第一話:生命の誓い
こんにちは!筆者のCtrl+鮪です!
この話は、江戸時代のちょっと変わった少年が蘭学を学んでいく話です。主人公の直政は、母を失った後、命を学ぶために蘭学を勉強することに決めます。でも、ただの勉強じゃない。彼にとってそれは、母を救えなかった自分への誓いのようなもので、命の意味を深く知りたかったから。
物語の中で、直政がどうやって蘭学と向き合い、そして成長していくのか。それに、ちょっとした冒険みたいな出来事も待ってます。そんな感じで、ゆっくり読んでくれるとうれしいです。
さて、直政がどんな風に蘭学を学び、どんな決断をしていくのか。興味があれば、ぜひこの物語に付き合ってみてください。
――あの日、母が死んだ。
「お前が泣いてどうする、直政。お前がしっかりせんで、誰がしっかりするんだ?」
父の冷徹な言葉が、今も耳に残る。母が死んだその日、私はただ立ち尽くしていた。
必死に息を引き取る母を前に、私はただの少年だった。
医者でもなく、何もできなかった。ただ泣き叫ぶことしかできなかった。
その後、母が亡くなってからしばらくは、私の心は空っぽだった。
父は、母を失っても変わらず厳しく、冷徹だった。
日々、仕事に追われる父を見て、私は心の中で問い続けた。
どうして母は助からなかったのだろう。どうして、私は何もできなかったのだろう。
時間が経つにつれ、母の死を悼むことさえ忘れかけていた。だが、ある日、長崎から戻った叔父が私に一冊の本を渡した。それが、『解体学入門』という書物だった。
その本を手に取ったとき、私は再び心の中で母の顔を思い出した。
もし、私がこの本の内容を知っていたら、あの日、母を助けることができたのだろうか――。
ページをめくりながら、私はその疑問を抱き続けていた。
骨や筋肉、血管、臓器。それぞれの機能や構造が詳細に描かれており、まるで私が手に入れた知識が母を救うための鍵になるかのように感じられた。
しかし、知識を持つことが本当に命を救うのだろうか。
「もし、母を救える方法があったのなら…」その思いは、今も私を苦しめている。
母を救えなかった無力さを胸に、私は決意を固めた。この知識を学べば、次に誰かを救えるかもしれない。次に誰かが死ぬことがあっても、私は無力ではなくなる。そう信じて、私は蘭学を学ぶことを決めた。
だが、父は蘭学を嫌っていた。西洋医学を受け入れず、日本の伝統的な医療を守ることを強く望んでいた。母が病床に伏していたときも、蘭学を学ぼうとした私に対して、厳しく反対していた。
「蘭学など必要ない。」父は言った。「日本には日本の医療がある。それを学べ。」
その言葉が、私をさらに孤独に感じさせた。父は、私が蘭学を学ぶことに賛成しなかった。それでも、私は自分の信念を曲げることはなかった。母を救えなかった悔しさが、私を突き動かしていた。
しばらくして、前野宗之助という男が私の前に現れた。
彼は、西洋医学を日本に合った形で導入しようとしている人物で、父がよくその名を口にしていた人物だった。
「君も蘭学に興味があるようだね。」彼は静かに言った。
その言葉に、私は驚きとともに一抹の希望を感じた。父は蘭学を拒絶していたが、宗之助は違った。
彼は蘭学を日本のために、どうにかして役立てようとしている人物だった。私も、その道を学びたいと思った。
「前野宗之助か…」私は心の中で呟いた。父が話していた名前だが、実際に彼と会うのは初めてだった。
「君が蘭学に興味があるのなら、私が教えよう。」その言葉には、強い意志が感じられた。
「お願いします。」私は言った。「私は…母を助けられなかった。この手で、もう二度とあんな悲劇を繰り返したくない。」
その瞬間、宗之助の目が一瞬鋭く光った。そして、静かに頷いた。
「覚悟を決めなさい。蘭学の道は簡単ではない。それでも、君が学ぶ覚悟があるのなら、私は力を貸す。」
その言葉が、私の心に深く刻まれた。母を救えなかった無力さを、この道で克服するために。
私は決して恐れず、この道を進むことを決めた。
「わかりました。」私は力強く言った。「学びます。」
その言葉が、私の人生を大きく変える瞬間となった。そして、この決意が、私を新たな世界へと導くのだと感じていた
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!この物語がどんな反響を呼ぶのか、まだわかりませんが、少しでも皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。
蘭学を学ぶことを通じて、命や学びについて考えるストーリーを描いていきたいと思っています。主人公の直人がどんなふうに成長していくのか、これからの展開にご期待ください。
まだまだ書き続けていくので、もしこの物語が気に入っていただけたら、今後もお付き合いいただけると嬉しいです!これからも、蘭学異聞をどうぞよろしくお願いします。
Ctrl+鮪