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魔法②

進めば二つなのでだらしない文章を書いていきます

 「んあ…」


 夢見は知らない場所で目を覚ました。

いつものボロアパートとは違い、清潔な部屋の中にいることに少し違和感を覚える。

そしてすぐに自分がここにいる理由を思い出す。

忘れようも無いだろう。

魔法が使えると喜んだ記憶。

手足を潰され、喰われかけていた記憶。

助けてくれたオルドとユダの記憶。

ファウストやバートリの記憶。


 「そうだった。私、転生したんだ…」


 夢見はまだ寝足りないと言わんばかりの身体を起こし、立ち上がる。

扉を叩く音が聞こえる。

おそらく私を起こしに来たのだろうと思いながら夢見はその扉を開ける。


 「あ、おはようございますバートリさん。」


 「ああ、おはよう。朝ご飯の準備が出来たから起こそうかと思ってたんだ。」


 「まだ右も左もわからないだろう?だから案内してあげよう。」


◇◆◇


 バートリに連れられてギルドの食堂に着く。

バートリは夢見と自分の分の朝食を取り、夢見と同じ席に着く。


 「食べ終わったら魔法の使い方と、この世界での生き方を教えてあげるから昨日と同じ裏庭においで。」


 「はい。」


◇◆◇


 夢見が食事を摂り終わり裏庭に向かうと、バートリと30後半かと思われる男がいた。

男は何か紙の様な物を持っており、彼の隣には戦闘訓練で使うダミー人形の様な物がある。


 「あの嬢ちゃんがバートリ様が言ってた奴ですか?」


 「ああ、そうだよ。彼女は魔法が得意なはずだ。」


 「へぇ…そうは見えないですがね。」


 「あのバートリさん、彼は…?」


 「彼は冒険者協会で働いてた経験があるラースだよ。夢見の冒険者証を発行しようと思ってね。」


 「こんにちは嬢ちゃん。」


 「こんにちは。」


 「で、彼に夢見の魔法を見てもらって冒険者証を発行出来そうかを見てもらう予定だ。」


 「バートリさん?私魔法はあまり…」


 夢見は少し心配そうに言う。


 「大丈夫。君は魔法の素質があるんだ。私の言う通りにしてごらん。」


 「いいかい?魔力というのを君の身体の一部だと思え。君が炎にしたいと思えば炎に、水にしたいと思えば水に。魔力というのは様々な形を取り、その形によって魔力は炎や水に変化していく。何かを感じないかい?」


 夢見は身体がゾワゾワする感覚を思い出す。


 「感じます…」


 「それが魔力だ。君はそれを自分の好きな形に変えられるんだ。コツはしっかりとやりたい事をイメージする事。さあ、あの人形を撃ち抜いてごらん。」


 夢見は目の前の人形を撃ち抜くイメージを作る。

あれを撃ち抜けるほどに鋭い物…氷だ。

氷が飛び、人形を穿ち抜くイメージ…

それをしっかり頭に焼き付け、外に放つ。

――その瞬間。

夢見の手から尖った氷が素早く飛び、人形を撃ち抜いた。

それを見て、ラースは驚愕の表情を見せる。


 「す、凄えな嬢ちゃん…その歳でそのレベルの魔法を使えるやつはそうそういねぇよ…」


 「そう!その感覚だ。その感覚をしっかり掴め。そうすれば更に腕は良くなるぞ。」


 「あ、ありがとうございます…」


 「で、ラース。彼女は冒険者証を発行出来そうかい?」


 「あ、いやー…確かに魔法の火力はかなりいいが、発動までの時間をちゃんと計って、魔力保有量を見ないとまだ何とも…最近は少し選考基準を厳しくしてるので…」


 「だそうだ、夢見。魔力保有量の計測は冒険者教会の施設じゃないと不正を疑われて無効になるしどちらにしろ協会に行って試験を受けないといけないから…今日はとりあえず発動までの時間を縮めて、明日試験を受けようか。」


 「は、はい!」


 その後、何回も魔法を撃ち、発動までの時間を1秒に縮めることができた。


 「凄いね。慣れれば容易にできる独立魔術とはいえ、この短時間でここまで短縮できるのは稀だ。」


 「本当に凄えよ嬢ちゃん…3級の魔法師と同じぐらいだぞ…」


 「はい。ありがとうございます!」


 「ただ…大丈夫かい?少し魔力切れを起こしているようだが…」


 確かに夢見は少し体調が悪い。

貧血になったような感覚を覚え、少しふらついている。


 「ラース?マナポーション持ってる?」


 「はい、バートリ様。一応持ってきましたよ。」


 「ありがとうラース。さあ夢見。とりあえずこれを飲んでおきなさい。」


 夢見は渡された試験管らしき入れ物の中にある青色の液体を飲み干す。

漢方のような風味で少し頭が痛くなるが魔力切れは治った。


 「バートリ様。私はまだ仕事が残ってるので戻ります。」


 「ああ、分かった。」


 「あと夢見。魔法を使いすぎて疲れてるだろう?今日はもう休んだほうがいい。」


 「はい。ありがとうございます!」


 「そういえば、バートリさんは魔法使えるんですか?」


 「勿論。君と同じ独立魔術を使えるよ。」


 「せっかくだし使ってみせようか。」


 そう言うとバートリは手を出し、力を込める。

すると一部の地面が割れて吹き飛び、丸い穴が開く。


 「凄い…!」


 「ちょっとはしゃぎすぎたね…バレない内に戻さないと…」


 「ちょっと!?バートリ様何やってるんですか!?」


 ベアがその様子を見ていたようだ。走ってこちらに来る。


 「いやぁ…後で直しとくから…見逃してくれない?」


 「後でスイーツとか奢ってあげるから…」


 「…仕方ないですね。本当に奢ってくれるなら見逃してあげますよ。」


 「はいはい、あの店ね…」


 そう言いながらバートリは吹き飛ばした地面を集め、穴を埋めた。


 そんな事をしている間に一日は終わる。

そして夢見は明日冒険者協会で試験を受けるために寝床に入り、眠り始めた。

バートリの呼び方が少しストーリーに関わります

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