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蜃気楼  作者: MARK.TOMO
6/7

6.誘惑の夜

「一緒に入らないんですかあ?」

「ダメに決まってるだろ」

「決まっちゃいませんけどねえ」

そう言いながら行平は服を脱ぎだす。

「お前わざとやってるだろ?」

「そうですよ?誘惑してるんですよ?いつ工藤さんが陥落するかかけてるんですよ」

「かけてるって誰とだよ」

「えへへ。それは内緒ですよお」

僕は肩を落としてため息をついた。

「僕は行平の取材資料を読ませてもらうよ」

「いいですよお。あ、清水さんの写真もありますよ。工藤さんのお好みにあいますかねえ?」

バタンとドアが閉まる音がした。

やっと静かになったかと思ったら鼻歌が聞こえてきた。

懐メロソングだ。

まったく騒がしい奴だ。

僕が自制心を失ったらどうするんだ。

18禁で書いてないんだぞ。

そんなことをぶつくさ言いながら写真を見る。

なるほど清水さんの写真がある。

そして・・。小野田君の写真もある。

もう1枚は見たことのあるようなないような女性の写真。

この人も関係者なのか?

それにしても確かに清水さんと言う女性は恋愛沙汰で殺されるような人には見えない。

人を見た眼で判断してはいけないが、なんというかそういうタイプではないように思える。

長身でやせている。もう少し肉をつけたほうがいいんじゃないかと余計なことを考える。

ショートカット。色白で切れ長の目だがどこか冷たい印象を与える。

一方の小野田君は小柄でぽっちゃりしていた。

これまた話からイメージでしていた人物像と若干違っている。

実年齢も小野田君の方が清水さんより年下らしいが弟と言ってもおかしくはない気がする。

ただ清水さんにお姉さんぽさは感じられないのだけれど。

録音から書き起こしたメモもあった。

凄いな行平。いつのまに。

あたしは仕事できる子ですから。

行平の声が聞こえた気がした。

清水さんは教育学部出身。先生を目指していたということか。

これまた意外だ。

子供が好きなようには見えないけれど人は見かけによらないものだ。

神隠しに会う前日に宗教関係者と会っていたらしい。

それだけ見ると宗教関係者に拉致されたように思える。

一方で小野田君は専門学校出身。音楽関係か。

ロックバンドを組んでいた?

本当にこれは小野田君のことなのか?

なんだかどっちも意外すぎてぐうの音もでない。

僕も先入観を捨てきれないな。

小野田君のバンド仲間とアポ?

明日か。

凄いな行平。というか僕は何やってんだか。

近藤君情報で小野田君の部屋を見たくらいで前進したじゃ笑い話もいいとこだ。

「見直しました?」

髪と胸にタオルを巻いた行平が牛乳瓶を片手に現れた。

「なんでまだ服着てないんだ?」

「これから着るんですよお。工藤さんも入ってきたらどうです?駅前しか見えないから眺めはいまいちな気もしますけどね」

そう言って腰に手をあてると牛乳を一気飲みした。

「ぷはーっ。このいっぱいの為に生きてるって感じですね」

「牛乳一本の為に生きてるってなんだよ。ウシかお前は」

「工藤さんのいいとこはどんなくだらないことにもきちんと突っ込んでくれるとこですよね」

「そりゃそうとこの女性は誰なんだ?」

僕は髪の長い女性の写真を見せた。

「ああ・・。関係者ですよ。どんな関係者なのかはまだわからないってとこですかね」

「それにしちゃやけにはっきり映ってる写真だな」

「もしかしたら宗教関係者。あるいはそうではないのかも」

「どこから手に入れたんだ?これ?」

「インターネットですよ。それはネットで拾った写真の引き伸ばしです。映りがいいのはソフトで加工したからです」

「へえ、そんなこともできんのか」

「あ」

行平のタオルが落ちた。

僕はあわてて顔をそらす。

「なーんちゃってですよ。裸のわけないじゃないですかあ」

顔を戻すとなぜか水着を着た行平がいた。

「ほらほら、これだったら問題ないでしょ?朝風呂は一緒に入りましょうね」

そう言って冷蔵庫から缶ビールを取り出した。

「工藤さんも入ってきちゃってくださいよお。勝手に料理注文しときますから」

不本意に胸がドキドキしていた。

「鍵なんかかけなくても覗かないから大丈夫ですよお」

なんで女の行平にそんなことを言われなければならないんだ。

僕はドキドキしたまま温泉につかりに行った。

行平はいったい何を考えているのか。

湯船につかりながらさっきの写真の女性を思い浮かべていた。

どこかで見たことがあるなあ。どこでだったか。



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