手に持っていた課題のオランダ語の文を私に差し出した。その文字が並ぶだけで、何もわからない無力感が胸に湧き上がる。目の前にある課題は、私にとって未知の世界の扉を開けるための鍵だと分かっていたが、その扉がどれほど重いものか、すぐには想像できなかった。
宗之助は静かに言った。「このオランダ語の文を解読することで、君は西洋医学を理解するための第一歩を踏み出すことになる。」彼は少し間を置き、さらに続けた。「だが、この課題がただの翻訳にとどまらないということを理解してほしい。これを解読できるようになれば、君は西洋医学における命を救うための知識の扉を開けることになる。そして、この知識が、日本の未来を支える力となるのだ。」
その言葉が、私の心に深く刻まれた。私は課題の文字を見つめながら、改めて思った。これは単なる学問ではない。母を助けられなかった自分の無力さを乗り越えるための道だ。このオランダ語が、蘭学が、私に与える力を理解しなければ、母の死は無駄になってしまう。
「試さなければ、何も変えられない。」母が言った言葉が、私の心に強く響く。その時、私は再び覚悟を決めた。
「宗之助先生、私は必ず解きます。」私は力強く言った。「どんなに難しくても、諦めません。」
その言葉に、宗之助は静かに微笑んだ。そして、深い目で私を見つめながら言った。
「覚悟は重要だが、それだけでは足りない。」彼は穏やかな声で言った。「君が求めるものがどれほど大きなものか、しっかりと理解しているか? だが、命を救いたいという気持ちがあれば、必ず道は開ける。」
宗之助は少し黙ってから、続けた。「君が目指すのは、単なる知識ではない。君の学びは、実際に命を救うために使われるべきものだ。そして、その学びの道は決して簡単ではない。」
私はその言葉に力強さを感じた。そして、同時に自分が進むべき道の厳しさを感じた。蘭学という世界は、私にとって未だ理解できないことばかりだ。それでも、私はそれを乗り越えなければならない。母を救えなかった自分を、この道で変えなければならない。
「次に課すものは、君の覚悟を試すほどのものだ。覚悟が本物なら、進む覚悟があるか?」宗之助は、私をじっと見つめながら問いかけた。
その問いに、私は迷うことなく答えた。
「はい。私は進みます。」
宗之助は静かに頷き、そして、私に課題を手渡した。「それなら、始めよう。」と言って、私に背を向けて歩き出した。その背中を見送りながら、私は確信した。これは単なる学びではない。自分が進むべき道を歩むための、第一歩に過ぎないのだと。
そしてその後、宗之助が立ち去る際に、私にひとつの言葉を投げかけた。「この道を歩む者に待っているのは、知識以上の試練だ。その試練を乗り越えた先に、何が待っているのか、君自身で確かめてみることだ。」
その言葉が、私の背中を強く押した。
蘭学とは何ぞや?
どうも、宗之助です。筆者からあとがきの欄を奪い取ることに成功したので、今回は少し蘭学についてお話ししようと思います。まあ、あまり堅苦しくなく、サラッと読んでくださいね。
「蘭学」って、簡単に言うとオランダから伝わってきた学問のことです。とはいえ、ただの外国の学問じゃなくて、日本にとっては大きな意味がある学問なんですよ。江戸時代の日本は、長らく鎖国政策を取っていたため、西洋の最新の知識にはほとんど触れていませんでした。でも、オランダだけは「蘭船」を通じて交流があったんですね。このため、オランダ語を通じて西洋の学問を学ぶことができたわけです。
当時、日本の医療はとても限られた知識しかなく、病気の治療法も西洋に比べて遅れていました。蘭学はそんな状況を打破するための重要な鍵で、実際に西洋医学を学ぶために、オランダ語を学ばなければならなかったんです。
さて、そんな背景があって、直政にはあの難解なオランダ語の課題を出したわけですが…(笑)。オランダ語って、正直なところ、かなり骨が折れる言語です。文字の形が日本語とは全然違うし、発音も一筋縄ではいかない。だけど、あれを乗り越えなければ、蘭学を本当に理解することはできません。直政にとっては、あの課題が蘭学を学ぶ第一歩だったわけです。
実際、直政にはかなりの覚悟を持って臨んでほしいと思っているんですよ。「これをやればすぐに何かが変わるわけじゃない」とわかってはいますが、蘭学の知識を得ることが、将来の日本のため、さらには自分のためになると信じています。だから、あの課題は「ただの勉強」じゃなくて、命を救うための第一歩なんです。
正直、直政にあの課題を渡すときは、少し期待と不安が入り混じっていました。でも、あの少年がどんな風に成長していくのか、これから楽しみです。次回、さらに彼がどんな試練に立ち向かうのか、どうか楽しみにしていてください。
ちなみに、これからの後書きは全部私のコラムとか裏話とかになるので筆者のまじめな後書きがみたい方はXなどでお願いしてくれたらいくらでも話すんで、ぜひ気軽にご連絡くださいと筆者が言っていました。
それでは、今回はこの辺で。次回もお楽しみに!
前野宗之助